『歴史評論』2013年11月号(第763) Historical Journal(REKISHI HYORON) November 2013 vol.763

2013年歴史学の焦点  “Emerging Focuses of Historical Studies”

定価 860円  編集長ブログも随時更新中。


 「2012年歴史学の焦点」を特集とした昨年12月号では、「特集にあたって」において「5年から10年くらいのスパンで特定のテーマの研究史を整理し、その先の研究を展望する」と企画の意図を述べていますが、本号も基本的に同様の趣旨にもとづき、「歴史学の焦点」と題して、最新の研 究成果と展望をまとめた論考を集めました。取り上げたテーマは、陵墓・アジアにおける時代区分論・日本近世都市・アメリカにおけるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)・エジプトの政変、の5つです。
 諸論考は相互に独立した個別テーマをあつかっているものの、総じて概観すると、文化財行政・都市行政・性差別・イスラム社会の動向といった、現代の世界と日本が関わる重要な問題を網羅していることに、読者の皆さんは気づかれると思います。
 古来より日本では、歴史書の名に、「物事をそのままに映す道具」であり、「模範や手本」をも意味する「鏡」の名を冠することがなされてきました。歴史を論じる書物の役割は、昔も今も変わらないはずです。一定の限られた範囲を対象としたものではありますが、研究成果の蓄積がめざましい歴史学の分野に注目した本号の内容が、 私たちの置かれた状況を「そのままに映す」とともに、私たちの将来を展望する上での「模範や手本」を探る一素材として読者に受け止めていただければ幸いです。(編集委員会)
        *  特集にあたって 編集委員会
        *  歴史科学協議会第47回総会・大会案内
    論     説  陵墓問題の10年と今後
The Past 10 Years and the Future of the Mausoleum Problem
後藤 真
GOTO Makoto
    論     説  ユーラシアの近世・中国の近世
The Early Modern Era
青木 敦
AOKI Atsushi
    論     説  近世日本都市史研究の現在
The Present of the Historical Studies on Japanese Early Modern Cities
望月良親
MOCHIZUKI Yoshichika
    論     説  アメリカLGBT史のアプローチ―マイノリティ史からの行方
LGBT History in the United States
中野 聡
NAKANO Satoshi
    論     説  エジプト「6月30日革命」とオリエンタリズムの罠―中東に対する国際社会のまなざし
The Egyptian " 30 June Revolution" and the West
栗田禎子
KURITA Yoshiko
  第47回大会準備号
《歴史における社会的結合と地域》

日本国憲法平和主義原理の二つの側面
和田 進
  第47回大会準備号
《歴史における社会的結合と地域》

沖縄から「平和憲法」を問い直す
新崎盛暉
  第47回大会準備号
《歴史における社会的結合と地域》

ペルー憲法史と日本国憲法―非西欧地域との比較から―
川畑博昭
  第47回大会準備号
《歴史における社会的結合と地域》

古代播磨の地域社会構造―『播磨国風土記』を中心に―
古市 晃
  第47回大会準備号
《歴史における社会的結合と地域》

中世後期の宗教的結合と都市社会
三枝暁子
  第47回大会準備号
《歴史における社会的結合と地域》

「聖なる飛礫」からモンテ・ディ・ピエタへ―中世イタリアのユダヤ人とキリスト教徒―
大黒俊二
     文化の窓  福島県における茨城史料ネットの資料保全活動
泉田邦彦
    書     評  廣瀬憲雄『東アジアの国際秩序と古代日本』
金子修一
    書     評  松下冽著『グローバル・サウスにおける重層的ガヴァナンスの構築』
後藤政子
    紹     介 前田哲男・林博史・我部政明編『〈沖縄〉基地問題を知る事典』
大城清彦
        * 加盟組織の活動報告

        * 加盟組織の機関誌案内

    

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