『歴史評論』2013年3月号(第755) Historical Journal(REKISHI HYORON) March 2013 vol.755

戦国時代の軍隊と戦争 “The Army and War in the Sengoku Period”

定価 860円


 日本の戦国時代は、文字通り戦争のあいついだ時代でした。群雄が割拠し、覇権を競いあった激動の時代として世間の関心は高く、その戦争も、華々しい武勇譚や衰亡の悲話として、多彩なかたちでいまに伝えられています。近年のいわゆる「戦国武将ブーム」は、コンピュータゲームがその火付け役とされていますが、娯楽メディアの喚起するイメージは根強いものがあるといえるでしょう。
 では、歴史学において、戦国時代の戦争はどう議論されているのでしょうか。じつは、戦国時代に限らず、戦争を具体的に論じる研究の進展は、比較的あたらしい潮流といえます。なぜそのようになったのでしょうか。そしていま、なにが明らかとなり、どのような課題があるのでしょうか。
 本特集は、軍隊の構成・運用のあり方から、戦国時代の戦争を考えるものです。軍事力編成をめぐっては、中世から近世への転換を理解するカギとされ、権力構造の問題として古くから議論が積み重ねられてきましたが、近年では通説のみなおしも叫ばれています。しかも、戦争がいかに遂行されたのか、その実態はなお深められるべき論点といえます。
 著名な「英雄」ばかりではなく、戦国の軍隊には、じつに多様なひとびとがかかわっていました。戦乱の時代から、戦争が凍結された時代へ、社会は大きな変容を遂げますが、その転換に、軍隊のあり方はいかに影響を及ぼしたのでしょうか。本特集が、戦争・軍隊と社会との関係を考える一助となれば幸いです。(編集委員会)

   *  特集にあたって  編集委員会
 論  説  着到史料からみた戦国大名軍隊
The military of Sengoku daimyo through Chakutou document
 則竹 雄一
NORITAKE Yuichi
 論  説  戦国時代の兵粮
A Study on Military Provisions (Hyoro) in the Warring States Period in Japan
 久保健一郎
KUBO Kenichiro
 論  説  戦国大名の軍隊と武家奉公人
The Samurai Servant in the Military of Sengoku Daimyo
 菊池 浩幸
KIKUCHI Hiroyuki
 論  説  兵農分離政策論の現在
Recent Studies on the Separation Policy between Soldier and Peasant
 平井 上総
HIRAI Kazusa
 書  評  須原祥二著『古代地方制度形成過程の研究』  磐下  徹
 書  評  有富純也著『日本古代国家と支配理念』  山口 えり
 書  評  須田勉・佐藤信編『国分寺の創建』  柴田 博子
 書  評  網伸也著『平安京造営と古代律令国家』  家原 圭太
 書  評  須磨千頴著『荘園の在地構造と経営』  服部 英雄
 書  評  木下聡著『中世武家官位の研究』  山田 康弘
 書  評  高橋伸拓著『近世飛騨林業の展開』  加藤 衛拡
 書  評  安田浩著『近代天皇制国家の歴史的位置』  増田 知子
 書  評  永井均著『フィリピンと対日戦犯裁判』  佐治 暁人
 紹  介 安在邦夫著『自由民権運動史への招待』  三村 昌司
  

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