『歴史評論』2012年8月号(第748) 定価 860円

特集 歴史認識とジェンダー


 2011年7月2日、日本学術会議・史学委員会主催のシンポジウム「歴史認識を変える―歴史教育改革とジェンダー」が開催されました。これは、ジェンダーの視点をどのように組み込み、歴史認識・歴史教育を再構築するのか、という課題を掲げて行われたものでした。さまざまな歴史の専門分野から、歴史認識・歴史教育・ジェンダー史を問いなおす報告がなされ、多くの参加者を交えて幅広い視点から活発な討論が展開されました。
 シンポジウムの成果を、より多くの皆さんに知っていただくため、活字化が望まれました。そこで、この催しの後援団体の一つであった当会の機関誌『歴史評論』を媒体として発表することとなり、シンポジウムの報告者だけでなく、報告以外の形で参加された方からも、それぞれの専門分野を踏まえた論考を寄せていただきました。したがって、本特集はシンポジウムの記録に留まるというのではなく、その内容をいっそう深めることを企図したものです。なお、当日のシンポジウムの様子について は、参加記をごらんください。
 本特集では、さまざまな地域や時代を対象に、ジェンダーの視点に立って、従来の歴史認識や歴史教育の再考を促す意欲的な論考が揃いました。今後、本特集を契機にこのような試みがいっそう広がることを期待します。編集委員会)  
    *  特集にあたって 編集委員会
  論  説  歴史認識を考える
―歴史教育改革とジェンダー―
姫岡とし子
  論  説  日本の女性史・ジェンダー史研究と歴史認識 長野ひろ子
  論  説  歴史認識と女性史像の書き換えをめぐって
―近現代日本を対象に―
成田 龍一
  論  説  中国史の歴史認識とジェンダー 小浜 正子
  論  説  アジアから全体史を見る/語る 桃木 至朗
  論  説  EUの歴史認識とジェンダー
―書かれた歴史、なされた歴史、認識された歴史、そしてジェンダー―
羽場久美子
  論  説  ジェンダー史の可能性
―西洋古代史研究の立場から―
桜井万里子
科学運動通信  「歴史認識を変える 歴史教育改革とジェンダー」参加記 坂井 博美
高松 百香
 歴史の眼  東日本大震災と文化財・地域史研究
―栃木県在勤者の視点から―
坂本 達彦
 文化の窓  韓国の歴史教育と教育課程
―ソウルで考えたことB―
君島 和彦
  書  評  長野ひろ子・姫岡とし子編著『歴史教育とジェンダー』 松本 悠子
  書  評  義江明子著『古代王権論』 中村 友一
  書  評  堀新著『織豊期王権論』 金子  拓
  書  評  白川部達夫著『日本近世の自立と連帯』 山ア 善弘
  書  評  五十嵐仁編著『「戦後革新勢力」の奔流』 安岡 健一
  書  評  竹中千春著『盗賊のインド史』 志賀美和子
  

戻る