『歴史評論』2012年6月号(第746) 定価 860円

特集 第45回大会報告特集 世界史認識と東アジアU


 2011年11月26日・27日、立教大学池袋キャンパスにおいて、「世界史認識と東アジアU」という統一テーマのもと、歴史科学協議会第45回大会が行われました。本号はその報告特集です。前年度大会では、「韓国併合」から100年という節目の年にあたり、東アジア認識や東アジア史研究の方法をめぐる議論を展開しました。今回の大会はそれを受け継ぎ、現代のさまざまな問題を規定している東アジアという歴史環境についてさらなる認識を深めるため設定されたものです。
 第1日目は「移行期における東アジア認識」と題して、12世紀日本の仏教における東アジアの諸要素と、16世紀末日本の権力編成と東アジア認識を検討した2報告、および、南アジア史との比較的視点からのコメントをもとに、移行期の東アジア認識をめぐって議論が展開されました。
 第2日目は「東アジアにおける支配・統合と地域社会」と題して、清末民初の中国における地域意識、近代日本のハンセン病と地域社会、現代中国における支配の正当性論理、に関する三報告をもとに、近世から近現代にかけての東アジアの地域の実態や意識をめぐって議論が展開されました。
 2日間を通じてのべ170人の参加者があり、活発な討論が行われました。これを契機に、移行期における東アジア認識や東アジアにおける地域史研究のさらなる議論が喚起されることを期待します。(編集委員会)
  *  特集にあたって 編集委員会
 報 告 【第1日目テーマ 移行期における東アジア認識】
12世紀日本仏教の歴史的位置
上川 通夫
 報 告 【第1日目テーマ 移行期における東アジア認識】
織豊期王権の成立と東アジア
堀   新
 コメント 【第1日目報告へのコメント】
コスモポリタン文化と地域文化 ―政治=文化史的視角からの世界史―
三田 昌彦
討論要旨 大会第1日目 高松 百香
長谷川裕子
 (文 責)
 報 告 【第2日目テーマ 東アジアにおける支配・統合と地域社会】
生成する地域・地域意識 ―清末民国初期中国の華中南地域を中心に―
山田  賢
 報 告 【第2日目テーマ 東アジアにおける支配・統合と地域社会】
ハンセン病疫学と近代日本の地域社会
廣川 和花
 報 告 【第2日目テーマ 東アジアにおける支配・統合と地域社会】
毛沢東期の中国における支配の正統性理論と社会
三品 英憲
討論要旨 大会第2日目 藤原 敬士
 (文 責)
  * 【第45回大会報告を聞いて】
上川通夫報告を聞いて
河上麻由子
  * 【第45回大会報告を聞いて】
堀新報告を聞いて
池   享
  * 【第45回大会報告を聞いて】
大会第2日目の山田賢報告・三品英憲報告を聞いて
田中比呂志
  * 【第45回大会報告を聞いて】
ハンセン病問題の歴史的研究と地域史の方法 ―廣川和花氏の報告を聴いて―
竹永 三男
  * 第45回大会参加記 菅野 智博
小坂  望
  

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