『歴史評論』2012年5月号(第745) 定価 860円

特集 歴史学入門号 歴史学をどう学ぶか


 この春希望に胸を膨らませつつ、これからの四年間で歴史を学ぼうという決意を秘めて大学に入学した皆さん、入学おめでとう。皆さんが歴史を学ぼうと心に決めたのは、高校までのさまざまな経験や、教員から受けた影響などによってであろうと推察いたします。さまざまな種類の歴史の講義や演習が皆さんを待っていますが、大学で歴史を学ぶにあたってどんな気構えが必要か、不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
 また、本格的な歴史研究の道に進もうと大学院に入学した皆さんも、覚悟も新たに四月からの研究生活を始めたところでしょう。修士課程の二年間でどのように研究を進め、創見に溢れた修士論文を書き上げるか、早速思い悩んでいる方もいるかもしれません。
 本特集はそんな皆さんへの贈り物です。まずは、四人の研究者が、学生・院生への教育・研究指導のため日頃どんなことを考えているのかを語り大いに盛り上がった座談会と、歴史の学び方や歴史研究の方法論に関する二篇の論文をお届けします。さらに、毎年の初回の講義で何を学生に伝えているかを四人の研究者に語ってもらったほか、卒業論文や修士論文執筆の苦心談を若手の研究者に綴ってもらいました。特に卒論・修論の思い出は、実際に皆さんが論文を執筆するときの励みになることでしょう。是非この特集号を座右において、新しい場での勉学・研究に励んで欲しいと思います。(編集委員会)
  *  特集にあたって 編集委員会
 座談会  いま、大学で歴史をいかに学ぶか 大日方純夫
近江 吉明
宮瀧交二
糟谷 憲一
小嶋 茂稔(司)
 論 説  新入生のための歴史学入門 森谷 公俊
 論 説  開かれた歴史へ―言語論的転回と文化史― 岡本 充弘
 論 説  《まだ見ぬ新入生へ―「私の講義 第一回」―》
方法基礎 第一回―私の仮想講義―
近藤 成一
 論 説  《まだ見ぬ新入生へ―「私の講義 第一回」―》
歴史に向き合う姿勢
大橋 幸泰
 論 説  《まだ見ぬ新入生へ―「私の講義 第一回」―》
隣国の歴史を学ぶということ
佐藤 仁史
 論 説  《まだ見ぬ新入生へ―「私の講義 第一回」―》
教員養成系大学の「西洋史概説」―オリエンテーション―
川手 圭一
 論 説  《私の卒論・修論》
私の卒論
廣瀬 憲雄
 論 説  《私の卒論・修論》
修士論文の体験談
田中 元暁
 論 説  《私の卒論・修論》
私の卒業論文・修士論文
加藤 圭木
 論 説  《私の卒論・修論》
ヨーロッパ近代史で卒論を書く
割田 聖史
 論 説  猪苗代水力電気設立の諸相
―経営者層の転換を中心にして―
宮地 英敏
 論 説  日本史必修、『江戸から東京へ』の導入
―石原史観で描く都教委版「準教科書」―
鈴木 敏夫
  

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