『歴史評論』2011年5月号(第733) 定価 860円

第44回大会報告特集/世界史認識と東アジア

 二〇一〇年一一月二〇日・二一日、中京大学名古屋キャンパスにおいて、「世界史認識と東アジア」という統一テーマのもと、歴史科学協議会第四四回大会が行われました。本号はその報告特集です。このテーマは、グローバリズムと新自由主義の台頭という現実に対して、私たちはどのように向き合うべきかという問題意識のもと、前年まで三年にわたって議論を積み重ねてきた「世界史認識と地域史の構想」を受け継ぎ、東アジア認識と東アジア史研究の方法を鍛えていくことを企図して設定されたものです。
 第一日目は「東アジア史認識を検証する―「韓国併合」一〇〇年にあたって―」と題して、「韓国併合」に至った近代日朝関係史の展開過程と、竹島/独島の領有問題に関する動向を整理した二報告をもとに、東アジア認識をめぐって議論が展開されました。
 第二日目は「東アジア史研究の現段階―境界・交流―」と題して、日本・朝鮮・中国という三国史観的な東アジア史理解の問題性、「華」(漢族)による「夷」(非漢族)の包摂過程、近世における琉球の自意識と日本人の琉球理解、に関する三報告をもとに、前近代を材料とした東アジア史研究の方法をめぐって議論が展開されました。
 二日間を通じてのべ二〇〇人の参加者があり、活発な討論が行われました。これを契機に、東アジア認識や東アジア史研究についてさらなる議論が喚起されることを願います。(編集委員会)
      *     特集にあたって    編集委員会
   論    説 《第1日目テーマ 東アジア史認識を検証する―「韓国併合」100年にあたって―》
  朝鮮の植民地化と東アジア
   糟谷 憲一
   論    説 《第1日目テーマ 東アジア史認識を検証する―「韓国併合」100年にあたって―》
  竹島/独島問題とは何か ―和解へ向けた知恵の創出のために―
   池内  敏
 大会第1日目討論要旨                      *    山口 公一
   論    説 《第2日目テーマ 東アジア史研究の現段階―境界・交流―》
  「東アジア史」再考 ―日本古代史研究の立場から―
   山内 晋次
   論    説 《第2日目テーマ 東アジア史研究の現段階―境界・交流―》
  「華」はどのように「夷」を包摂したか?
   井上  徹
   論    説 《第2日目テーマ 東アジア史研究の現段階―境界・交流―》
  近世琉球の自意識 ―御勤と御外聞―
   渡辺 美季
 大会第2日目討論要旨                      *    酒井 雅代
第44回大会報告を聞いて 糟谷憲一・池内敏報告を聞いてのコメント    鶴園  裕
第44回大会報告を聞いて 大会第2日「東アジア史研究の現段階 境界・交流」の三報告を聞いて    村井 章介
 第44回大会参加記                      *    上嶋 康裕
 第44回大会参加記                      *    臼井 和樹
 第44回大会参加記                      *    橋本 紘希
   書    評 笠原十九司著『日本軍の治安戦』    本庄 十喜
   紹    介 尾高晋己著『オスマン外交のヨーロッパ化』    川崎 光一
  (記 録 欄) 東北地方太平洋沖地震(東北・関東大震災)による被災歴史資料
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