『歴史評論』2010年11月号(第727) 定価 860円

地域を探る・12世紀の北武蔵/大会準備号


 「地域の歴史を考える」「地域から歴史を考える」という視角は歴史学において一貫して重視され、「地域」をめぐってはこれまでにもさまざまに議論されてきました。しかし文献史料に恵まれない地域で、どのような歴史像を描き出すことができるでしょうか。
 12世紀の北武蔵は、板東平氏や武蔵七党などの武士団が拠点を構えて活動し、その動向が12世紀末の鎌倉幕府の成立にも大きく関連したことから、史料的制約が大きいなかでも、多くの注目を集めてきました。そうしたなか近年では、考古学的発掘や歴史地理的実地調査も進み、博物館展示やシンポジウム・出版企画などで、新しい歴史像を提示する試みも行われています。本特集では、そうした成果も踏まえ、考古学・文献の双方の立場から、12世紀の北武蔵という地域の歴史像を描き出そうと試みました。
 武士団の拠点と思われる館跡、関連する寺院、集落などの遺跡、土器や陶磁器、瓦、経塚などの遺物を通して、どのような北武蔵の地域像が浮かびあがってくるでしょうか。
 また、考古学的発掘の成果を踏まえて限られた文献史料に新たに光をあて、12世紀の列島規模の荘園形成の動きのなかで地域を捉えるなど、文献史料の側からも、地域を捉える方法を探っていきたいと思います。
      * 特集にあたって  編集委員会
    論  説 中世北武蔵の成立期から前期について
  ―主に土器・陶磁器をとおして―
 浅野 晴樹
    論  説 瓦当文から見た12世紀の北武蔵  石川 安司
    論  説 地域史研究の中の経塚
  ―北武蔵の事例を中心として―
 水口由起子
    論  説 利仁流藤原氏と武蔵国  落合 義明
    論  説 12世紀の武蔵武士の所領形成と荘園  鎌倉 佐保
第44回大会準備号
《世界史認識と東アジア》
大会テーマの設定にあたって  全国委員会
第44回大会準備号
《世界史認識と東アジア》
〈大会第1日目〉東アジア史認識を検証する―「韓国併合」100年にあたって―
朝鮮の植民地化と東アジア
 糟谷 憲一
第44回大会準備号
《世界史認識と東アジア》
〈大会第1日目〉東アジア史認識を検証する―「韓国併合」100年にあたって―
竹島/独島論争とは何か ―和解へ向けた知恵の創出のために―
 池内  敏
第44回大会準備号
《世界史認識と東アジア》
〈大会第2日目〉東アジア史研究の現段階―境界・交流―
「東アジア史」再考 ―日本古代史研究の立場から―
 山内 晋次
第44回大会準備号
《世界史認識と東アジア》
〈大会第2日目〉東アジア史研究の現段階―境界・交流―
「華」はどのように「夷」を包摂したか
 井上  徹
第44回大会準備号
《世界史認識と東アジア》
〈大会第2日目〉東アジア史研究の現段階―境界・交流―
琉球人と日本人 ―江戸時代の交流と境界―
 渡辺 美季
    書  評 岡野浩二著『平安時代の国家と寺院』  遠藤 基郎
    書  評 石田千尋著『日蘭貿易の構造と展開』  八百 啓介
    紹  介 渡辺尚志著『東西豪農の明治維新』  野尻 泰弘
    紹  介 長野ひろ子・松本悠子編著『経済と消費社会』  木下はるか
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      * 加盟組織の機関誌案内    *
  

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