『歴史評論』2009年11月号(第715) 定価 770円

特集/2009年歴史学の焦点+第43回大会準備号



 今年の「歴史学の焦点」には、史料論に関連して、つぎの四つのテーマを取り上げました。
 第一は朝鮮半島で出土した木簡の研究です。近年注目を集めるようになった経緯と、研究の現状と課題について、橋本繁さんにまとめていただきました。
 第二は絵画史料論です。黒田智さんに、馬の焼印という「失われた文化」を絵画史料から発見するという試みを通して、絵画史料論の現在を示していただきました。
 第三は憲法研究です。増田知子さんに、憲法史を国家の基本構造の研究と定義することにより、広範囲な研究対象が成立し、法を通して歴史を見る視点が生まれたことを論じていただきました。
 第四は映像資料論です。今年はじめて映画フィルムが国の重要文化財に指定されました。このフィルムの調査プロセスを焦点として、映像資料の保存と復元の問題を板倉史明さんに論じていただきました。
 現在の歴史学の焦点が右の四つにとどまるものではないことは、言うまでもありません。しかし本文をお読みいただければ、本号で取り上げたテーマが現在の歴史学の焦点に少なくとも含まれることはご納得いただけると思います。ご自身の専門とは少し離れたところで、こんなテーマが焦点になっているのかということを感じていただければ幸いです。
 なお本号には大会レジュメを収めました。                             (編集委員会)
   *     特集にあたって 編集委員会
  論  説   韓国木簡研究の現在 橋本  繁
  論  説 絵画史料論と動物史―忘れられた馬の焼印をもとめて― 黒田  智
  論  説 日本近代史における憲法研究の展開 増田 知子
  論  説 フィルム・アーカイブにおける映像資料の保存と復原―歴史学にとっての映画― 板倉 史明
 大会準備号 報告要旨:二〇〇八年世界経済危機の歴史的性格 萩原伸次郎
 大会準備号 報告要旨:グローバル化と国家・地域の再編―現代日本の歴史的位置― 岡田 知弘
 大会準備号 報告要旨:中世前期における民衆の地域社会―地域・村落の〈名士〉層と荘園制― 田村 憲美
 大会準備号 報告要旨:日本近世における労働社会の構造 森下  徹
 大会準備号 報告要旨:失業対策の意図と帰結―近代日本の経験から― 加瀬 和俊
歴史のひろば 韓中日三国の高校世界史教科書における第二次世界大戦 辛  珠柏
  書  評 岩元修一著『初期室町幕府訴訟制度の研究』 築地 貴久
  書  評 小川和也著『牧民の思想―江戸の治者意識』 深谷 克己
   * 加盟組織の活動報告   *
   * 加盟組織の機関紙案内   *
  

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