『歴史評論』2009年5月号(第709) 定価 1050円

特集/第42回大会報告特集 世界史認識と地域史の構想U


〈特集にあたって〉
 グローバリズムと新自由主義が世界を席巻している現実に向き合いながら、地域の視点を世界史認識につなげていきたい。そういう思いをこめた第四二回歴史科学協議会大会が二〇〇八年一一月一五日・一六日の両日、大阪府吹田市の関西大学千里山キャンパスで開催され、多くの参加者により、熱心な議論が行われました。今月号はその大会での報告と討論を特集してお届けします。
 大会の第一日目は、前年度にひきつづいて「グローバリズム・新自由主義と歴史学の課題」をテーマとして、現状そのものを歴史学の立場から批判的に考察することを試みました。日本の戦後史において「新自由主義」の時代を位置づける報告、空間・時間の政治経済学としてグローバル化と非・反・脱グローバル化の間の対抗を論じる報告と、近代イギリス統治構造論・福祉国家論の立場からのコメントを得て、討論が行われました。
 第二日目は、「人びとの生きる場としての地域」をテーマとして、地域に立脚した研究“実践”のありかたを検討することを試みました。具体的な地域を対象とした報告者それぞれの取り組みが報告され、現実に人びとが生活している場である地域の歴史を研究する課題と方法論を巡って、討論が行われました。
 当日の熱い討論を改めて思い起こしていただくとともに、これからさらに議論を深めていただければ幸いです。(編集委員会)

        *     特集にあたって  編集委員会
      論  説   【第一日目テーマ グローバリズム・新自由主義と歴史学の課題U】

 日本戦後史の中の「新自由主義」時代
 佐々木隆爾
      論  説   【第一日目テーマ グローバリズム・新自由主義と歴史学の課題U】

 空間・時間の政治経済学と新自由主義  ―新自由主義型都市政治学を中心に―
 進藤  兵
      論  説   【第一日目テーマ グローバリズム・新自由主義と歴史学の課題】報告へのコメント  岡田 章宏
    討 論 要 旨 大会第一日目討論要旨  桜澤  誠
      論  説   【第二日目テーマ 人びとの生きる場としての地域】

 ムラを忘れた歴史学  ―敷きます神の中世的形態―
 大山 喬平
      論  説   【第二日目テーマ 人びとの生きる場としての地域】

 歴史研究と地域の現在  ―信州飯田にて―
 多和田雅保
      論  説   【第二日目テーマ 人びとの生きる場としての地域】

 近世泉州池田谷の生活世界
 羽田 真也
    討 論 要 旨 大会第二日目討論要旨  山下 聡一
第四二回大会報告を聞いて 佐々木・進藤報告を聞いて  源川 真希
第四二回大会報告を聞いて 佐々木隆爾報告・進藤兵報告を聞いて  小林 啓治
第四二回大会報告を聞いて 大山氏報告に触れて「人びとの生きる場としての地域」を考える  田村 憲美
第四二回大会報告を聞いて 地域に立脚した歴史研究とその実践  篠宮 雄二
  第四二回大会参加記       *  高橋 裕文
 川内 淳史
 日隈 広志
 花森 重行
        * 二〇〇九年度 歴史科学協議会総会報告    *
        * 二〇〇七−八年度 歴史科学協議会活動報告    *
        * 二〇〇九年度 歴史科学協議会活動方針    *
      書  評   石井寛治著『経済発展と両替商金融』  今城  徹
    科学運動通信 陵墓問題シンポジウム参加記  畔上 直樹
    最近考えたこと 新自由主義と労働組合  浜林 正夫
  

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