『歴史評論』2006年7月号(第675) 定価770円

特集/日本史講座をよむ

歴史学研究会と日本史研究会の共同編集による『日本史講座』(全10巻)が完結した。前回の『講座日本歴史』の出版からは20年の隔たりがある。その間に歴史学を取り巻く環境は大きく変化した。「グランドセオリーの解体」が叫ばれ、歴史学研研究の意義・有効性や、歴史像構成の可能性が問い直されている状況下で、『講座』を組む意味はどこにあるのか?

講座編集委員会が示す方針はどのように評価されるのか、また、その意図は実現されているのか?『歴史評論』は、歴史学の創造的発展を目指す立場から、前回の『講座日本歴史』に対しても特集を組んで検討している(440号)。今回も、さまざまな分野の専門家、および次代を担う若手日本史研究者に、それぞれの立場から意見を述べて頂くことにした。

各論文とも自由で率直な議論を展開しており、本特集が『講座』のあり方、ひいては今後の歴史研究の方向性を考える有益な素材となることを期待したい。

  
特集にあたって 編集委員会
論説 不可視化された女たち 長島淳子
論説 学校日本史と『日本史講座』 會田康範
論説 『日本史講座』とアジア史
―中国近現代史の視線から―
中村元哉
論説 ヨーロッパ史近代からみた日本近代史論 熊野直樹
論説 近代日本研究における批判的視座の現在
『日本史講座』第八巻.九巻によせて―
山本公徳
論説 「史料学の時代」の文化史 黒田智
論説 『日本史講座』刪記 廣瀬憲雄
投稿 中国歴史教科書における自国史叙述の現在
歴史認識の対話をめざして
齋藤一晴
歴史のひろば 自力救済論と「緑のネットワーク」論
―坂田聡氏の「批判」によせて―
鈴木国弘
書評 服藤早苗著『平安王朝の子どもたち』 大戸安弘
書評 深谷幸治著『戦国織豊期の在地支配と村落』 湯浅治久
書評 大門正克ほか編『近代社会を生きる』 藤野裕子
書評 中野泰著『近代日本の青年宿』 多仁照廣
追想 松本新八郎先生を偲ぶ 佐藤和彦
二.一一集会 各地の記録@

戻る