歴史評論 第665号 2005年9月号(2005年8月10日発売) 定価・770円

特集/二〇世紀ヨーロッパ史のなかの<境界>

9月号は久しぶりのヨーロッパ史特集です。テーマは、「20世紀ヨーロッパ史における<特集>」としました。 もともと編集委員会の議論の過程では、東欧の社会主義体制崩壊後から今日まで、 中東欧地域がどのような政治的・社会的問題を抱えているのかを歴史的に考察したいということから出発したのですが、 そのためには20世紀という射程のなかで広く問題を捉えなくては、ということになりました。 結果的に、本号で個々の論文が取り上げた地域統合、人の移動、国家形成、マイノリティ問題といった諸問題は、 <境界>というテーマと関わりつつ、中東欧を超えてヨーロッパの20世紀全体に敷衍できる課題と考え、 タイトルも最終的には標題のように改まった次第です。 日本では、なかなか視野に入ってこない地域・国家の問題も取り上げられていますから、 ぜひ多くの方々に読んでいただきたいと思います。

特集にあたって 編集委員会
論説 拡大EUとその境界線をめぐる地域協力
―「地域からなるヨーロッパ」再考―
羽場久
論説 第一次世界大戦後ドイツの東部国境と「マイノリティ問題」 川手圭一
論説 両大戦間期のクロアチア問題
―自治州創設過程を中心に―
石田信一
論説 ラトヴィヤにおける民族・国家の形成 志摩園子
論説 二〇世紀ヨーロッパ史の中の東欧の住民移動
―ドイツ人「追放」の記憶とドイツ=ポーランド関係をめぐって―
川喜田敦子
投稿 信長への三職推任・贈官位の再検討 桐野作人
歴史のひろば <サザエさん>の社会的関心 吉田守男
書評 大橋信弥著『古代豪族と渡米人』 中村友一
書評 宮地正人著『歴史のなかの新選組』 笹部昌利
書評 山本有造編『帝国の研究』 前川一郎
紹介 藤木久志・蔵持重裕編『荘園と村を歩く 2』 川岡勉
科学運動通信 ジェンダー史学会の発足について 長野ひろ子

戻る