
本号では、日本における歴史学系の学術誌としてはじめて、アフリカ史を特集します。他の地域と同様にアフリカ史が日本の歴史学においても重要な一部であることは、既に広く認識されているのではないでしょうか。アフリカ史の概説書も複数刊行されていますし、二〇二一年から刊行された『岩波講座世界歴史』ではアフリカ大陸の歴史に一つの巻が当てられています。それゆえ、本特集は、アフリカにおける歴史の存在を主張することや、欧米での議論を紹介することに重点を置くのではなく、一次史料を活用し、アフリカ史を描いていく方法を考え、実践した論考を集めました。アフリカ大陸の歴史をめぐる知の形成に日本からも積極的に加わっていこうとする、ささやかな試みです。
第二次世界大戦後に開始された学術的なアフリカ史研究の確立には史料の問題がつきまとってきました。過去の痕跡をアフリカ史研究者はいかに「史料」としてきたのでしょうか。語られたものであれ、書かれたものであれ、史料の来歴を踏まえ、なぜその史料を利用できるのかを考えることは、植民地化と脱植民地化、あるいは独立後の期待、経済的苦境と再生という、この大陸が辿ってきた歴史に向き合うことでもあります。
多様性に満ちたアフリカ大陸を、帝国の周辺部、あるいは国際援助の対象という客体として見るのではなく、そこに住む人々の視点に立ってその歴史を描くことで、彼らとの対話を可能にする、本号がそのような流れに棹さすことになれば幸いです。(編集委員会)
| * | 特集にあたって | 編集委員会 |
| 論 文 | 周縁化されたアフリカ史から問う ―知の脱植民地化と新たな史料論―
Rethinking Historical Knowledge through African History from the Margins of Japanese Historiography |
中尾世治 NAKAO Seiji |
| 論 文 | 王と臣民をつなぐ「声」 ―ズールー語歴史小説『シャカ』(一九三七年)における史実と創作―
The “Voice” that Binds the Zulu King and His Subjects |
上林朋広 KAMBAYASHI Tomohiro |
| 論 文 | 一九五〇〜七〇年代ケニアにおける検閲と大衆文学の成立 ―「スリーズ小説」の流入からマイルまで―
Censorship and the Making of Popular Literature in Kenya, 1950s-1970s |
木村香純 KIMURA Kasumi |
| 論 文 | デジタル人文学とアフリカ史料論 ―植民地期ナイジェリア新聞研究から―
Digital Humanities and Historical Sources in Africa |
澤田望 SAWADA Nozomi |
| 論 文 | 川田順造のアフリカ史と歴史学界 Junzo Kawada’s African History and the Historical Profession in Japan |
小綿哲 KOWATA Akira |
| 歴史のひろば | 日中韓三国共同歴史編纂委員会の試み ―『新・未来をひらく歴史』の編纂過程―
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上山由里香 |
| 文化の窓 | 日韓合同公演:演劇『焼肉ドラゴン』評 |
崔誠姫 |
| 書 評 | 元木泰雄『中世前期政治史研究』 |
菱沼一憲 |
| 書 評 | 油井大三郎『日系アメリカ人強制収容からの〈帰還〉』 |
秋山かおり |
| 紹 介 | 藤田進・世界史研究所編『世界史の中の「ガザ戦争」』 |
鈴木啓之 |






