注水井戸では,井戸中心部から遠方へと帯水層内を円上に砂が移動するから,遠方では流速が低下してして動けなくなった砂が蓄積される.従って,揚水井戸よりは,注水井戸の注水量が問題になるとされている.しかし,これも注水井戸を揚水による洗浄仕上げで揚砂してしまえば,砂が動く範囲では動く砂はなくなり,注水井戸への砂投入がなければ問題は生じない.水位上昇で地上溢れにならない注水流量の範囲で注水井戸を利用すれば良いことになる. 継続的揚砂となるリスクを次に考えた.1.井戸スクリーン開口幅が広すぎて骨格砂が井戸に流れ込んで継続的排砂になる.2.井戸スクリーン上部の礫層内の細砂が排砂され,できた空隙に,その上部の細砂層から自重と水流で細砂が継続的に流れ込み,井戸の崩壊になる.鉛直方向の透水性は劣るが,滞水層上端部に余裕を設けたスクリーン設置でないと崩壊につながるのではないか. 3.放射状に流れない井戸で,流速は井戸から離れても低下しないから細砂はなくならない.4.扇状地で流速が速く細砂や懸濁物質が継続的に井戸に流れてくる.こうしたリスクは,井戸仕上げ洗浄での揚水量-揚砂量と揚砂粒径でチェックすることになる.上流から継続的細砂であれば次に提案の円筒保持布袋スクリーンなどで解決すべきである.他に経年に伴い,5.井戸鋼製スクリーンが酸素の浸透で腐食する,バクテリアの繁茂で,継続的排砂や目詰まりになる.
揚水管を覆う網戸用金網での円筒保持布袋スクリーン この方法は,スクリーン面積は井戸内での従来のスクリーンに比べて桁違いに増やせて金属加工を要しないので安価,井戸の外での除砂装置に比べても安価である.漉された砂は貯まれば井戸底の泥溜に沈下でメンテナンスなしになる.この現場では,井戸洗浄が不十分で,10分間でフランジ型のスクリーンが目詰まりし,揚水できなくなった.そこで,この布袋スクリーンを考案して施した.その後,1年間メンテナンス無しで,引き上げても布スクリーンには砂は付着していなかった. 自吸式ポンプが#80メッシュのストレーナーをセットしたが,2年間で2回ポンプ軸が歪み破損した.スクリーンが大面積で,砂は落下し,安価な細かい布で漉すことが安心である. 扇状地で細かな砂が上流から流れ込む井戸でも除砂が期待できる.