地下水2度利用 歩道無散水車道散水のセット融雪

 地下水の高温部は放熱管埋設の無散水融雪で水はねなしの歩道で利用し,低温になったら車道を散水で融雪する。歩道無散水・車道散水の地下水カスケード利用です。車両の通過しない歩道は放熱管を浅くに埋設しても耐久性を損ねない。直接散水の車道では雪を溶かすだけでなく,シャーベット化でまき散らします。福井市内で1988年の最初の実施後,北陸,東北地方の都心部での最も代表的な融雪にとなった。積雪センサと福井県特産珪石骨材での高熱伝導舗装の開発と合わせて福井県知事功労賞受賞しました。珪石粗骨材細骨材の工場での放熱管埋設パネルは高熱伝導ですが,型枠代で価格高となります。市街地のガス水道工事でパネルを仮置きできる利点もあるのですが,タイルをパネルと一体化していないこととガス水道工事は実際には少ないことから,コンクリート舗装上に架橋ポリエチレン管を直線配管し溶接金網で固定し,珪砂モルタルで覆うことも,歩道では実施し,設置費を縮減しました。

福井市でも中心の多くで実施されてきました.右写真 国内最初の実施箇所で右側は翌年実施されました.

橋面での適用 放熱管内に残留水が残ると放射冷却の早朝に凍結し,ポリ管内の残留水が膨張し,写真の実験のように舗装が剥がれる.そこで橋面のわずかな勾配で直線配管の放熱管から残留水が流れて残らない工夫を施し解決しました。ここでのタイルには酸化アルミナ(タイル製造時の廃材)を使い高熱伝導化を図っています。

地下水を利用した節水型融雪システムの開発,土木学会論文集No.492/W-23,pp.77〜86,1994.6 この論文の放熱管埋設無散水融雪の定常熱解析に間違いがあり,放熱管方式での融雪能力に関する研究,土木学会第55回年次学術講演会Z257,2000.9で修正しています. 広く使われている放熱管から地表面までの距離で熱抵抗を求める方法は,距離が同じでも放熱管径が大きい方が熱抵抗は小さくなるので間違いです.二次元の回り込みが考慮されていません。

放熱管埋設無散水融雪の非定常熱解析は,放熱管埋設路面融雪の数値シミュレーション,日本機械学会論文集(B編)74巻739号(2008-3)を参照ください.

タイルの敷設では打音検査を実施しハガレのない施工を確認。橋面でも温度膨張逃し目地を挿入しないと剥がれるトラブルが生じます。これらのトラブルは再度起こさないように公表しています。