「きのこ」採りの詩
「きのこ」採りは狩猟的だ。
すべてのワザには時がある。
天候。気温と湿度。
「きのこ」の種類で育つ条件が異なる。
やわらかな雨は「きのこ」を傷め、厳しい寒さは「きのこ」の栄養となる。
正しい時期だけ良い「きのこ」がたくさん採れる。
意識は遠くに置き、注意は近くに置く。
常に太陽の位置を意識する。
目の前と足元に注意を集中する。
体を守り、正しい方向に向かう為である。
道が無ければ自らつくる。
草を踏み倒し、枯れ枝を折り、くもの巣を払う。
枯れ枝を折り、くもの巣を払えば、違う道が見えてくる。
見る方向で見えるものが違う。
大きな古木はぐるりと周って何度も見直す価値がある。
たとえ同じ道を帰っても得るものがある。
あせらずゆっくり行動する。
周りを確かめず「きのこ」に手をのばすのは危険である。
枝が眼を突き刺し、トゲのある草が終日手を焼き焦がすからである。
危険はいつも身近にある。
持ち物は移動の前に確認する。
大切なものを忘れていないか。
同じ場所に戻るのは難かしい。穴の開いた袋では「きのこ」を採った意味がない。
初めての「きのこ」は良く調べる。
こんなかわいい「きのこ」なら食べて死んでも本望か。
たかが「きのこ」に人生かけるか。
狩猟的な人生のすべてに、同じことが言える。
「きのこ」採りの心得。