ブレッド湖
スロベニアの首都リュブリャーナから北西200kmに位置するブレッド湖(東
西2120m、南北1380m)は、澄み切った湖面にユリアンアルプスの最高峰
トリグラフ山(2864m)を映し、“アルプスの瞳”と称されている。摩周湖の
様に湖の中にブレッド湖のシンボルともいえる小さな島(ブレッド島)がある。こ
の島に約20人乗りの手こぎボート(プレトナ船)に乗り渡る。のんびりした時間
だ。そこには白い塔を持つ聖母被昇天教会が建っており、鐘を鳴らすと願いがかな プレトナ船
うと伝えられ、ほとんどの人が紐を引いて鐘を鳴らしていた。静寂の中の騒音だ。
そして、湖面から100mの高さの断崖にブレッド城が湖面を見下ろしている。こ
の城のテラスからの眺めは最高で、スロベニアの代表風景(日本の富士山に匹敵)
となっているとか。
昼食後、70km南のポストイナ鍾乳洞に向かう。
ブレッド城
聖母被昇天教会の塔 ブレッド城からブレッド湖を 冠雪のトリグラフ山
ポストイナ鍾乳洞
ヨーロッパ最大(世界第三の大きさ)のこの鍾乳洞は、約10万年前から形成
され、長さ約27kmある。観光は、洞窟内をトロッコ電車で2km程疾走し、
下車後ガイドに従って1.7km歩き、再びトロッコ電車で戻って来るのである。
このトロッコ電車は1872年に施設され、1967年に複線化された。洞内
をかなりのスピードで走り、岩が座っている我々の頭上30cmを通過する時も
あり、立ち上がったり、手を伸ばすと激突し、死に至る。洞内の温度は、10℃ ポストイナ鍾乳洞入口
に保たれ、鍾乳石は、酸化鉄を含んだ赤い色、マンガン酸化物を含んだ黒灰
色、と石灰岩の乳白色の三色を呈して、場所により“赤のホール”、“白のホ
ール”、細いスパゲッティが天井から下がっている様な“スパゲッティ・ホー
ル”がある。その形状により“ブリリアント”、“ソフトクリーム”と名づけ
られた鍾乳石、また、“コンサート・ホール”と名づけられた音響効果の良い
300平方mもの広大な空間(天井まで40m)もある。鍾乳石の発達速度 トロッコ電車
は10年間に1mm程度らしいが、炭酸カルシュウムを含んだ水の量が多い為、大きく成長した壁の様な
鍾乳石が多く、日本の鍾乳洞の様なぶら下がった物は少ない。また見る事は出来なかったが、うなぎに手
足を付けた様な “類人魚”(プロテウス)と呼ばれる両生類が生息している。盲目でエサが無くとも1年
間は生きられるとか。
スロベニアには6000以上の鍾乳洞がある。その一つが唯一の世界遺産になっている“シュコツィア
ン洞窟群”で、地下峡谷は世界最大となっている。
アイスクリーム 巨大化した鍾乳石 スパゲッティ
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