天地否  ーー坤下、乾上
「閉塞状態。閉じた出口。」
運気閉塞状態で、何事につけ苦労の割に意の如く運ばず。
無理をしても状況は悪くなりこそすれ良くならない。
現状に悲観せず、努力を怠らねば、やがて運気が開ける。


この卦は上が天、下が地で、まことに真っ当なようですが、安定しすぎて動きようが無い状態です。
陽と陰が離ればなれで一体となろうとせず、発展性がありません。
動きようが無く、新しい方向へ進むことも出来ず、成果も上がらず、閉塞状態です。
運勢も閉塞状態です。じたばたせずに時節到来を待つしかありません。
外面はしっかりしているようでも内部は問題を抱えていることがあります。
「大行き小来る」ですから、努力の割に成果は小さい、投資の割に利益は少ない、期待の割に結果は大したことなし、ということでしょう。
(概説)
「願いごと」ー成就せず。時期を待つべし。
「商ごと」ー障害多く損害あり。
「相場」ー当分安値。
「受験」ー不成績。
「病気」ー回復困難。
「就職」ーかなわず。
「天気」ー荒れ模様。砂嵐。
「旅行」ー障害あり、よろしきところなし。
「開業」ー時期を得ず。
「転業、移転」ー思いとどまるべし。
「失物」ー出ず。
「方角」ー北西、西南。
「色」ー黄灰色
「初爻変爻」の場合:
  うまくいきません。一人では出来ない、かと言って仲間でうまくいくとも限らない。
  無理をしないように。

「二爻変爻」の場合:
  自分から進んでことを起こそうとせず、流れに任せること。
  自己主張はダメ。

「三爻変爻」の場合:
  意見は胸にしまって外に出さないこと。
  内部に問題が隠れていることがある。

「四爻変爻」の場合:
  少しづつ運気が開けてくる頃です。
  目的意識をしっかり持つこと。

「五爻変爻」の場合:
  否の状態から抜け出せるのももう少しですが、うっかり気を緩めないように特に注意が必要です。

「六爻変爻」の場合:
  やっと閉塞状態から抜け出すことが出来ます。問題も解決するでしょう。


否はこれ人にあらず。君子の貞によろしからず。大行き小来る。

彖に曰く、否はこれ人にあらず、君子の貞によろしからず、大行き小来るとは、すなはちこれ天地交わらずして万物通ぜざるなり。上下交わらずして天下に邦無きなり。
内陰にして外陽なり、内柔にして外剛なり、内小人にして外君子なり。小人は道長じ、君子は道消するなり。

象に曰く、天地の交わらざるは否なり。君子はもって徳を倹(つづまやか)にし難を避く。
栄するに禄をもってすべからず。

初六。茅(ちがや)を抜くに如たり。その彙(たぐい)と以(とも)にす。貞なれば吉にして亨(とお)る。
   象に曰く、茅を抜く、貞なれば吉なりとは、志君に在(あ)ればなり。
六二。包承(ほうしょう)す。小人は吉なり。大人は否にして亨る。
   大人は否にして亨るとは、群れに乱れざるなり。
六三。羞を包む。
   象に曰く、羞を包むとは、位当たらざればなり。
九四。命あれば咎なし。儔(たぐい)祉(さいわい)に離(つ)かん。
   象に曰く、命あれば咎なしとは、志行わるるなり。
九五。否を休む。大人は吉なり。それ亡びなんそれ亡びなんとて苞桑(ほうそう)に繋(かか)る。
   象に曰く、大人の吉なるは、位正しく当たればなり。
上九。否を傾く。先には塞がり、後には喜こぶ。
   象に曰く、否終われば傾く。なんぞ長かるべけんや。


(解説)
否の時は人として正しい道を踏み行こなえる時ではない。君子は貞正を守ってもよろしきことは無い。

天は上に登り地は下に降りて交わることが無いように、大人は離れ小人が地にのさばる。
象伝に曰く、否はこれ人にあらず、君子の貞によろしからず、大行き小来るとは、すなはち天と地が交わらず万物が育たないように、上下が交わらず国家は一体とならない。
内部は陰だが外観は陽、外は剛健に見えるが内部は軟弱、外観は君子のように見えても内側は小人である。
小人が日々増長し君子は日々消衰する。

象伝に曰く、天と地が交わらず相和することが無いのが否の時である。このような時、君子は己の才徳を秘めて言動を控え、余計な難を被らないようにする。
このような時、高い地位などに就かないことである。

初六。茅を一本引き抜くと根の繋がった周りの茅が一緒に抜けてくるように、彙(仲間)と共に行動することになる。
   貞正を守っておれば吉であり道が通じる。
   象伝に曰く、茅を抜く、貞なれば吉なりとは、苦難にある君主を支えるとの志を持てば亨るということである。
六二。自己の主張をせず大勢に呑まれて行動する。小人はこれで吉である。大人は自己否定になるが今はそれで享る。
   象伝に曰く、大人は否にして亨るとは、敢えて小人の群を乱さず、難を受けないからである。
六三。羞を包み隠して表に出さない。
   象伝に曰く、羞を包むとは、地位が正しくない(まだ力が不足している)からである。
九四。天命(君命)に応じて行動すれば咎めはない。儔(同類)と共に福祉を得る。
   象に曰く、命あれば咎なしとは、願うところが行われることになる。
九五。否が終わろうとしている。大人は吉であるがまだ気を緩さず、滅びるぞ、滅びるぞと心を引き締めねばならぬ。
   象に曰く、大人の吉なるは、その地位が正当であるからである。
上九。閉塞の状態が終わろうとしている。初めは塞がっていても後には解決し喜ぶようになる。
   象に曰く、「否」が終わろうとするときである。閉塞状態が長く続く訳はないではないか。


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