「二爻変爻」の場合:
あれこれ引っ掛かりがあって、どうしても逃げ難いことになります
それも仕方が無いことですが、今は逃げる時であることを忘れないように。
「三爻変爻」の場合:
なかなか逃げられませんが、思いきって遁れることで展望が開けます。
腐れ縁はきっちりと切り捨てることです。
「四爻変爻」の場合:
まだつまらぬことに執着していませんか?捨てなさい。
「五爻変爻」の場合:
うまく遁れることが出来そうです。ぼちぼち今後のことも考える必要が有ります。
「六爻変爻」の場合:
一件落着、でしょう。ゆっくりと英気を養う時です。
彖に曰く、遯は亨(とお)るとは、遯(のが)れてとおるなり。剛、位に当たりて応じ、時とともに行うなり。
小は貞なるによろしとは、ようやくにして長ずればなり。
遯の時義、大いなる哉。
象に曰く、天の下に山あるは遯なり。君子もって小人を遠ざけ、憎まずして厳しくす。
初六。遯尾なり。危うし。往くところあるに用うるなかれ。
象伝に曰く、遯は亨るとは、逃れ退くことで亨るということである。逃れる者は正しい位置にあり時の流れに即応しているからである。
小は貞なるによろしとは、陰爻がジワリと伸びてきた状態でまだ力が弱いからである。
君子でも逃れるべき時であるとのこの卦の意義は誠に大きい。
象伝に曰く、天(乾)の下に山(艮)があるのが遯である。山は如何に高くとも天より遥かに低い。この卦に則り、君子たるものは如何に力を付けたと言っても小人を遠ざけ、これを憎ぬことなく厳しくしなければならない。
初六。豚のシッポのように逃げ遅れて危うい。進んで事を行う時ではない。
象伝に曰く、逃げ遅れて危ういときは、行動しなければ何の災いも無い。
六二。いろんなしがらみや思い入れがあり強靭な革ひもで繋がれたような状態で逃げられない。これを解くものはいない。
象伝に曰く、黄牛で縛るということは自らも覚悟をかためることである。
九三。遯(のが)れようとするが係わりがあって出来ず、病に罹ったように苦しむ。気になっても小人を臣下か奴婢のように適当に扱えば助かる
象伝に曰く、遯に係がる危険は、疫病に罹り身体が動かないようなものである。臣妾を畜うに吉なりとは、共に大事を行うべきでないということである。
九四。気になることがあっても決然と遯(のが)れる。君子はそのようにすればいいが、小人はそうはいかない。だから君子は吉だが小人は否(しからず)である。
象伝に曰く、君子は好(よろしき)を保ち遯れることができるが、小人は否なり。
九五。喜んで遯(のが)れる。その貞生さを持ち続ければ吉である。
象伝に曰く、嘉く遯る、貞なれば吉なりとは、志を正しく保っているからである。
上九。係わりを切り捨て悠々と遯る。利(よ)ろしからざるなし。
象に曰く、肥かに遯る、利ろしからざるなしとは、心に疑うところがないからである。