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ベラ・ドッドの「予言」

The "Prophecy" of Bella Dodd
クリストファー・A・フェララ
Bella Dodd
 
1952年
教会の現在の混乱と道徳上のスキャンダルを念頭に最近の教会史における顧みられていない小部分に考察を加えることは良いことでしょう。その小部分とは、公にされたベラ・ドッドの証言のことです。彼女はカトリックに転向するまで合衆国の共産党のための法律顧問を勤め、その後カトリック教会への共産主義者の侵入において自らが果たした役割について償いをしながら、その余生を送りました。
クリスチャン・オーダー』誌(2000年号)は、ドッドと彼女の同僚ダグラス・ハイドが共産主義の教会転覆計画について語った様子を伝えています。
元共産主義者でありよく知られた転向者であるダグラス・ハイドは、1930年代に共産党指導部からカトリック教会への侵入についての世界規模の指令があった事実をかなり以前に明らかにした。またミセス・ベラ・ドッドも1950年代の初期に、共産党の教会転覆についての詳細な説明を提供した。アメリカの共産党における元高級職員としてミセス・ベラはこう言った。「1930年代に私達は、教会を内部から破壊するために1100人の人間を教会の聖職の中に送り込みました」。その目的は、それらの者達を司祭にし、そしてなお枢機卿や司教といった影響力と権限を持った地位に昇らせることであった。第二バチカン公会議の十数年前に彼女はこう言っている。「正に今、彼らは教会で最も高い場所にいます」。その場所で彼らは、共産主義に対する教会の力を弱めるために “変化” をもたらそうと働いたという。彼女はまたこうも言った。「(これらの変化はあまりに徹底したものなので)あなたはそれが同じカトリック教会であるとは分からないほどでしょう」。
ドッドは1950年代に、非米活動委員会 [1] の席上、教会と国家に対する共産主義の侵入に関して多くの証言をしました。また同じ頃、フォーダム大学での講義において、将来における教会の混沌に関する不気味な予言とも思えることを明らかにしました。その講義には一人の修道士が出席していましたが、彼は彼女が話したことについて書き、下のように『カトリック・オーダー』誌に掲載されました。
Douglas Hyde
私は彼女の話を四時間聞きましたが、その内容は私にとって終始身の毛のよだつようなものでした。しかし彼女の言ったことの全てが、文字通り現実のものとなりました。人は彼女のことを世界で最も偉大な予言者だと思うかも知れません。しかしそうではありません。彼女はただ、共産主義がカトリック教会を転覆するために企んでいた段階的な戦闘計画のことを暴露していただけなのです。彼女は、全世界の宗教のうちカトリック教会だけが共産党の恐れるものである、何故ならそれは彼らにとって唯一手強い敵だから、と説明しました。全てが破壊という目的に向けられました。それは教会の制度を破壊するというよりはむしろ人々の「信仰」を破壊することでした。そして、一つのまがいものの宗教──カトリックに似てはいるが本物ではない宗教──を促進することによって信仰を破壊するという目的のために、もしそうすることが出来るならば、教会の制度をも利用する。そしてひとたび信仰が破壊されれば──彼女はこう説明しました──教会の中に一つの罪意識(コンプレクス)がもたらされ、それはそれまでの教会に「過去の教会」というラベルを貼るだろう。圧政的であるもの、権威主義的であるもの、自分が真理の唯一の所有者であると主張するが故に偏狭且つ尊大であるもの、そしてあらゆる時代に起こった宗教の分裂について重大な責任があるものとして「過去の教会」というラベルを貼るだろう。このことは教会の指導者達を恥じ入らせ、彼らをして「世界への開放性」に同意させ、そして全ての宗教と哲学に対して更に柔軟な態度を取らせるために必要である。共産主義者達は教会の土台を掘り崩すために、この「開放性」というものを道具として使うだろう
上の記事が言っていることに、あなたは何か思い当たるところがないでしょうか。あなたは、第二バチカン公会議以来昏睡状態にあったのでない限り、ベラ・ドッドは今日のカトリック教会の状態を描写していたのだ、と気づいた筈です。今日、公会議後の聖職者達は、教会の “耐えがたい過去” についての罪の意識にふけり、死んだカトリック教徒達の罪に関し公的に謝罪してまわり(ホモ司祭の犠牲になった人達の存在の隠蔽等、生きている信者らに対する彼ら自身の罪ではなくして)、そして他宗教の美点を誉め上げ、それによって事実上、「教会の外に救いなし」という定義済みのドグマを投げ捨てています。
ベラ・ドッドは予言者ではありませんでした。彼女はただ、教会への侵入者達が何を計画していたかを私達に語っただけです。そして、見よ、彼らはそれを為したり。
管理人注
非米活動委員会(Un-American Activities Committee):
米国下院議会にあった常任委員会の一つ。国内における反体制的・反政府的活動を「非米活動」として取り締まるための調査・立法を行うことを目的に、1938年特別委員会として設置。45年常任委員会に昇格。75年廃止。
訳出 2009/04/21
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