1976年3月30日(前半)
E = エクソシスト
J = イスカリオテのユダ、人間の悪霊 [18]
B = ベルゼブブ。熾天使の階級から落ちた堕天使
聖母は命じておられる
E: イエズスの聖名によりて、誰が語らねばならぬかを我らに告げよ。
J: イスカリオテのユダが語らなばならない。
E: 悪霊イスカリオテのユダよ、我ら司祭は、イエズス・キリストの代理者として、お前に、至聖三位の聖名によりて命ずる... 告げよ! お前はいつ去らねばならぬのか? イスカリオテのユダ、これら全ての祈祷文の聖名によりて、また教会の聖名によりて、お前は語らなければならない!
J: そんな質問はハナから余計である。何よりもお前達の仕事が処理されなければならない。〔うなり声をあげる〕
E: 主イエズスの聖名によりて、問う。どんな仕事が処理されなければならないのだ?
J: この小さな本の出版の仕事だ [76] 〔再びうなり声をあげる〕 ──それはまだ全てではない、まだ全てではない。
E:「それはまだ全てではない」とはどういう意味か? 真実を述べよ! お前は語らねばならない! …の聖名によりて、真実を述べよ!
J: 我々は話したくない... 我々は話したくない...
E: ミサの至聖なる秘跡の聖名によりて、最後の晩餐の後にお前に裏切られた天主の聖名によりて、お前は今語らねばならない!
J: もし私が知っていたならば、私は決して彼を裏切らなかっただろう!
E: その聖なる夕に、お前はイエズスを裏切った。そして今、お前は、彼の聖名において、またキリストを裏切らなかった全ての使徒達と教皇達の聖名において、語らなければならない! さあ、真実を、真実のみを語れ! お前は語らねばならない、イスカリオテのユダ!
J: 印刷されたものは終わっている。しかし、それで全て終わったわけではない!
E: 他にまだ何が必要なのだ? …の聖名によりて、真実を語れ!
J: 我々は絶対に言いたくない! 帰れ! ただ帰れ!
E: それはできない。我らは今は帰るつもりはない。イスカリオテのユダ、そしてブルゼブブ、お前達は今語らねばならない! 我らはお前達に真実だけを語るようにと命じる! …の聖名によりてお前達は、福いなる童貞がお前達を通しておっしゃりたいことを言わねばならない! 彼女の命令によりてお前達は語らねばならない! 更に言わねばならないこととは何か?
J: 我々はどんなに彼女を〔上を指差す〕憎んでいることだろう! ああ! どんなに彼女を憎んでいることだろう!
E: そうだろう。しかし、彼女の聖名によりて、カルメル山の聖母の聖名によりて、お前は語らなければならない!
J:〔ため息をつく〕しかしお前達は我々にそれを命ずることはできない!
E: いや、できる! 彼女はお前達の女王であり、お前達の支配者である! 全地獄が彼女に従わなければならない!
J: その通りだ。彼女は〔上を指差す〕確かに... 彼女はそうに違いない〔悲しげに泣き叫ぶ〕 彼女は彼女の冠と笏杖を持ってそこにいる... 冠と笏杖を持ってそこにいる... そして頭に冠を戴いて、彼女は十字架を、あの気狂いじみた、憎むべき十字架を運んでいる。〔心臓を引き裂くかのような吠え声をあげる〕 ああ! 我々はどんなに彼女を恐れているだろう!
E: Tell us, in the name of the Blessed Virgin, and in the name of the Most Holy Trinity, what you have to tell us, and nothing but the truth!
J: 我々は一人の女が我々の上に支配権を振るうことを望まない! 我々はそれを望まない!
E: In the name of the Most Holy Trinity, Father... , tell the whole truth!
J: 私は、幾らかは既に言ったことを繰り返さなければならず、また幾らかは新しいことを言わなければならない。
E: Judas Iscariot, say now what the Blessed Virgin has charged you to say, in the name of the Most Holy Trinity!
J: おおよそのところ、ヴェローバは、「祈り続けるとは逆説的なことだ。何故なら、もしそれがなかったら、警告は既に来てしまっていただろうから」ということを言った。しかしそれがそうである理由は、まだ幾らかの人々が救われるかも知れないからだ。
E: Continue to say what the Blessed Virgin has charged you to say, and nothing but the truth! She commands you now, Judas!
J: 福いなる童貞はこの憎むべき不愉快な小さな本が広く配布されることを望んでいる。これが、全世界が現在何が進行中であるかを知るために、我々が言うべきこととして残っていた唯一のことである。人々は自分達の生き方を変えることができるし、人々は確かに我々がローマを通して普及させているそれらの物事を疑い始めることができる。彼らは古い伝統に立ち返ることができる。我々が言うべきことは他には何もない。──以上が言い残していたことの全てである。
E: 福いなる童貞の命令によりて、彼女がお前に言うようにと命じておられることを語り続けよ! そして他のことは何も言ってはならない! さあ、語れ! それで全てなのか?
J: 彼女は〔上を指差す〕確かにそれについてまだ言いたいことがある!
E: お前は …の聖名によりて真実を言わねばならない! さあ、語れ、イスカリオテのユダ! お前は教会のために語らねばならない!
J:「何であれ」この呪われた汚物溜めである教会のためには多過ぎはしないのだ!
E: 教会のために、滅びることなき聖なる教会のために、…の聖名によりて、さあ、語れ!
J: いいだろう。私は語ることを強いられている。
E: そうだ。地獄の門が教会に勝つことはない。お前達には教会を破壊する力はない。
J: 教会に関する話は後で言われるだろう。私は最初に私の主題に固執しなければならない。それは後になるだろう、後になるだろう!
E: では、語れ、ユダ! 福いなる童貞がお望みになっておられることを、…の聖名によりて、言え!
J: 彼女は、今、全く単純に、性の問題、及び概して若者達がなすべきことについて、再び取り上げたいと望んでいる。彼女はそれを今一度知らしめたいと望んでいる。即ち、それは説教壇の上から宣言されなければならない。即ち、そこで善徳について説教されなければならない。〔苦しげに呼吸する〕 即ち、過ち(fault)の重大性が宣言されなければならない。──分かるか?──過ちというものがどれほど重大なものであるかを。そしてそれが人を何処に導くものであるかを。
E: それはどんな過ちか。…の聖名によりて、述べよ!
人間の罪
J: 罪の全ての過ち、特に個人的な罪のそれぞれにおける全ての過ちのことである。これらの罪(複数)は、各々の司祭に最も適した仕方で、別々の説教で個別に言及されることもできるし、また一つの説教の中でひとまとめに言及されることもできる。しかし、何を措いてもまず聖霊に祈ることが必要である。
E: Judas Iscariot, speak in the name of the Most Holy Trinity, Father... Judas, speak!
J: 以下のことがより一層、若者達の注意を、そして全ての信者達の注意を引かなければならない。即ち、過ちというものが如何に深刻なものであるか [77] 、如何におそろしく深刻であり、致命的なものであるか。それは何処から来て、人を何処に連れて行くのか。それはどのようにして来るのか。どうやったら自分自身をそれから離しておけるのか。それを少なくすることができるためには何が為されなければならないのか。それを全く根絶することができるためには何が為されなければならないのか。... 等々である。〔泣き叫ぶ〕
E: Judas Iscariot, continue telling the truth on behalf of the Blessed Virgin, the Mystical Rose!
J: とりわけ、祈りはキリスト者の人生のための最も重い錨である、ということが言われねばならない。このことがマイクを使ってではなく説教壇の高みから言われねばならない。1000のマイクも説教壇の代わりにはならない。司祭が説教壇から話す時、信者達は天主の言葉と直接に結ばれる。その時彼らは、前、後ろ、全ての方角にある、人の気を散らせ得る全てのものに気を取られることがない。彼らは真っ直ぐに彼らの上に立っている人を見、そしてより良く集中できる。
E: しかしそのようなこと全ては、既に、福いなる童貞がお望みになったその小さな本の中に見出されるではないか [78]
J: そうだ、それは既にそこにある。しかし私はもう一度言うことが必要だったのだ。そしてそれはもう一度書かれなければならない。
E: 以前、いつ、お前はそれを言ったのか? イスカリオテのユダ。お前はそれを覚えているか? …の聖名によりて、答えよ!
J: 覚えている。10月31日(1975年)だ。
E: 続けよ! …の聖名によりて、続けよ!
J: 過ちはお前達が表現できるより遥かに重大である。それはこのようである。我々悪霊達はひどく醜い者達である。我々は互いの間でも恐れ合っている。我々は醜悪な外観を持つ。我々は互いに耐えることができない。もし我々が互いを見ることを免れるならば! しかし、そうはいかない、そうはいかない! 我々は全永遠に向けてその悪霊的な穴の中で生きなければならず、そして互いを見なければならない!
しかし、我々が人間達の心の中ある罪、過ちを見なければならない時、それはいつも我々を再び酷い恐怖の中に突き落とす。私がこのように言えば、お前達は自分達自身で過ちの深刻さを思い描くことができるだろう。その時、それは我々を恐怖の中に突き落とす。それは、昼も夜も恐ろしい苦悩の中に過ごし、毎時間ごと毎分ごとに恐ろしい光景の中でも最も恐ろしい光景を見なければならず、それ故大抵のことには慣れている我々をも、恐怖の中に突き落とすのだ!
それ故お前達は、過ちというものがどれほど重大なものであるか、特に上のあそこの彼〔上を指差す〕、その玉座が他の全てのものを凌駕している彼の目から見てどんなに重大なものであるかを想像することができる。これが私がまだ言わなければならなかったことだ。〔悲しげに泣き叫ぶ〕
E: Continue to tell the truth, Judas Iscariot, and nothing but the truth, in the name... in the name of the Immaculate!
B: もしお前達が彼の〔上を指差す〕持っている玉座がどんなものであるかを知っていたならば! これを言っているのはユダではない──ベルゼブブである! それは、私、ベルゼブブである!
E: いいだろう。お前は天主の主権というものが如何なるものであるかをユダよりもよく見て来た。語れ、…の聖名によりて!
マリア、教会の母
B: ユダは天主の卓越性を見てこなかった。私が言いたいのは、彼は天主の人性を見て来たということだ。そして彼は天主の卓越性の断片に触れることができた。しかし彼は天主の卓越性をその全体像において見たわけではない。お前達にはこれがどういうことか分かるか? 私は天主を見てきた。それは、お前達がいつの日か彼を見るであろうような仕方でもって私も彼を見てきた、という意味ではない。しかし私は彼を理解できた。私はその大部分を見、且つ経験してきた。我々は完全なる至福直観の無欠性の内にはまだいなかった。しかし既に極めて強力な至福の状態の内にいたのある。しかし我々は彼女に我々の上に統治権を持つことの光栄を、あるいは我々に命令することの光栄を、与えるのを良しとしなかった。これはまだ言われねばならないことに繋がっている。
E: Continue to tell the truth, Beelzebub, by order of the Blessed Virgin, who commands you to speak, and nothing but the truth!
E: 彼女はまったく我々の上にいる。彼女はまったくもって我々の上にいる。
E: Speak, Beelzebub, in the name of the Father... , by order of the immaculate Conception!
B: 彼女はこれらのことを、特に私が言うことを望んだ。彼女が選んだのがアリーダでありさえしたなら! しかし彼女は私がそうすることを望んだ!
E: You are required to speak now, Beelzebub, in the name... !
B: さあ、注意して聞け! 私はこのことを言わねばならない。彼女は私を強いている!
E: そうだ。非常に結構だ。…の聖名によりて、語れ!
B: 彼女は彼女の冠と笏杖を持ってそこにいる。彼女はそこにいる。彼女はほとんど私を押し潰す。それは、このようなことである。初期において、使徒時代において、彼女、その母は〔上を指差す〕まだ生きており、彼女はある意味で初期の教会を組織しなければならなかった。彼女は祈らなければならなかった。それが然るべく発展するように、それが...〔ため息をつく〕
E: In the name of the Father, and of the Son... tell the truth!
B: ... それが聖霊の意志に従いつつ発展するようにである。彼女は昼も夜も跪いた。彼女は教会がそのようになることを祈った。そしてまた、教会が古いもの、即ちモーセの法を免れるようにと、即ち割礼が廃止されるようにと祈った。彼女は割礼というものが或る特定の期間に適用されたものであり、その期間の法に従って必要とされたものであったことを理解した。即ち割礼は、イエズス・キリストとその使命の後、もはや必要ではなかったのである。イエズス・キリストは自らは割礼に服従したが、しかしそれが続くことを望まなかった。それ以降、そこにはミサの聖なる犠牲があったのだ。〔ため息をつく〕
E: Beelzebub, continue by order of the Most Holy Trinity, Father... and the Immaculate Conception, on whose behalf you must speak today!
B: 使徒達が初めてミサを捧げた時、福いなる童貞もそこにいた。キリストの昇天の後、福いなる童貞は使徒達のミサにいつも与り、聖体拝領をしていた。彼らは彼らのミサのために何時間もの準備をしたものだった。今日、そのようにする司祭が一人でもいるだろうか? おそらくほとんどいないだろう! 非常にしばしば使徒達は、一つのミサの前の全ての日々を自分自身を準備するために費やした。そのような一つのおり、福いなる童貞は十日間引きこもり、昼も夜も祈った。その時、彼女は天国に呼ばれ、天主の無限の卓越性を見たのである [79]
天主、聖なる三位一体は、下のあそこにいる我々に、地獄から出て上に来るようにと命じた。〔初めに下を指し、次いで上を指す〕 そこは完全な天の国というわけではなかったが、それでも十分優れた場所だった。我々は上に上がって来なければならず、そして好むと好まざるとに関わらずその被造物を見なければならなかった。聖三位一体は我々に、そのほとんど完全な卓越性を持った彼女を見ることを強要した。彼女の卓越性と輝きは、我々がそれまで見たどんなものよりも偉大だった。彼女は勝利を収めた。彼女は我々を打ち倒した。
我々は彼女が太陽を身にまとうのを見た。いずれにせよ我々は、大きな栄光に包まれて月を──即ち世界を──自らの足の下に踏んでいる彼女を見た。彼女の足の下の月は、蛇をその敵として持つところの全世界を表わしていた。蛇は我々全てのシンボルである。
我々はどれほど天主に嘆願したことだろう! どれほど彼の玉座に、我々がその光景を見ずに済むようにと懇願したことだろう! 我々は彼に、我々が地獄に戻ることができるように、地獄に向かって急ぎ戻ることを我々に許してくれるようにと嘆願さえした。我々にとって彼女を見ることはあまりに堪え難いことだったからである! しかし彼は我々がそこを離れることを許さなかった。我々はその恐ろしい光景を見ることに、まだもう少し堪えなければならなかった。〔絶望的なうなり声をあげる〕
E: Speak, in the name of the Most Holy Trinity, Father...
B: お前達は、我々が、たとえどれほど僅かであれその被造物を弱め、引きずり降ろすことができる方法について、しばしば熟考したかを知っているか?〔上を指差す〕
しかし、我々のしたことは何一つ成功しなかった。彼女は至る所で勝利を収めた。 彼女は全ての上に君臨していた。我々は、彼女がやがて来る時(生まれる時)我々に何ができるか、何をすることが可能かを、何年も、何世紀もの間、熟考し続けた。しかし、彼女が来た時、我々には、それが彼女だと直ぐには見分けることさえできなかった ...
E: 直ぐには見分けることができなかった?
B: ... 直ぐにはできなかった ... 我々は、そのように驚異的な、信じられないほどの高潔さを持った被造物、我々がその上に何の影響力も持たない被造物が、彼女であり得るなどと思うことができなかった。しかし、何故我々は、それを直ぐに知ることができなかったのか...〔不平を鳴らし、しきりにため息をつく〕
E: You must speak now, Beelzebub, continue in the name of the Most Holy Trinity. Father... of the Immaculate Conception, by whose order you must now speak!
B: ... そして、誰が彼女を後ろに隠していたのか ... ルシファーと私ベルゼブブは共に全体会議を召集した [80] 。我々が最終的に「それは本当に彼女なのだ」という結論に達してからは、我々が彼女を傷つけるためにできるかも知れないことを見出すために、長い間、昼も夜もなく熟考した。この目的のために我々は、最高の魔術師達(最も偉大なオカルト・パワーを持った者達)を召集した。我々は彼らに「かの婦人」〔上を指差す〕をその体と心の両方において傷つけるようにと命じた。それは、彼女があまり強い力を持たないように、彼女の祈りがあまり致命的なものとならないように、そして彼女がそのような力を使うことができないようにするためであった。
何故なら、我々は、やがて教会は彼女の手の中に置かれるだろうことを非常によく知っていたからである。ペトロでさえ、過ちを犯した時、彼女の足元に倒れたものだった。〔うなり声をあげる〕
彼女は天主の被造物の中で最も愛の深い完全な者だった故に、計り知れない力を持っていた。彼女は驚くべき完全性を持った被造物であり、天主自身のことを除外すれば、全ての被造物の上に何千倍も何万倍も優っていた。彼女の配偶者である聖ヨゼフ、彼は他の人間達より何千倍も何万倍も優れているが、その彼でさえ、彼女の前では何千倍も何万倍も劣る者であった。
E: In the name of the Father... in the Name of the Blessed Virgin's Immaculate Conception, continue to tell the truth! Continue, Beelzebub, go on, continue! And nothing but the truth!
B: それ故、我々は熟考し、そして魔術師達は、彼女を害そうと試みた。彼らは、彼女を害するためにあらゆることをした。しかし、彼女は祈ることを貫徹した。彼女は堅固に立っていた。彼女は起こっていることによく気づいており、我々は何も達成することができなかった。我々はこの不愉快な被造物を害することができなかった。何故なら、彼女は他の人間達のようには原罪の下にはなかったからである。魔術師であれ、魔法使いであれ、その他の誰であれ、誰一人彼女を害することができなかった。黒魔術は、我々が害することのできる人間をのみ、特に憑霊された人間を、害することができる。しかし、悪霊的魔術師達は、彼女の上には何の影響も及ぼすことができなかった。〔上を指差す〕
そして我々は、彼ら全てが一団となってしてもこの理解を超える被造物、天主の手の中にあるこの者に対してこれ以上何もできないと知った時、猛烈な激怒、気も狂わんばかりの激怒、地獄だけが持つことのできる激怒を覚えた。そして我々は猛烈に魔法使い達や魔術師達に飛びかかり、結局、我々が傷付けたのは彼らだったのである。彼らは、彼女〔上を指差す〕に加えられる筈だった傷の二倍の傷を負った。〔うなり声〕
E: Continue, Beelzebub, in the name of the Father, the Son and the Holy Spirit, in the name of the Immaculate Conception, by whose order you must now speak! Tell the truth!
B: これらのことを言うことを余儀なくされたのが私であるというのは、私にとっては馬鹿げた償いである!
E: Go on! Continue to tell the truth, and nothing but the truth! You have no right to lie!
B: 私を放っておけ! この(憑霊された)女は心臓発作寸前だぞ!
E: The Blessed Virgin orders you to speak for the Church, in the name... !
B: 嫌だ、言いたくない!
E: Yes, you must! Go on! Speak!
B: 嫌だ、私を放っておけ!〔うなり声〕
E: You must speak now, in the name of the Most Holy Trinity, in the name of the Immaculate Conception of the Most Blessed Virgin Mary, you must speak now!
B: いいだろう。自分達が標的を外したのを見た時の我々の地獄の激怒、それを表現するのは不可能だ。それが成功しなかったので、我々は再び彼女を傷付ける方法について熟考した。しかし彼女は我々の邪悪な努力の全ての上を飛ぶことができた。彼女は優れていた。彼女は真に天主によって選ばれた、全く特別に選ばれた被造物だった。
地球が存在する限り、正しく世の終わりまで、お前達は彼女に匹敵する者を決して見ることはないだろう。世の始まりから永遠に、彼女に匹敵する者は決して出ないだろう。出る筈がない。そして上にあそこにいる彼は〔上を指差す〕、この被造物を我々に見せるために、我々をこの世界に引き上げるのが最も残酷で、且つ恥じ入らせることのできる方法だと考えた。我々にとってそれは全く恐ろしい災難だった。〔涙声〕 我々にとっては、彼女を無理矢理見せられるくらいなら、地獄の深淵、あの残酷な炎の中に留まっている方がマシなのだ。我々は言いたいことが言えない。しかし、できるならば、最も汚い形容詞を使いたいほどである。しかし彼女はそれを許さない。
E: Tell the truth! You must speak now in the name of the Blessed Virgin, in the name of the Most Holy Trinity!
B: 我々にとって、いと高き御者に選ばれ、偉大なる聖性を身にまとって、冠をかぶり、笏杖を手にしているこの被造物を無理矢理に見せられることは、全くもって恐ろしいことだった。〔激しく泣く〕 今だにその光景が目の前にちらつく。過去の光景であるのに。考えるとまた頭に来る。〔大声で叫ぶ〕 まるで今日それが起こったかのようだ。私には今日のように思えるし、他の悪霊達もそう感じている。今でも我々はこのことで頭に来て、地団駄を踏んでいる。
最終的に我々が地獄に戻らねばならなかった時──それは命令されてというよりは許されて戻るという感じがしたが──我々はお互いに対して怒り出した。即ち、お互いを虐待したのである... お互いの姿を見て我慢がならなくなったのだ。
同じような地獄の出来事をもっと話さなければならない ...〔叫び声と恐ろしい嘆き声〕
E: Continue to tell the truth, in the name of the Most Holy Trinity... !
B: ある時、彼女は、彼女の息子によって建てられた教会を整えるのを助けている間、祈りに没頭していた。全能なる天主が彼女を常にその手の中に置いていたのも無理のないことだった。それほどに天主は彼女に満足していた。
そこへ、使徒バルナバが他の者を引き連れてやって来た。彼らは彼女の前に平伏し、そして今こそ教会のために福音が書かれなければならぬ時である、と当を得た指摘をした。彼らは長い間聖霊に祈り、何日もぶっ続けに絶えず祈った。これほどの祈りは今日もう行なわれない。行なわれたとしても特殊な事情と場所においてだけである。そう、彼らは数日間祈った。誰が福音記者となるべきかを知るために、祈りで天を攻めたてたのである。その後、福いなる童貞は、あのルカ、あのヨハネ、あのマルコ──もう一人の名前など私の知ったことではない!──を、あの忌まわしい書物を記す者達として指名した。このことで、どれほど我々が不愉快な思いをしたことか。今でもイライラする! あの、マテオ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書が世に出た時の我々の思いは、どれほどだったかわかるか?〔怒ってうなり声を出す〕 考えてもみよ。あの四人は三位一体の天主と忌まわしい尊厳なるものを持った福いなる童貞によって選ばれたのだ! 命ぜられたのはペトロではなかった。彼ではなかった。彼は岩であり、全ての仕事の責任者だった。そして教会は彼の上に建てられた。しかし、福音記者となったのはあの四人の使徒達だった [83]
E: Tell the truth, in the name... !
B: それから、聖霊が鳩の形をして彼ら(そこに集まっていた者)の上に降臨し、人々はその四人が指名されたことを悟った──他の者全員がこれを見た。しかし、もうこれ以上言いたない。
E: Yes, you must! In the name of the Father... in the name of the Immaculate Conception, you are required to speak, Beelzebub, go on!
B: バルナバ達と他の者達が、福いなる童貞を訪問しに来た時、彼女はこう言った。「何よりも、あなたがたはキリストの生涯の話を宣ベ伝えて下さい。わかりますか? 賛美せらるるべきはキリストです。最も重要な地位におかれるべきもキリストです。私のことは、キリストのかたわらに置いて下さい。私に関しては、キリストの誕生と受肉を語る際、不可欠である時だけ、話して下さい。その他のことは重要ではありません。」
彼らは(彼女の偉大さを)証拠づける非常に偉大で且つ崇高な事実を知っていたし、見たこともあったが、そのことについては書き記すことができなかった。彼女について書く、という特権を与えられなかったことは、彼らにとって大きな犠牲だった。教会の礎となった御子イエズス・キリストに座を譲るために、彼女は最前線を退き、謙遜によって御自身が福音書から削られるように望んだ。しかし、天主の母である彼女は天主の偉大な印である。実に、彼女は教会の象徴である。彼(イエズス)は教会を花嫁のように愛しておられる。
それから、彼らが悲しい思いをしないように、彼女はこの二人の使徒(バルナバと彼が連れてきた使徒)にこう言われた。後に、キリストが再び彼女について話して下さる筈で、それは人間を通してか、又は誰を通してかはわからない、と。〔ひどく叫ぶ〕
E: アグレダのマリアが聖母について話した。
B:〔苦悩にゆがんだ表情で司祭の方に向き直る〕そうだ。アグレダの町のイエズスのマリアだ。それについては、我々は人間よりもよく知っている。そうだ、我々はあの本を呪っている、あの本を恐れている![管1] ああ、こんなことを強制的に言わせられるとは!〔ぶつぶつ不平を言った後、不安にかられた叫び声をあげる〕
E: Continue to tell the truth, and nothing but the truth! By order of the Blessed Virgin, you must speak now and in the name... !
教会の始まり
B: 教会のまさに始まらんとする頃、私はおとなしくしていなければならなかった。福いなる童貞と使徒達がこの任務を負っていた。特に、彼女の役割〔上を指差す〕は決定的なものだった。最高に重要な役割だった。彼女は我々を圧倒した。たびたび彼女は、昼も夜も使徒達の為に、彼らが正しく宣教を完遂することができるように祈っていた。我々が使徒達を打ち負かすことのないようにと、彼女はよく昼も夜も祈っていた。跪いて、昼も夜も、食事もせずに祈ることがよくあった。〔心配げなうなり声を出す〕それ故、彼女は今途方もない権能を持っているのだ。我々が今お前に話さなければならない高尚な真実がある。この本がその部分を削除して出版されるといいのだが。〔犬のように吠える〕
E: Continue to tell the truth, in the name... !
B: お前達は、今日のこの悪霊祓いを行なわなければ、数ヵ月早く本を出版できた筈だ。我々は言いたくない。言いたくない。我々はこれ以上話したくない。私、ベルゼブブは、これ以上話したくない。
E: You, Beelzebub, must continue to speak, in the name of the Most Holy Trinity, in the name of the Immaculate Virgin!
B: そういう訳で彼女は、自分を表立たないようにしたいと言った。こう望んだのは全く謙遜からだった。彼女は権能を有する被造物であるにも拘わらず、絶対に前面に立つことを望まなかった。我々でさえ、そのことを認識しなければならない。彼女は、我々のずっと上の方、お前達の天使がいるところよりもずっと遠く上の方におられたし、今もおられる。私が「遠く」と言う時、それは(測定できる)距離を意味するのではなく、無限の中に見失うほどの距離を言うのだ。即ち、それほど遠く、上方という意味であり、天使のいるところと彼女のいるところは途方もなく距離があいているということだ。〔泣き叫ぶ〕 彼女は恐ろしいほどに威厳ある被造物であるが、一歩下がったところに留まることを望んだ。これは人間にも、どうあるべきか〔ロごもる〕、如何に彼らも謙虚になるべきかを教えるために、彼女が望んだことだ。しかし人間はその通りにはしない。彼らがやり遂げることといえば、彼女が成し遂げたこと、そして彼女のお蔭で成ったことと比べれば、砂の一粒よりも小さいことだ。
E: 真実を語れ、聖名によりて... !
B: 人間は何もできないし、自分自身さえ無に等しいくせに、この永遠から運命づけられていた被造物が自分のことを話題にされるのを望んだよりもずっと強く、自分が話題になることを望んでいる。しかし彼女は、そこで注目の的となる立場から退いたのだ。しかし、そのことは我々にとってはまことに都合が良かった。その時以来、宗派というものが生まれることができて、〔悪意のある笑い〕その者達はこの被造物を認めようとはしないからだ。
もし彼女が遠慮なく自分が何者であるかを言っていたなら、もし使徒達が彼女の執り成しによって行なわれた偉大な奇跡を書きとめていたなら、そしてもしそのことが福音書に書かれていたなら、それらの宗派は雑草のようにはびこることはなかっただろう。〔うめく〕
何千もの宗派が現われた。それらの中には、福いなる童貞を激しく攻撃したり、カトリック信者を、この計画された被造物を認めているという理由だけで攻撃する者達が大勢いる。彼らがこの女を攻撃するのは、(カトリック信者による)彼女への信心業がキリストをないがしろにしていると信じているためである。しかしながら、彼女はキリストに仕えていただけなのだ [86] 。 これは我々にとっては偉大な勝利である。しかしそうすることによって彼女は謙遜を教えたのであり、このことは我々にとって大いなる恥辱だった。しかし、カトリック信者だけがそれを知っている。彼女は御子を愛することによって自分を排除することを望んだが、それは御子が最高の統治者となるためだった。彼女の苦しみに関しても、彼女は一つの役割を承諾されただけであり、その役割は絶対的に必要な部分だけを果したのだった。それでも使徒達は、彼女が何に対して苦しみ、何を耐え忍ばねばならないかを、特別な方法で予知して、彼女が如何に謙遜だったかを見た筈だ。
彼女は福音書の中ではほとんど目立たなくされている。もし彼女があまり謙遜でなかったら、どうなっていたか。しかし我々は幸運だった。結果は、宗派の発生だった。しかしながら宗派の発生は、天主が許したことだった。
E: 御父と... 、汚れなき御宿りと、奇すしきバラの聖母の聖名によりて、今、お前は全き真実を語らなければならない、ベルゼブブよ!
B: その時以来ずっと宗派は生まれてきた。彼らは、マリアがただ端の方にいる者で、上のあそこにいる彼〔上を指差す〕を宿す器としてたまたま選ばれたに過ぎない、と考えたのである。従って、彼女は古い... (私はこの言葉を使うことが許されていない)のように、消し去られて当然の成り行きだった。
E: 続けて真実を語れ、聖名によりて... !
B: 我々は上品だ。あまり下品な言葉は使わない。下品な言葉を使うのは人間から悪霊になった者達だ。我々は彼らよりもっと洗練されている。〔大声で自慢する〕 今思いついたことをお前達に言わなければならない。十月三十一日、ユダが自白させられた時、この女(憑かれた女性)の口を借りて笑ったのは彼ではない。ユダは絶対に、決して笑わない。既に以前話したように、ユダは最も絶望的な境遇にいる。彼は絶望の化身だ。ユダが自白させられた時、この女を通して笑っていたのは彼ではない。笑っていた、つまり意地の悪い笑いをしていたのは、他の人間から悪霊になった者達である。〔叫び声をあげる〕お前はこのことにも気づかなければならない。ユダは決して笑わない。彼は完全なる絶望である。彼は決して笑わない。我々はこのことを付け加えるべきだった──この点は(一九七五年)十月三十一日のユダの件の一部である。
E: さあ、もっと他に言わねばならないことは何か? 続けよ、福いなる童貞と至聖なる三位一体のご命令によって!
B: そうだ、あのペテン師だ... ああ、事態がこんなふうでなければ... 彼女のことについてもっと話すことができたら... [87]
さて、核心に触れよう... しかし、私は言いたくない。言いたくないのだ。
アンナ・カタリナ・エンメリックと
アグレダのイエズスのマリア
B: 教会の始まりに関しては、もう一度くり返して言うが、福音書には福いなる童貞のことはほとんど何も書かれていない。しかしその後、偉大な聖人達は天からの霊に動かされ、幻視と告げを通して、上におられる彼女〔上を指差す〕の生涯と働きについての啓示を受けたのである。
これら偉大な聖人の中でも優れた者の一人は、未だ列聖もされていないアンナ・カタリナ・エンメリック(Anne Catherine Emmerich)である!〔邪悪な喜びを感じて笑う〕 彼女は天の聖人達の中で最も偉大な者の一人である。
次に偉大なのはアグレダの町出身のイエズスのマリア(Mary of Jesus, of Agreda)である。彼女はアグレタに住んでいた。女子大修道院長だった。彼女の両親は早くから修道院に入る約束をしていた。それ故に彼らは、最愛の子供であるこの娘のために、この幻視という恵みを受けたのだ。
E: さあ、話せ、聖名によりて... お前の言う核心について、今話すのだ!
B: 福音書には、福いなる童貞についてほとんど書かれていないので、今、彼女は、特にこの混乱の時代に、アグレダのイエズスのマリアの本を読むようにと、説教壇の高いところから皆に薦められることを望んでいる。
全てのカトリックの家庭は必らずこの本を持つべきである。全巻そろえて持つべきである〔激しく泣く〕 初めは一巻だけだったが、今は厳密に正確に言えば青色の四巻と、赤いバインダーで編集された八巻とで成っている。〔うなりながら言う〕
E: 至聖三位の聖名によりて、続けて語れ... 汚れなき御宿りの聖名によりて、彼女の命令によってお前は話さなければならない!
B: というわけで、福いなる童貞はこの本がカトリックのどの家庭にも不可欠なこと、そして更にこの本はプロテスタント信者達にも薦められるべきであることを、司祭達が説教の中で話すように望んでいる。読者がこの本の豊かきを知ったら、すぐに理解するだろう、彼女は何と...
E: 至聖三位の聖名によりて続けよ!
B: ... 何と素晴らしく、選ばれ、運命づけられた被造物であることか! 行ないにおいても、思いにおいても、かつて人間には一度も与えられることのなかったほどの威厳を備えた被造物であることか。司祭達はこの非常に有益な書物を人々に知らしめ、全世界に配布しなければならず、皆がそれを早速読まなければならない。また、この本を読めば、我々悪霊の無限かつ完全なる不幸と、我々の頭を踏み砕くこの被造物の威厳と気高さについて理解できるだろう。〔歯がみしながら言う〕
E: お前は話さなければならない... 汚れなき御宿りの聖名によりて、この受胎告知の七日後に、ベルゼブブよ、お前は話さなければならない。また、大天使聖ミカエルの聖名によりて!
B: 彼女は望んでいる〔恐ろしい叫び声〕... 私は意志に反して話している、私の意志に反して。〔吠える〕だから、私はたとえいにしえの者(ルシファー)の望むことには我慢しなければならないとしても、上からのその婦人〔上を指差す〕の望むことには我慢がならない。私は話したくない [管2]
E: しかしお前は今、話さなければならない。聖名によりて... 汚れなき御宿りの聖名によりて、福いなる童貞の受胎告知の聖名によりて、大天使ミカエルの聖名によりて、教会に代わって話すのだ!
B: それに、これは我々の仕事ではない。我々の知ったことではないのだ。我々の使命は人間を堕落させることだ。人間を最善の道に向かわせるようなことはしたくない。これらの本を読めば人間はきっと最善の道をまっしぐらに進むことになるだろう。〔叫び声〕
E: 続けよ! 汚れなき御宿りの聖名によりて、カルメル山の聖母の聖名によりて、お前は話さなければならない! お前には嘘をつく権利はない、続けるのだ!
B: これらの本を読めば、福いなる童貞がその生涯と、その死、更には誕生前にしたことがわかるだろう。これらの本は、人間の知りうる限りの、天主の永遠の計画についての知識を提供し、全く信ずるに値するものである。信仰者であれば、ありとあらゆる事物の詳細と結果をこの本の中に見出すだろう。
E: 続けて真実を語れ、聖名によりて... !
B: 彼ら(信仰者達)はあの婦人〔上を指差す〕の中に全宇宙的な被造物を見るだろう。彼らは、これほど偉大な謙遜と威厳ある者の前にはひれ伏さなければならない。我々は彼女を恐れている。我々はこれほどの謙遜と威厳を前にしては降伏せざるを得ない。それでは、お前達人間のごとき、汚ならしいゴミのような被造物に至っては、その何倍ひれ伏さなければならないことか! お前達は何の価値もない者である! 我々はお前達人間よりもはるかに優れた存在だ... それなら、彼女は〔上を指差す〕どれほど優れた者であることか!
E: 聖名によりて... 続けるのだ!
B: もしお前達が彼女の気高さ(dignity)の十分の一でもわかったら、ただちに塵の中にひれ伏すことだろう──私はこれを自らの意志に反して話しているのだ。我々は彼女を見たことがある。無理やり見せられたのだ。見なければならなかった。お前達には見て欲しくない。我々はお前達が堕落するのを望んでおり、天国には行かせたくない。あの教養ある者達、つまりあの学者達は、司祭らと組んで「伝統主義者」達に異を唱える前に、このアグレダのイエズスのマリアについて知っておくべきだった。
E: さあ、真実を語れ、聖名によりて... !
B:「伝統主義者」達でさえ、たとえ彼らがどのようなアプローチを取ろうとも、そのような気高さ(dignity)を捕捉できるまでには、なお遠い、非常に遠い道のりを必要とするだろう。たとえ彼らがそれらの本を読んだとしてもである [管3] 。しかし、それでもお前達は、天主の聖名に於いて、それを読まなければならない。お前達であれ、平信徒であれ、それを読まずに通り過ぎることはできない。お前達司祭はそれを人々に伝えなければならない。私は再び言わなければならない。お前達は説教壇の高い所からこのことを声を大にして皆に知らせるべきである。上のあそこにいるあの婦人は、これらの本が全世界に普及することを望んでいる
さて、二人目の話に入ろう。カタリナ・エンメリック。このおべっか使いの贖罪者。彼女は常に、あお向けになって寝ていた。というのも、引き裂くような痛みに苦しんでいたからだ。生きている間はあまり物を言うこともなかったが、それでも彼女が死んだ時、Dulmen の街中があかあかと燃えた。街中の住民が消防ポンプを持って駆けつけた時、それはまるで天国からの印に見えたに違いない... しかし、人間は馬鹿だ。人間はどうしようもない馬鹿だ。人間が何を知っているというのか? 彼らは何もわかっていない... 間抜けで、爪先に至るまで馬鹿だ。
E: 聖名によりて... 真実を語れ!
B: 木の方がもっと賢いくらいだ。木はここかしこで緑の葉をつける。しかし、人間は汚物とゴミしか生み出さない。
E: 続けよ、真実を語れ、汚れなき御宿りの聖名によりて... いと祝せられたもう乙女マリア、そして大天使聖ミカエルの聖名によりて!
B: このカタリナ・エンメリックは教会に代わって話さなければならなかった。彼女は教会に関する預言をし、教会のために絶えず祈り、苦しんでいた。全く小さい子供の頃からずっと苦しんでいた。我々は彼女に対して非常な怒りを抱いていた [管4] 。小さい子供の時から既に、よちよち歩き回り(十字架の道行をしていた)、そして、上の方にいるあの婦人の謙遜を全く同様に模倣していた。... ああ! そして苦しみもだ。上の方のあの婦人のように、苦しみも耐え忍んだ。
彼女は大聖人だった。我々は大いに彼女を恐れていた。だから彼女を打ち砕こうとしたが、全然うまくいかなかった。彼女はいつも生き延びたが、それは他の人々が回心のお恵みを受けることができるように、その人達に代わって不治の病に苦しむ為だった。上のあそこの彼ら(上を指す)が真に望んだ時、やっと彼女は死んだ。それは彼らが、彼女の尊い、彼女の聖なる霊魂──本当に聖なる霊魂だった──を天に上げようと望んだ時だった。
天には数多くの聖人達がいるが──つまりローマが列聖した聖人達のことだ──彼らは彼女ほど聖なる人物でもなく、偉大でもない。ああ! こんなことまで言わせられるとは!
E: そうだ、続けて真実を語れ、聖名によりて... !
B: 我々はこう考えた。もし彼女が列聖されたら、彼女の本は世に知られるようになるだろう。列聖されない限り、本はそれほど人々に受け入れられない。それで司教らは、この件については聞きたがらないのだ。ひょっとして彼女の本を読んでいる司教も中にはいるかも知れないが、それくらいでは全く話にもならない。
もう一度言わなければならないが、彼女は天において力強い聖人である。〔泣く〕 彼女の本はとっくの昔に、世界のすみずみにまで普及させるべきだったのだ。お前達はこのことを説教壇の高い所から声を大にして話さなければならない。だが、私はもうこれ以上は何も言うつもりはない。これ以上何もだ!〔犬のようにくんくん鼻をならして鳴く〕
E: 話すのだ、聖名によりて... 汚れなき御宿りと、いと祝せられたもう乙女マリア、及び大天使聖ミカエルの聖名によりて、さあお前は話さなければならない!
B: 彼女の本の中でも、『尊者カタリナ・エンメリックの生涯と死』 [88] の巻は特に人々の間に普及させるべき本である。この本は、子供達が彼らの道中に主によって置かれれた十字架を背負って歩くことを学ぶために、子供達の背中にくくりつけられるべきものだ。この小さな聖人(カタリナ・エンメリック)は四才という歳で、夜にでも、十字架につけられた王を讃えるために、その小さな足を傷で血だらけにして、十字架の道行の祈りをしに出かけたものだ。朝になると母親は彼女の足に包帯を巻かなければならなかった。彼女がどこへ行っていたのかは、わからなかった。この小さな子は何も言わなかった。〔泣き出す〕
カタリナは偉大な苦しむ霊魂だった。彼女の部屋は非常に寒かった。彼女はこの寒さを貧しさの一部として受け入れていた。シーツが凍って堅くなり、この冷たさの中で熱を出して震えていた時でさえも、シーツを取り換えてもらおうとはしなかった。自分の受難を耐え忍び、謙遜にそれを捧げたかったのだ。そんな霊魂は現在どこに見出せようか? 同情した修道女達数人が、彼女のためにシーツを取り換えた。カタリナはそれでも不平を言ったことがなかった。不平を言うよりは寒さで死ぬ方を望んだだろう。彼女は十字架につけられた主のために何でも耐え忍んだ。主のために彼女がしたことは想像を超えることだ。彼女は力強い聖人で、我々は常に恐れを抱いている。自分自身を放棄して、進んで十字架の道を歩き、忍耐強く他人の為に苦しむこれらの人間は、我々にとっては非常にうっとうしい存在だ。偉大な聖人は何人かはいる。多くの奇跡を行なったり、主の目には偉大な者と映り、また他人の意識を読みとる力をもつ聖人──言っておくが彼女もそうだった──がいる。しかし私の言うこれらの聖人達は、公にこれらのことを行って、何千、何百万という人々の注意を喚起するのが目的だった。彼らは確かに偉大な聖人ではあるが、しかし、その多くは彼女に匹敵する者ではない。彼女は天主の苦しむ、隠れた、燃えるような霊魂だった。天主は彼女を特別に愛し、栄光を与えた。だからこそ、天主は彼女が列聖されることを望んでいるのだ。
E: 続けよ、聖名によりて... !
B: 彼女は、とうの昔に列聖されて然るべきであって、今頃になって言う話ではない。彼女の本と彼女が受けた多くの幻視と啓示について人々に知らせることは、お前達の義務である。なおこれは、主イエズス・キリストの苦しい受難の愛を通して行なうことが肝要である。これは彼女が望んでおり、天主自身、イエズス自身も望んでいることだ。これらの本の中で、お前達は『主イエズス・キリストの苦しみの受難』[89] を特に知らせるべきである。この本も、どの家庭にも、特にカトリックを自称する家庭には欠かしてはならない〔ため息をつく〕 だが、もうこれ以上話したくない!
E: いや、お前は話さなければならない! 御父の聖名によりて... 汚れなき御方の聖名によりて、いと祝せられし乙女マリア、大天使聖ミカエル、全ての聖なる天使の聖名によりて、さあ、ベルゼブブよ、お前は話さなければならない!
B: イエズスと福いなる童貞は、これらの真実が信者達に知られることを目的として、この偉大なる二人の聖人──イエズスのマリアとカタリナ・エンメリック──に、これらの偉大な幻視や啓示の数々を与えたのである。それ故、信者達はそれらを心に受け入れ、従い、他の人々に伝えなければならない。これは出鱈目なことではない。それらは宝であり、かつて福いなる童貞が使徒達に次のように予告された偉大なことである。「私の名に関しては、天主が、そのみ旨にかなった時に、天が、そうお望みになった時に...〔犬のようにくんくん鳴く〕
E: 真実を語れ、聖名によりて... !
B: ... 讃えられ、光の中に置かれるようにして下さるでしょう。私に関して明かされるべきことは、それに適当な時に明かされるでしょう」。今がその時である。今、我々は既に黙示録の真っ只中にいる。そして彼女〔上を指差す〕がその偉大な印である。それ故、人々はこれらの本を読まなければならない。何故なら、黙示録、偉大な印、福いなる童貞のことが重点的に述べられているのは、エンメリックと、特にイエズスのマリアの本だからである。
E: 続けて真実を語れ。福いなる童貞、汚れなき御方、大天使聖ミカエル、そして全ての聖なる天使に代わって、言うべきことを語るのだ!
B: もし彼らがこれらの本を読むならば〔哀れっぽい声を出す〕、時が到来したことをすぐに悟るだろう。そして黙示録の大部分と聖書に書いてある内容を理解するだろう。お前達はなんという愚か者か! 人間とは何と大馬鹿者か! あれほどの偉大な宝物を見失い、その辺に放ったらかしにして見向きもしないとは!〔喜んで意地悪く大声で笑う〕
E: 真実を語れ、聖名によりて... !
B: 彼らはこれらの莫大な価値をもつ貴重な宝物を掘り起こしもせずに、隠されたままに放置している。そして、放っておけばよいものを、例えば、もはや聖書と呼べない聖書、宗教的な性質など全く含んでいない聖人の生涯などを、彼らは太字体で〔皮肉な笑い声〕印刷している。この種の仕事は天から与えられたものというよりは、下の方からの意志によって動かされている方が多いのにだ。〔あざけるような笑い声〕 これらは全て「村の白痴」のなせる業である [90] 。ロバや馬の方がずっと賢い。主人が何を望んでいるかを、いくらかでもわかっているからである。しかし、ここ地上では、彼らは何もわかっていない。もっと違ったふうにすべきことがまだ何か残っているということに気づく時は、もう既に時遅しである。
ああ、エンメリックとアグレダのそれらの本は憎むべき本で、我々は長い間それを恐れており、これからも永遠に恐れるだろう。下の方にいる我々は、これらに如何に対処できるかを、既にどれだけ長い間考えてきたことか... 。しかし、人間達はそれを読もうともしないのだ。〔嘲笑〕 良きカトリック信者を自称する者達でさえも、家にそれらの本を置いていないのだ!〔長く引き延ばした嘲笑〕
E: 真実を語れ... 汚れなき御方、いと祝せられし乙女、大天使聖ミカエル、聖ヨゼフ、そして全ての階級の祝された天使と霊魂の聖名によりて!
B: お前達はこのことを世界に向けて詳しく説明しなければならない。「司祭、そして “伝統主義者達”、また現代主義者達も、皆、説教壇の高い所から言わなければならない。これらの本が読まれるように、あらゆるところへできるだけ速やかに普及させなければならない」と。その本が読まれ、その内容にほんの少しだけでも従うならば、非常に多くの聖人が生まれるだろう〔恐ろしいうなり声を出す〕
E: 至聖三位の聖名によりて続けよ!
B: エンメリックが幻視のうちにイエズスの苦しみの受難を見たのは、それがもっと間近に、そして深い意味をもって知らされるためであった。というのも、福音書には御受難のほんの一部しか書かれていないからだ。使徒達はもっと知っていたが、彼らの説明は概要に過ぎない。
しかしこの偉大な聖人の幻視には、我々に関して恐ろしい程に描写され、要約された箇所がいくつかある。この幻視によって、例えば、告解の主要な部分を占める痛悔を如何に正しく行なうか、ということが教えられる。また、どのようにすればこれ以上イエズスを攻撃しないで済むか──イエズスは非常に苦しんでいる──ということもわかるだろう。イエズスが忍んでいる苦しみは、他のどの書物よりもその幻視の中で奥深く語られている。〔うめき声を出す〕
これらの本は万難を排して全ての図書館、全てのカトリック図書館で、人目につくところに陳列しなければならない。一セットだけ置くのではなく、何セットも、たくさん在庫を置いておくべきなのだ。
E: ベルゼブブよ、聖木曜日のキリストの御苦しみについて、まだ知られていないことを我々に語れ、聖名によりて... !
B: その件については話したくない。しかし、今は四旬節だから、彼女はいくらかは話すことを望んでいる...
E: それでは、お前が見た通りに、キリストの隠された御苦しみ [91] について話せ、聖名によりて... !
原註
[86] 聖ルイ・デ・モンフォールは著書『真の聖母信心についての研究』の中で次のように書いている。「彼女は(我々の)善業を、イエズス・キリストに捧げておられる。結局、彼女に捧げられたものは何一つとして彼女のもとには残しておかれない。全てをイエズスに忠実にお返しになるのだ。」
[89] 英訳書でも同タイトルである。
[訳註]和書では、「キリストのご受難を幻に見て」(坂井兵吉訳)光明社
原註
[管1] 「あの本」とは、尊者アグレダのマリアの『神の都市』である。
・英語訳PDF 第一巻 第二巻 第三巻 第四巻
(これが全部かどうかは知らないが)
[管2] この段落、訳に自信がありません。
B: She wishes (he utters a dreadful cry)... I am speaking against my will, against my will (he roars). For all that, I still cannot withstand That Woman from up there (he points upward) if I have to withstand what the Old One (Lucifer) wants. I do not wish to speak.
[管3] ここもよくわかりませんでした。
Even the "Traditionalists"(no matter what their method of approach are a long way, a terribly long way, from being able to capture such dignity, even if they read these books.
まず、括弧が開いたままで閉じていません。この英文はOCRで読み取ったらしくて「be」であるべきところが「he」になっていたりすることが度々あるのですが、ここも本当に括弧だったんでしょうか。カンマでしょうか。しかしそれでも私にはよくわかりません。
[管4] 悪魔/悪霊は幼児にさえ怒りを向けるようです。
わたしはまた幼児イエズスを見た。大勢の子供達が秣槽のそばに来てイエズスをいじめていた。マリアは留守だったのでかばう事ができなかった。子供達はいろいろな小枝や笞(むち)を持ってきてイエズスの顔を打ち、そのために血が流れた。幼児イエズスがにこやかに手をあげてよけようとすると、一番小さい子が意地悪くその手を叩いた。親までが子供達に笞をほどよく巻いたりねじったりして与えていた!
カタリナ・エンメリック『聖家族を幻に見て』(光明社)p64
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