第七誡と第十誡 汝盗むなかれ。汝他人(ひと)の所有物(もちもの)をみだりに望むなかれ。
天主は第七誡を以て何を禁じ給うのでありますか。
天主は第七誡を以て、他人の所有物を盗み、或は横領し、或は之に損害を与えることを禁じ給うのであります。
所有権は正当なものでありますか。
人が此の世に生きてゆく為には、必ず物を所有することを要し、又天主も此の所有権を害することをお禁じになりましたから、所有権は正当なものであります。
どのようなことが、盗の罪にあたりますか。
窃盗、強盗は勿論、詐欺、高利の貸し金、不正な商売、雇主に対する不忠実、雇人に対する給料の不払、賄賂の贈収、契約を破って他人に損を与えることなどが盗の罪に当ります。
どのようなことが、横領の罪でありますか。
横領の罪とは、預物、借物、拾物などを返さぬことであります。
どのようなことが、他人の所有物に損害を与えることでありますか。
他人の所有物に損害を与えるとは、他人の所有物をみだりにこわし、損うことなどであります。
第七誡に背いた時には、どうしなければなりませんか。
第七誡に背いた時には、罪を痛悔して告白するだけでは足りません。与えた損害をできるだけ償う義務があります。
償いは、所有主(もちぬし)或はその相続者に対してしなければなりません。但し、償いをする方法は人に知られぬようにしても支障(さしつかえ)ありません。尚、所有主が判(わか)らぬ場合には、施(ほどこし)をして償に代えねばなりません。
天主は盗の行だけを禁じ給うのでありますか。
天主は第十誡を以て、他人の所有物をみだりに羨み、望むことをも禁じ給うのであります。