第五誡 汝殺すなかれ。
天主は第五誡を以て何を禁じ給うのでありますか。
天主は第五誡を以て、他人及び自分の肉親と霊魂とを害(そこな)うことを禁じ給うのであります。
他人の肉身を害うとは、どのようなことでありますか。
他人の肉身を害うとは、殺人、堕胎は勿論、みだりに怒り、人を打ち、傷つけ、又は喧嘩、嘲弄(あざけり)、復讐をすることなどであります。
他人の生命を害することが罪にならない場合がありますか。
正当防衛、正しい戦争、正当な裁判による死刑執行の場合などには、他人の生命を害しても、罪になりません。
自分の肉身を害うとは、どのようなことでありますか。
自分の肉身を害うとは、自殺は勿論、みだりに身体を傷つけ、不摂生をし、或は理由なく危険に臨むことであります。
他人の霊魂を害うとは、どのようなことでありますか。
他人の霊魂を害うとは、言や行や書物などを以て、他人を躓かせて、罪に誘うことであります。
他人の霊魂や肉身を害った時には、どうしなければなりませんか。
他人の霊魂や肉身を害った時には、罪を痛悔して、告白するだけでは足りません。与えた害をできるだけ償う義務があります。