< 戻る

目次へ

次へ >

第十一課 御託身(ごたくしん)

  1. * 天主が、救主として此の世に遣わし給うた御方は、どなたでありますか。

    天主が、救主として此の世に遣わし給うた御方は、イエズス・キリストであります。

  2. * イエズス・キリストとは、どのような御方でありますか。

    イエズス・キリストとは、人となり給うた天主の御独子、即ち三位の中の第二位であります。

  3. * 天主の御独子は、どのようにして、この世にお降りになりましたか。

    天主の御独子は、聖霊によって童貞マリアの御胎内に、霊魂と肉身とを受け、人となって、この世にお降りになりました。之を御託身の玄義と申します。

    御告の祈に「而して御言葉は肉(ひと)となり給えり」ととなえるのは、此の尊い玄義を思い出して、天主に感謝するためであります。

  4. イエズスとはどういう意味でありますか。

    イエズスとは「救う者」という意味であります。

    「汝其名をイエズスと名づくべし、其は自(みずから)己(おの)が民を其罪より救うべければなり」(マテオ 1:21)

  5. キリストとはどういう意味でありますか。

    キリストとは「聖油をそそがれた者」という意味であります。

    旧約時代の預言者、司祭、王たちは、聖油をそそがれて、キリスト(ヘブレア語ではメシア)と呼ばれました。イエズス・キリストは最も優れた預言者であり、大司祭であり、又王でありますから、之は最もふさわしい名であります。

  6. なぜ、イエズス・キリストを天主の御独子と申上げますか。

    イエズス・キリストを天主の御独子と申上げるのは、イエズス・キリストのみが、本来神性を具え給う天主の御独子であるからであります。(ヨハネ 1:1、10:30、フィリッピ 2:6-8)

  7. なぜ、イエズス・キリストを我等の主と申上げますか。

    イエズス・キリストを天主の御独子と申上げるのは、我等の天主であり、又我等の救主であるからであります。

  8. * イエズス・キリストは真の人でありますか。

    イエズス・キリストは霊魂と肉身とをお具えになりますから、真の人であります。(ヨハネ 1:14、ルカ 1:31、2:7)

  9. * イエズス・キリストは真の人だけでありますか。

    イエズス・キリストは真の人だけではありません。天主の性をお具えになりますから、又、真の天主であります。

  10. イエズス・キリストは、天主の性と人の性との二つの性をお具えになるならば、天主と人との二つのペルソナ(位格)があるのではありませんか。

    イエズス・キリストは、天主の性と人の性との二つの性をお具えになりますが、天主の御独子のペルソナ(位格)があるだけであります。

  11. * イエズス・キリストの御父はどなたでありますか。

    イエズス・キリストの御父は、天主なる聖父であります。人としての父はありません。(ルカ 1:34-35)

  12. * イエズス・キリストの御母はどなたでありますか。

    イエズス・キリストの御母は、童貞聖マリアであります。そして、イエズス・キリストは天主でありますから、聖マリアを天主の聖母と申上げます。(ルカ 1:30-31)

  13. 天主は聖マリアを御子の母とするために、どのような御恵をお与えになりましたか。

    天主は聖マリアを御子の母とするために、原罪を免れさせ、聖寵に満ちたものとなさいました。(創 3:15、ルカ 1:28)

    聖マリアの無原罪の御宿りの祝日は十二月八日であります。又聖マリアの被昇天の大祝日は八月十五日であります。

  14. * 聖マリアは終生童貞でありましたか。

    聖マリアは、イエズス・キリストの御降誕の時も、その前後も、常に童貞でありました。

  15. 聖マリアは婚姻なさいましたではありませんか。

    聖マリアは聖ヨゼフと婚姻なさいましたが、相共に童貞をお守りになりました。

    聖書に主の兄弟(マテオ 12:47、13:55)とあるのは、聖マリアの子供ではなく、イエズス・キリストの従兄弟に当る人々であります。イスラエル人は近い親類を屡々兄弟と呼ぶ習慣がありました。

  16. なぜ、聖マリアは婚姻をなさいましたか。

    聖マリアが婚姻なさいましたのは、天主の御思召(おぼしめし)によるのであって、一、世の疑いを防ぎ、二、御子を養育し、三、困難の時に助を得るためであります。

  17. それならば、聖ヨゼフはイエズス・キリストの何に当りますか。

    聖ヨゼフは、イエズス・キリストの養父であります。

    聖ヨゼフは公教会の守護の聖人であります。
    聖ヨゼフの祝日は、三月十九日で、その御守護の祝日は御復活後第三週の水曜日に当ります。
    イエズス、マリア、ヨゼフの御三方をナザレトの聖家族と申上げ、その祝日は一月六日後の主日であります。

  18. 天主の御独子は、何のために人となり給うたのでありますか。

    天主の御独子が人となり給うたのは、一、我等の罪を贖い、二、失われた聖寵を再び我等に与え、三、その教と模範とによって、天国への道を示し給うためであります。

    一、我等の罪を贖い....「世の罪を除き給う者を」(ヨハネ 1:29)
    二、失われた聖寵を再び我等に与え....「我の来れるは羊が生命を得、而も尚豊に得んが為なり」(ヨハネ 10:11)
    三、その教と模範によって天国への道を示し....「我は道なり、真理なり、生命なり、我に従うものはくらやみを歩まず」(ヨハネ 14:6、8:12)

< 戻る

目次へ

次へ >

ページに直接に入った方はこちらをクリックして下さい→ フレームページのトップへ