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第八課 人

  1. * 人とは何でありますか。

    人とは、肉身と霊魂とを合わせたものであります。

    「天主は土壌(つち)の塵にて人を形造り生気をその鼻に吹きいれ給いき、かくて”人”は生けるものとなりぬ」(創 2:7)
    霊魂の存在は道理を推究(おしきわ)めても、之を知ることが出来ます。即ち人の有(も)っている智慧と自由意志との(はたらき)は、精神的な働でありますから、肉身の働をもって之を説明することができません。それ故、どうしてもその外(ほか)に、精神的な霊魂の存在することは明かであります。

  2. * 霊魂とは何でありますか。

    霊魂とは天主にかたどられた霊で、人の生命と精神的働との源であります。

    「われらの像(すがた)のごとくわれらに象(かたど)りて人を造らん」(創 1:26, 同 2:7)(智 2:23)

  3. 霊魂は、人の死によって肉身とともになくなるものでありますか。

    霊魂は始こそありますが、人の死によって、肉身とともになくなるものではありません。

    霊魂がなくならない理由は次の如くであります。
    一、霊魂は複合体でないから、分解することがありません。
    二、このように、不滅の性質に造られた霊魂を、天主が滅(ほろぼ)し給うのは、その叡知に背くことになります。
    三、人の行(おこない)の善悪は、此の世では完全に報いられませんから、霊魂が不滅でないと、天主の正義に背くことになります。
    四、人の生来の正しい希望である完全な幸福は、此の世では得られませんから、霊魂が不滅でないと、天主の全善に背くことになります。

  4. * 天主はどのようにして、最初の人をおつくりになりましたか。

    天主は土をもって人の身体(からだ)をつくり、之に霊魂を合せて、人祖をつくり給うたのであります。

    人間は進化によって、他の動物から生じたものではありません。なぜならば、人間の智慧の働を他の動物の感覚作用とくらべると、単に程度の上にとどまらず、そこに全く本質上の相違があるからであります。

  5. * 天主は何のために、人をおつくりになりましたか。

    天主が人をつくり給うたのは、第一に天主の御栄(みさかえ)のため、第二は人の幸福のためであります。

    人は智慧と自由意志とを持っていますから、之をよく用いて、天主を識り、天主を愛し、天主に仕えて、その御栄を表さねばなりません。このようにするならば、天国に於て永遠の生命を得ることが出来ます。

  6. * 人祖の名を何と申しますか。

    人祖の名は、男をアダム、女をエワと申します。

  7. * 人祖は天主から特別の御恵をうけましたか。

    人祖は、聖寵即ち天主の御寵愛を受け、それによって、終なき幸福を得られる身となったのであります。

    聖寵は人を天主の生命にあずからせて、その愛子(あいし)、天国の世嗣(よつぎ)とする特別な御恵であって、被造物に自然に具わっているものではありません。それ故、之を超自然の賜物と申します。

  8. * 人祖は聖寵の外に何か特殊の御恵を受けましたか。

    人祖は楽園に置かれて、大いなる幸福を得、智慧明(あきらか)に、心正しく、苦しむことも、死ぬこともない筈でありました。(創 1:2、集 17:1-2)

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