4. 厳寒の地の玄関口、千歳市へ
JASの最新鋭機とは、ボーイング777、いわゆるトリプルセブンである。なかでもJASのそれは、機体に虹がグルグルと巻いてあるような塗装であり、レインボーセブンとも言う。この飛行機は、国内では初の3クラス(スーパーシート・レインボーシート・レギュラーシート)に分かれており、レインボーシートは1,000円のエクストラチャージで、機内への優先入場や手荷物の優先引き渡しなどの特典がある。私は、レギュラーシートの窓側をとった。
この機種には、各シートに「液晶テレビ」がついている。手元のリモコンで操作するもので、窓の外の映像や、現在地・現在高度・速度などがリアルタイムで表示される、カーナビまがいのものなどのほか、映画やアニメなども映る優れものである。もちろん、飛行機につきもののオーディオサービスもある。この液晶サービスは、JASの777にしかないものである。 こんな良い機能があるにもかかわらず、JALやANAの方から席が埋まっていくのだから、世の中うまく出来ている(笑)
私はといえば、その現在地表示に惹かれて、そのまま到着まで見入ってしまった。羽田を出て、高度11,000メートル近くまで上昇。速度は930km/h まで上げた。これは大体、東京〜横浜間をおよそ110秒で駆け抜ける計算となる。
飛行経路も、カーナビ同様示される。羽田離陸後、宇都宮の東を通る。離陸15分くらいで関東地方を脱出。次いで猪苗代湖の東を通過し、山形市上空の近くを通過、下北半島の上を通過し、しばらくは海。海を抜けると、一面の雪景色と一面の田畑が広がる。これぞ北海道! そして千歳に着陸。この日は、ほぼ満席だったが窓側で、しかも晴れだったので眺めは最高でした(^^)ノ
横浜のランドマークタワーの40倍近い高さを飛行して、しかも東京〜千歳80分で、飲み物もついて、液晶テレビもあって、機内誌も持って帰れて、これでスカイメイトだと 1万ちょっとの値段で行けてしまうのだから、飛行機はやめられない。ヘタな都会旋回ヘリコプターよりは、ずっと安上がりである。鉄道研究会在籍の私が、飛行機にハマった所以である。
5. 辺境の地?
新千歳空港に着いたのが3時前。ホテル直行する。ここから30分に1本の間隔で送迎バスがあるはずなんだけど、、、一応案内所で聞いてみる。
「あの、ホテル日航千歳への送迎バスはどこから出てます?」
「しばらくお待ち下さい、、、ええと、次の出発は 18時15分 になってしまいますが、、、」おおーーーい!!何てこった!! 送迎バスもロクにないのかー!?
出発前に見た情報によると、毎時15、45分に出ると書いてあったのに、、最近は不景気で、頻繁にバスが出なくなったのか。まあ、特に不況のあおりを受けている北海道だから仕方ないか、と開き直り。
仕方がないので、最寄り駅の千歳まで電車で行くことに。最寄り駅とはいえ、歩いて行ける距離にはない。バスもあるかも知れないが分からないので、泣く泣くタクシーを使うことにする。
新千歳空港駅からは、15分間隔で快速が札幌まで出ており、一部は小樽・旭川まで足を伸ばす。電車の行き先表示が「札幌」「小樽」。 まさに 非日常 だ。 例によって「青春18きっぷ」で乗る。途中、南千歳を経由して 千歳駅到着。この辺の位置感覚を簡単に述べておきます。
JR快速エアポート号 : 新千歳空港 > 南千歳 > 千歳 > 北広島 > 新札幌 > 白石 > 札幌
一部の列車はさらに、 札幌 > 手稲 > 小樽築港 > 南小樽 > 小樽 まで行く。
列車の客室(?)の仕切り扉を開け放しておくとすごく寒いので、ほとんどの乗客は、仕切り扉を閉める。車内には温度計あり。22度であった。
千歳駅には2つの口(西口・東口?)があったが、ホテルのある側から出た。 雪が積もっている。バス発着所はない。そして、タクシー乗場にタクシーがいない(^^;;; これで快速停車駅か? 仕方なく待つ。雪に触れてみたりする。12月というのにサラサラした雪質。やはり本場の雪は違う。
待つこと5分、ようやく1台のタクシーが来る。初乗り運賃510円であった。ホテルまで乗せていってもらう。やっと落ち着いたー、と思ったら、運転手氏が私に話しかけてきた。前代未聞である(笑) 東京では、気のいいオヤジ風の人にしか話し掛けない運転手も、ここでは若造であるわたしにまで臆することなく話してくれる。
「千歳は初めて?」 というので、そうですと答える。
「やっぱりねぇ。知っている人は、別の出口を利用するもの。タクシー多いから」そして、ホテルの話題などへ。「千歳で9,000円は高いなー。札幌でもっと安く泊まれる所たくさんあるよ」 たしかに 9,000円で、しかも食事なし、駅から遠く交通不便、これでも3割引料金というのは、ボッタクリそのものである。だが、まあ地元のタクシーで話せたからいいか、と一人納得する。・・・ホテルに着く。
ロビーでチェックイン。マイレージカードと優待券を出す。ロビーには誰もいない(笑) そりゃそうだろうな。 ロビーにあったのは、「空港送迎バス時刻表」「中央バス(地元のバス)千歳駅方面時刻表」。思わず目を覆いたくなる。空港からの無料送迎バスは、なんと1日4本。しかも、18:15、19:45、21:40、22:15という偏ったダイヤだ。中央バスの方は、17時台が最終らしい(笑) どうしようもない(笑) 誰が泊まるんだよ、こんな所。 しかも笑えることに、同じ千歳駅には、徒歩5分の所にはライバルである千歳全日空ホテル がある(笑)
6. それにもめげずに、小樽へ。
予想外の交通の不便さで大幅なタイムロスをしたものの、ちょうど千歳駅行きバス(160円)があるので、それを使って駅へ。駅のもう片方の出口にバスがつけられる。さきほどのタクシー無しの方とは違って、ある程度賑わってはいた。もっとも、賑わっているのは車の数だけで、人はほとんどいなかったが。。。
駅では、ちょうど小樽まで行く快速電車があったので乗り込む。座れなかったが、次の北広島で座席が空き、座ることができた。 北広島というのは、開拓広島県民がここに移住したから、そういう名前がついたのだと聞いたことがある。いずれにせよ、北広島は札幌近郊の立派な市である。千歳も市ではあるが(笑)
札幌で、大半の乗客が降りる。代わって、今度は通勤客がドドッと乗り込む。もう薄暗くなっており、通勤タイムである。満員になったところで札幌を出る。札幌からは小樽まで40分ほど。ここでも当然、「青春18きっぷ」を使用。
小樽は、訪れた中で一番寒かった。おそらく、氷点下3度くらいであろう。さすがは積雪80cmの都市である。しかも、晴れの予報だったのに雪が降ってくる。小樽では、とりあえず有名な運河を見て、北一硝子を見ようと思い大通りを下る。 歩道にも平気で雪が積もっているので、歩くと滑る。 加えて小樽は坂が多いことで有名な街である。どうやって生活しているのか疑問だ。スパイクタイヤでも履いて歩いているのか?
とりあえず運河には何とか辿り着いた。しかし、ここで吹雪になる(笑) 晴れの予報どころではない。肌を刺すような寒さに加えて、凍結した歩道。 北一硝子は、さらに1kmほど先だというので断念した。ホテルまでの交通に手間取った結果、ここでは運河の夜景を見ることができ、満足であった。異国情緒そのもの。明治時代には札幌より栄えていたというだけの事はある。
必死の思いで駅へ引き返す(笑) 腹が減ってきた。駅の中にはラーメン屋が。食べたい(>_<) しかし、札幌のラーメン横丁で食べたかった私にとっては、ここで食べてしまっては北海道へ来た意味がないと考え、なんとか思いとどまった。
小樽から札幌へ快速電車で戻る。もちろんタダの 「青春18きっぷ」 で。