1999年冬 交通費1万円で回る網走・札幌 (3)


7: 日本で最も寂しいJRの駅は

網走から、札幌行きの特急「オホーツク4号」に乗る。このオホーツク号は、1日に5本ほど出ており、そこそこの乗車率である。

この列車が通るのは石北本線(セキホク本線)。石北峠の近くを走るのでこの名前がついたと思われる。(ていうかそれ以外思いつかん) 手元に大型の時刻表などがあれば見て頂きたいのだが、この路線はある地域で、非常に不便なダイヤが組まれている。

この話は後回しとして、特急に乗り込む。さらば網走。今度来るときは、いろいろな資料館が開いていますように

↑ 網走〜札幌の特急オホーツク号。車内の温度は20度以上(暑い)。

 

発車直後から寝る。途中、女満別、美幌と過ぎていき、起きたら北見であった。北見は、網走の3倍ほどの人口がある割には知名度がダントツに低い。 鉄道ファンには名高い「北海道ちほく高原鉄道・ふるさと銀河線」の始発駅でもある。この線は帯広近くの池田という所まで伸びている線だが、どう見ても沿線に人がいなさそう。

起きたら、すごく暑かった。車内の温度が、20度以上であったのである。さて、ここ北見を過ぎると都市はしばらく無くなる。留辺蘂(ルベシベ)という、どう見てもアイヌ語の当て字のような駅を通り、遠軽(エンガル)に着く。ここで列車の進行方向が変わるため、乗客は車内のイスをバタバタと反対方向に倒す。

さて、ここ遠軽を過ぎると、いよいよ面白くなってくる。17分ほどで丸瀬布(マルセップ)に停まり、ここを出てから次に止まる上川(カミカワ)までの1時間ほどが、JR線の中でも例を見ない辺鄙な田舎地帯となる。丸瀬布を出て、しばらくすると「(ここから)白滝村」という標章があった。この瞬間、3本立っていた私の携帯が突如、圏外になった。

駅は、ここから
丸瀬布〜下白滝〜旧白滝〜白滝〜上白滝〜奥白滝〜中越〜天幕〜上川
と続くわけだが、この辺になると駅前にもあまり建造物がない。特に、白滝と上川の間は、おそらく日本のJR線で唯一(だと思う)の、昔からの「1日1本線」である。つまりは、1日に電車が上下1往復しか止まらないのである。類似品として、「帯広旅行」のときに書いた石勝線があるが、最も辺鄙な楓(カエデ)駅でも、1日2往復が止まる。

白滝の駅は、一部の特急が停まる、かろうじて白滝村の中心駅である。だが、ここから奥(?)は、ほとんど人口建造物がない。あるのは電線と、たまに見える道路くらいとなる。線路の片側には雪が積もっており、雪崩が起きると線路がまず塞がれる。そのためか、徐行運転となる。

列車はさらに進み、日本のJR駅で最も寂しい「奥白滝」駅に近づく。この駅は時刻表を見るだけでもその辺鄙さが伝わってくるほどであり、過去に鉄道研究会の「無人駅合宿」が実施された経緯もある。ちなみに、この駅を通る列車は、
・ (網走方面) 06:59 網走経由 緑 行き
・ (札幌方面) 17:39 上川経由 旭川行き
の上下1本ずつである。

おまけに、隣りの中越駅とは、峠を隔てて 17km も離れており、まさに陸の孤島である。さて、この孤島の駅前はどうなっているのか。

駅に差し掛かったときに丁度検札が入り、駅の写真を撮ることはできなかったが、駅は一応土を盛ったような、即席ではない作りであり、なぜか「便所」と書かれた小屋もあった。だが、駅前はというと、北側には人口建造物は全くなく、キャンプ場のような林が広がっているだけであった。(南側は見てなかった。)かろうじて近くに国道が走っているので、全く閉ざされているわけではないが。

↑ JR奥白滝駅から列車で1分ほど走った場所。駅前もこんな感じ。

車内では、遠軽の「かにめし」と、遠軽の近くの生田原という所で作られたアイスクリームを車内販売で買って食べる。アイスは最初、堅くて全く食べられなかったが(どういう冷やし方をしたんだ?)、だんだん溶けてきたので食べやすくなる。どちらもお勧めです。

峠を越え、上川へ来ると都会じみてくる。上川を出て、40分ほどで旭川到着。日本でも有数の寒さを誇る旭川である。大都市だが冬は、マイナス20度以下にもなる。私の今日の宿泊は札幌であるが、富良野に寄るために旭川で降りた。旭川から、富良野までは普通列車で1時間ほど。

旭川の富良野線ホームへ行く。まだ富良野行きが出るまで20分くらいあるから、中で暖まっているか、とか考えたが、なんか勿体ないので、一応ホームには行ってみる。ホームに立って、私は愕然とした。予想もしていなかった、乗客の大行列!!

さらに、来た車両は1両(笑) 扉は片側1箇所しか開かないため、開かない扉の近くで待っていた人が怒り出す始末。当然のことながら座れないばかりか、東京並みのラッシュとなった。

美瑛(ビエイ)を経て、富良野へ。しかし、夏に見るようなあの青々とした雄大な富良野の景色はなく、一面の雪景色であった。(当たり前だ)

↑ 富良野駅。ホームにまで雪が・・・(笑)

 

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