インタビュー

埼玉を遊ぶ・食べる・知る情報誌
月刊 武州路 平成17年2月号に掲載されました。

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 1200度に熱せられた窯の中で小さなガラスがその熱気を纏い、蠢き、吹き込まれる人の息と、熱気と外気との「温度差」から新たなる命の息吹を与えられてゆく・・・。
 シンプルなガラス食器から複雑なアートまで幅広い作品づくりを展開するガラス工芸家の熊谷さん。ギャラリーやデパートでの展示会への作品製作は勿論、吹きガラス工芸教室や注文制作、工芸品の修理までその活動は多岐にわたる。「手に取った人の感性で楽しめる自由な作品にしたい」と制作への思いを語る。
 その熊谷さんの柔軟な姿勢は、一朝一夕で築かれたわけではない。留学したイギリスの美術大学では、日本の「出題者の意図が答え」的な教育とは真逆の「出題者の予想を超えた作品づくり」を学んだ。「誰にでもできること」ではなく「自分にしかできないこと」を・・・。しかし帰国後、ガラス工房に就職するも制作は「誰にでもできる」工芸品、逆カルチャーショックをうけたという。そして「自分のガラスを」と独立するも大勢の「幅広い」声に翻弄され苦しんだ時期も。その様々な「温度」を感じながら「自己に固執しすぎない、他者に自分の感覚を委ねられる作品づくり」に辿りつく。例えるならコンパクトカメラ 〜焦点が絞られた一眼レフではなく、意図する図柄が大きなフレームに広がる作品。「焦点が自分ではなく、原点が自分」と心の置き方が確立した。
 自らの工房も作品同様「地元に根ざしたい」。インターナショナルだグローバルだと騒がれるが、やはり原点は地元であり、日本人だということ。様々な熱を浴び生まれ持つ色彩を透明に極めるガラスのように・・・熊谷さんの作品が今後どのように光り輝くか、楽しみでならない。

熊谷周二 紹介写真


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