唐川の集落は、湧出山の南麓にある。どっしりとした家々が並ぶ通りを抜けると、山腹から町を見下ろすように赤後寺のお堂が建っている。 お堂へ上がる急な石段の左手に「湧出山いこいの森」と書かれた看板があり、ここが湧出山の登り口である。湧出山は東西に細長く伸びる小丘陵で、 長浜方面から望むとゆるやかな山容だが、南面は急で山頂までつづら折りの山道が続く。山頂は幅の狭い平坦地が左右に伸びていて、東西がいくぶん小高くなっている。 高月町の一帯は古墳の宝庫であり、湧出山にもいくつもの古墳が集中している。かつて教育委員会が古墳を発掘していたところ、偶然に古墳の下に弥生時代の集落跡が見つかったという。 山頂からは南に北近江の野が一望でき、北には越前へ通じる余呉谷が望める。このあたり一帯は、古代の有力な豪族が勢力を誇っていた。 湧出山は、古墳時代以前から北の勢力に対する見張り場だったのだろう。山頂の平坦な地形は、古代の高地性集落のしるしだったのである。
標高:200.6m
参考タイム:赤後寺(30分)尾根(5分)東の山頂
アプローチ:赤後寺へ、北陸自動車道木之本ICから車で10分
周辺の見どころ:赤後寺観音堂には、重文の千手観音立像と聖観音立像が安置されている。