己高山には、多くの山岳信仰の歴史が刻まれている。奈良時代に行基菩薩が仏像を刻んで堂を建て、のちに白山の開祖泰澄が寺院を創建したという。 古橋の集落にある與志漏神社の右手の道を入っていくと、己高閣と世代閣がある。さらに奧へ進み、法華寺跡方面との分岐を左に取り、杉林のなかを1キロほど進む。 林道と分かれて稜線に取りつくと、やがてブナやミズナラの林が広がる。左に送電線の鉄塔を見ながら登っていくと、六地蔵と呼ばれる平地に出る。阿弥陀如来座像を中央にして、 左右に3体ずつの地蔵菩薩が佇んでおられる。六地蔵から少し登ると、大きな岩がある場所に出る。牛止の岩と呼ばれ、鶏足寺に荷物を運ぶ牛がこれ以上は進めないため、 岩に牛をつないだのだという。このあたりからの琵琶湖の眺望はすばらしい。やがて、苔むした石垣が点々と残る平地に着く。鶏足寺跡である。発掘によって整地された場所には、 たくさんの礎石が規則的に並んでいる。標高8百メートルもの高所に、多くの堂宇が建っていたことを物語っている。山頂は、鶏足寺跡からすぐだ。急登の道を登りきると、しめ縄が張られた大きな岩がある。
標高:923m
参考タイム:己高庵(20分)林道登山口(40分)六地蔵(50分)鶏足寺跡(20分)己高山
アプローチ:己高庵へ、北陸自動車道木之本ICから車で15分
周辺の見どころ:ふもとの古橋には関ヶ原の戦いで敗れた石田三成が隠れた洞窟がある