源平の世から伝わる真紅の花
マキノ町海津の願慶寺という古刹に、木曽義仲の奥方山吹御前が植えたと伝わる紅梅の樹がある。門前に立つと、 見事な松が白塀を越えて太い枝を張り、その緑の背後に真紅の花が望める。鐘楼を囲むように2本の梅があるが、山吹御前お手植えと 伝えられる樹は、幹が朽ちて皮一枚の姿である。それほどの老木なのだが、美しく切り揃えられた枝いっぱいに、燃えるような色合いの花を咲かせる。 山吹御前にまつわる伝承はいくつかの地方に残されているが、湖を渡って海津へ逃れ、義仲の冥福を祈って紅梅の樹を植えたという物語は、魅力的である。 願慶寺には、山吹御前の遺髪も残されているという。
花の見ごろ:3月中旬〜4月上旬
願慶寺:高島市マキノ町海津、JR湖西線マキノ駅から徒歩45分、北陸自動車道木之本ICから車で30分
周辺の見どころ:京都と北陸を結ぶ中継拠点として栄えた海津宿の町並みが続く。