薄曇りの日に愛でたい花
マキノ町海津の北にある集落の墓地に、桜の巨木が真紅の花を咲かせる。清水の桜と呼ばれ、水上勉の『櫻守』に描かれた美しい桜である。 アズマヒガンザクラという種類で、海津大崎のソメイヨシノよりもひと足早く咲き始め、三・四分咲きのころに真紅に彩られる。 地元では「血の出るような赤い花の木」と呼ばれている。江戸時代、加賀藩のお殿様が京へ向かう途中、あまりの見事さに何度も振り返ったことから、 見返りの桜ともいう。根元から幹が二た又に分かれ、墓地全体にかぶさるように二本の大枝を張っている。清水の桜は、背後の山々に霧がかかった薄曇りの日、 静かに愛でたい花である。
花の見ごろ:4月上旬〜4月中旬
清水の桜:高島市マキノ町海津、北陸自動車道木之本ICから車で25分
周辺の見どころ:国道を北へすぐの道の駅「マキノ追坂峠」には、物産館・レストラン・パン工房などがある