(多分試験一週間前くらい)


ピーンポーン

***

今日は僕の家に、珍しくヤマザキ君がいる。ヤマザキ君がどうしても試験でニシ君に勝ち
たいらしく、なぜか二人で勉強をすることになったのだ。
…まあ、僕が余計なこと(勉強のやり方があってないんじゃないか、とか)を言ったからか
もしれないけど…

「ナオー、お友達よ〜」
…誰だろう。ヤマザキ君はすでに僕の部屋で勉強をしている…

「ニシ君」
「よお、ムラセ」
「お前、何しにきた!」
後ろからついてきたヤマザキ君が威嚇する。
「や、なんつーか…敵状視察…?」
「そうか、敵と認めたな。ならば入れ、存分に視察して恐れを成すがいい」
「ここ、僕の家…」

***

「はい、ニシ君お茶」
「ああ、別にいいのに」
ありがと、と受け取る。ナオの家の麦茶っておいしいな。ベッドの上で漫画を広げて、ナ
オをじっと見つめる。居心地悪そうにしている。かわいい。…触りたい。
ここのところ、ずっと触らせてもらってない。

「ヤマザキ君、ここって…これ、こう?」
「そうそう。あ、ここはでも…こうなると…ん?」
「そうか、ここは…」
「……」

ああ、二人の間からイチャイチャという擬音が聞こえる…気がする。
すごく、面白くない。

「ムラセが気付かなかったら俺、見落としてたよ」
「そ、そうかな?良かった…」
「よし、次。次は…」

***

「ムラセ、俺、帰るよ」
お邪魔みたいだし、とニシが立ち上がる。ムラセがオロオロする。
「ニシ君?あ、コップ、僕が片付けるから…」
「帰って家で思いっきり勉強してやる…お前らなんか、追いつけないくらい差広げてやる
よ」
「ついにやる気になったか。受けて立つぞ!」
ニシがついにやる気を見せた。やる気というより殺気を感じるが…相手にされないよりか
はずっと、張り合いがある。

「じゃ、お邪魔しました」
とニシが部屋を出て行く。ムラセもコップを片付けにいった。ドア越しに少し話し声が聞
こえる。

「…ナオはひどいな。…ずるい。」
「え、とニシく…」

…しん、としている。妙に静かだ。あ、階段の音が聞こえる。ムラセがバタンと部屋に入
ってきた。

「…ムラセ、顔、赤くないか?」
「へ!?そ、そんなこと、ないよ…」
「コップ、片付けにいったんじゃないのか」
「あっ」

ムラセは慌ててまた部屋を出て行った。

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2008.04