![]() |
「EX-Excel-」 表紙・本文:雪平鍋 2008/11/02 「リトルバスターズ!」より |
---|
![]() |
![]() |
「雑貨屋はじめました」 表紙・本文:雪平鍋 2008/06/29 「リトルバスターズ!」より |
---|
![]() |
![]() |
「お勉強の夜に」 表紙・本文:雪平鍋 原作:山鳥 2008/06/01 「おジャ魔女どれみ」より |
---|
![]() |
![]() |
「放課後に居眠り」 表紙・本文:雪平鍋 2007/11/18 「CLANNAD」より |
---|
![]() |
![]() |
「Aztec――魔法のボールと空腹と」 表紙:雪平鍋 本文:山鳥 2007/08/17 「スカッとゴルフ パンヤ」より ぱにゃってナイショ!2で発行した同名の本の改訂版 |
---|
Aztec――魔法のボールと空腹と (前略) マガ谷の針葉樹の木立の中を潤んだ風がすり抜けてくる。セーラー服とスカートの裾をはためかせながら真っ白な雲を運んでいく。 私はこの風が好き。本当に好き。ここが、パンヤのコースでなかったら。 「ア……OBになりそう……」 ティーショットを眺めていたドルフが、インパクトの瞬間呟いた。 カチンと来た。でも私は舌打ちだけに止めておく。打球の行方を一番よく知っているのは、私の手のひらに残る感触だったから。 「うー……」 「ドンマイ。残念だったね」 そう言って馴れ馴れしく肩を叩くのは対戦相手のダイスケさん。パンヤ島に来てすぐに知り合った人の一人で、一番年配の方。貫禄ある体格から生まれる力強いショットとシブい髭が自慢のナイスミドル、短気なのが玉に瑕。もちろん自称だ。 「気にせずに、次のショットに集中することですな」 こっちはダイスケさんのキャディ、タンプー。アルバイトだけど。大きい体に無限の力、心優しい一面も持っているみたい。気は優しくて力持ちを地で行く白熊。受け売りだけど。 このコンビはパンヤ島で一番威圧感があると評判だ。なんたって、でかい。 それで、ここはWizWizの5ホール目、ダイスケさんとPPを賭けた前半9ホールのスキンス対戦中。いまのところ私が30PP負けているけど、勝てばあのウィング靴が買えるし、そうそう負けられるもんじゃない。もちろん学校の革靴よりは紐靴のがゴルフに向いてるし、動きやすそうだから欲しいんだけど、そんなことよりデザインが大事なのだ。ここはもうひと踏ん張りしなきゃ。 とは言うものの、飛距離の差が重い。ダイスケさんくらい上手い人たちなら多少の飛距離差はトマホークとショートチップでカバーできるみたいなんだけど、もちろんカバーできるような人たちの装備は桁違いに高い。だから一概には言えないのだけれど、円筒形でしならないアオダモの棒で250ヤード飛ばせる人たちだから、出来るのだろう。 そんなわけで、技術面でもダイスケさんの方が上だからどうしようもない。アイテムを使わないとトマホークなんて出るもんじゃないし、実際2ホールは挑戦してもだめだったし。結局次の6ホールも2ホールと同じくダイスケさんのイーグルで終わった。これで私の負けは90PP。……とはいっても、まだビギナーを抜けられない私がシニアのダイスケさんにこれだけ迫れるってのは大したもんだと思う。正確さに欠けるダイスケさんの苦手コースだったにしても。 (後略) |
![]() |
「改訂版 みんな野球が好きだった」 表紙:雪平鍋 本文:山鳥 2007/08/17 「CLANNAD」より ミラクルレインボー6で発行した同名の本の改訂版 |
---|
改訂版 みんな野球が好きだった (前略) 「わたしが投げます!」 誰もが、幻聴だと思ったに違いない。みんな一斉に、その声の主を驚きの表情で振り返った。もちろん俺もその一人だ。 叫んだのは、古河だった。 「えと、わたしは、速い球なんて投げられません。だから、あ、前投げたときは、その、打たれちゃいましたが、えと、それで……」 唇を震わせて、古河が言葉を続けようとする。 「とっ、とにかくっ……」 だが、その先が出てこない。 「お父さん。もうこれ以上、無理、しないで下さい。わたし、野球ってよく分かりませんけど、……野球って、みんなでやるものだって、お父さん言ってました」 俯いてしまった古河の頬を涙が伝う。そんな古河の声を聞くのは辛かった。たとえ顔見知りであろうと、身内が相手であろうと、古河の性格からすれば、こういう主張をすることは計り知れないほど勇気のいることだったのだろう。それが、見ず知らずの敵と向かい合う場所に自分の意思で立つということだったなら、なおさらだった。 「……古河。俺は、おまえがいいと思う」 え? と古河が顔を上げた。 「オッサンより、ずっと、おまえのほうが投げられるよ」 そう口に出してしまったことは軽率だっただろうか。古河に余計な重圧をかけてしまうんじゃないだろうか。そんなことを考えた。 「……あたしも、そう思う」 杏が手を挙げた。 「後ろで見てて、もう限界っぽいし。見てらんないわ」 「わたしも、そう思います」 冷静に、芽衣ちゃんが。 「私もだ。私も全力で当たる。二度と失態は見せん。だから、全力で投げてくれる奴がいい」 智代が言う。 「俺もだな。戦うという強い意思は、ときに実力を凌駕する」 芳野さんだ。 「よくわかんないけど、僕も。想いってのは大切だよね」 芳野さんに負けじとクサい台詞を交えつつ、鷹文が。 「春原、お前はどうだ」 最後の一人、春原に水を向ける。オッサンは春原を恫喝するように、悪い目つきを血走らせ、睨みを利かせる。 春原はその威圧にビビりかけていたが、 「……僕もそう思う。渚ちゃんのほうが受けてて絶対楽しいしね」 全員の意見がそろった。 あとは、オッサンだけだ。 「お父さん。わたし、精一杯やりますっ」 古河が深々と頭を下げる。その懇願は、父親の体調を憂いる娘、というだけのものではないように見えた。古河が見つめているのは、父親だけでなく、もっと大きなものの気がした。 オッサンは放心したように、いつまでも古河を見つめていた。 長い長い時間が流れた。いろいろなものが変わっていた。 それからやがてオッサンは、なにかを確認するように呟く。 「……あぁそっか。なんだよ、俺が心配されるようになってたんだな」 そしてオッサンは、古河にボールを握らせた。 「審判! ピッチャー交代だ!」 (後略) |
![]() |
「大阪版 リトルバスターズ原画展撮って参りました CD」 撮影・編集:雪平鍋 2007/05/14 「リトルバスターズ原画展」より |
---|
![]() |
![]() |
「大阪版 リトルバスターズ原画展撮って参りました」 表紙:雪平鍋・桜沢みゆき 本文:山鳥 2007/05/14 「リトルバスターズ原画展」より |
---|
![]() |
![]() |
「子猫は親を選べなかった」 表紙:雪平鍋・桜沢みゆき 本文:雪平鍋 2007/05/14 「CLANNAD」より |
---|
子猫は親を選べなかった (前略) あたしの目の前には一面灰色の空が広がっていた。石の色をした冷たい雨が、真っ直ぐに落ちてくる。ここには、屋根がないらしい。 隣では椋が寝息を立てていた。幸せそうなぬくい息があたしの頬に当たる。その反対には黄土色をした紙の壁があって、背中にはざらざらしたくすぐったいような感触があった。見るとそれは、使い古しのタオルケットだった。 あたしは椋を起こさないよう、毛布から抜けだしてそっと立ち上がった。それで初めて、あたしたちが小さな箱に押し込められていたことを知った。あたしたちを入れた箱は見知らぬどこかの空き地にあって、辺りから雨と土の混じった匂いがした。すぐ脇に積み上げられたぼろぼろの材木に、大きな雨粒が落ちては音を立てていた。 詰まるところ、あたしたちは捨てられてしまったのだ。 (中略) きれいな子だと思った。黒く光る毛がなめらかで、耳の先から尻尾まで流れるように生え揃うっていた。 「ことみ。ひらがなみっつで、ことみ。呼ぶときは、ことみちゃん」 女の子はそう名乗った。見たところ、ことみはとても手入れの行き届いた猫だった。シャンプーのいい匂いがした。爪もきれいに切り揃えられていた。きっと、いい飼い主に恵まれているのだろうと思った。 ことみは、黙ってあがりこんだノラ猫であるあたしたちを、追い払うでなく邪険にするでなく、まるで昔からの友だちにするように、自然に受け入れてくれた。 「私は椋。椋ちゃんって呼んで。こっちが、私のお姉ちゃんの」 「杏よ」 椋はあたしとは違い、すぐにことみと打ち解けた。 「ソファー、濡らしちゃってごめんなさい」 申し訳なさそうに椋が言う。雨に打たれながらあちこち走り回ったせいで、あたしたちの身体はすっかり汚れてしまっていた。だった。床もソファーも水浸しで、あちこちに泥が落ちていた。 それでもことみは気にした風もなく、 「ううん。大丈夫なの」 と言って、家のどこかからタオルを運んできてくれた。あたしたちはそれで身体を拭いた。 「椋ちゃんたちは、お外から来たの?」 ことみは外の雨模様を見て、少し心配に尋ねた。椋があたしに目配せする。隠すことでもない。あたしは小さく頷いて、椋に合図した。 椋は、この家に入り込むまでの経緯をほとんどことみに話して聞かせた。 「私たち、捨てられちゃったみたい」 椋の声が、少しだけ上擦った。捨てられちゃった、と言ったとき、ことみはピクリと耳を動かして、顔を曇らせた。それを見た椋も、自分の言葉に動揺してか、おろおろと周りに視線を泳がす。 (後略) |
![]() |
「fish shaped pancake filled with bean jam」
表紙:雪平鍋 本文:雪平鍋・山鳥 2006/11/19 「Kanon」より |
---|
![]() |
![]() |
「くらすぺ攻略本 〜完成編〜」
表紙:桜沢みゆき 本文:雪平鍋 2006/02/12 「くらすぺ」より |
---|
![]() |
![]() |
「くらすぺ攻略本 マップ」
制作:雪平鍋 2005/09/18 「くらすぺ」より |
---|
![]() |
「くらすぺ攻略本 〜応用編〜」
表紙:桜沢みゆき 本文:雪平鍋 2005/09/18 「くらすぺ」より |
---|
![]() |
![]() |
「くらすぺ攻略本 〜入門編〜」
表紙:桜沢みゆき 本文:雪平鍋 2005/09/18 「くらすぺ」より |
---|
くらすぺ攻略本 〜入門編〜 ゆきね……Stage3 地下水脈 (前略) 絶え間なく聞こえる水音。天井からは水滴でなく滝のように水が染み出しているところもある。あちこちで急流が行く手を遮り、牙の鋭い魚が餌を探して泳ぎ回っている。 なぎさちゃんから水場らしいとは聞いていたけれど、まさか地下にこんな水脈があるとは思わなかった。地上の川より地中を流れる水の方が多いと聞いたことはあるけれど、今まで実感したことなどなかった。 そんな一風変わった洞窟なのに、ここには明らかに人の手によって作られた足場やいかだがある。探索すればもっと深くまで人の手を加えられた洞窟になっているのだろう。あの魚の群れも、もしかしたら人為的に放流されたものなのかもしれない。 その魚が泳ぐ池を前にして、構えた銃を握り直す。ここでは火薬の銃は全く役に立たない。わたしの銃は壁を通り抜けて向こう側に攻撃できるし、水中でも使用できる。魚のいる水場に外側から撃ち込めるメリットは大きい。それでもここまで辿り着くのは大変だった。ある程度の潜水装備があるので水中に行くことはできるのだが、哺乳類と魚類では圧倒的に分が悪い。遠距離から撃つのが最も効果的だ。 また、撃ち続けていると希に弾が通らない場所がある。岩の種類が違うのか、中に別の何かが含まれているのか。試しに爆破してみると、これが綺麗に崩れる。隠された宝をその瓦礫の中から見つけることもあった。 「きゃっ」 魚を撃ち殺して安心していたところに天井から水滴が落ちてくる。感触がただの水じゃない。慌てて足下の水で手を洗った。目の前の池が無害なところをみると、この酸も自然なものじゃないらしい。嫌らしい。 それでも、仕掛けがあろうがなかろうが結局やることは変えられない。また銃の感触を確かめて、足下の池に飛び込んだ。 こんにちは〜。3ステージ担当のゆきねです。入門編講座も後半3回目に入りました。ジャンプ操作にはもう慣れましたか? 3ステージはわたしを使う機会が非常に多いと思いますが、わたしのジャンプはなぎさちゃんやことみちゃんより短いので、3ステージなら最初の穴からぎりぎりです。この機会に、ぜひドット単位の判断力を身につけてくださいね〜。 さて、第三回の講座内容は最後の基本操作である「爆破」と、3ステージらしく「泳ぎ」になります。特に前者は仕掛けの突破だけでなく隠し要素に対しても大事なのでがんばってくださいね。「ここだっ!」と思ったら迷わず↓+攻撃ボタンを押してみるといいですよ。 3ステージまで来て爆弾を使えない人はいませんから、基礎的なことは端折りますね。今回は「ちょっと上いく爆弾利用」をテーマにいきましょう。 まず、爆破範囲はわかりますか? 「爆弾のそば」っていうのは3点くらいです。爆弾には、硬い岩などに有効な内側範囲と、木箱やブロック、敵や自分(汗)に有効な外側範囲があります。これで10点満点です。便宜的に「内径」「外径」と称しますね。 まず、内径の直径はキャラクター4つ分くらいです。爆弾の位置から2歩程度が半径ですね。岩などを爆破するときはこの距離に爆弾を設置しなければなりません。逆に言えば、爆弾を間近に置く必要はないということになります。きわどいラインになりますが、上手く使えば高いところから先に爆弾を落としておくという方法で時間短縮もはかれます。 次は外径ですね。これはキャラクター8つ分くらいの直径があって、半径は4歩以内です。爆煙の円よりちょっと小さいくらいと思っていてください。爆弾を使うときはこれ以上離れていないと爆風に巻き込まれてしまいますから注意です。タイムアタックでの爆破はチキンレースになりますから、自身でぎりぎりまで詰める練習をするといいかもしれません。この一歩を削るだけで数秒減る条件もありますので、狙ってみて損はないと思います。 この外径で壊せるブロックというのはかなり多く、木箱以外にも地面に擬態した壊れるブロックや火薬樽に有効です。4歩というのは結構あると思いますので時間短縮のためにはきっちり狙っていくべきでしょう。 また、全ての敵は爆弾の外径で即死します。幽霊やコウモリ以外の敵にも爆弾は非常に有効なので、いろいろ遊んでみてください。魚の群れを全滅させるなども楽しいです。こういうのを上手く使えばことみでも簡単に敵全滅の部屋をクリアできます。それにコウモリには天井の厚い場所でもわりと届くので、邪魔なところは先に爆破しておくのも手です。こういう使い方をしても、ゲーム内の数はかなり余裕をもたせてあるので心配しないでください。 あと、爆破に関しての注意点ですが、鍵・宝箱・隠しキャラを取ってゲームが一時停止することがあると思います。この間、照明弾と爆弾の時間だけは進んでいるので狙ったタイミングで攻撃できません。停止中は自分も敵もダメージを受けないので注意です。4ステージにはこれを利用した罠もあります。 ついでと言ってはなんですが、爆破する岩についてです。爆破できるブロックと落ちる岩については貫通式の弾が貫通しないだけでなく、当たったときの音も違いますので気付くことができます。また、4ステージ限定で地震が起こったとき画面内に揺れていないブロックがあればこれも落ちる/爆破できるブロックになります。こういうのに注意してゲームを進めてみると、隠しも簡単に見つけることができますよ。 あと、内径で爆破する岩ブロックです。突きだした岩と同じようにジャンプ中に当たると跳ね返されますが、実はこの性質を利用して2ステージと4ステージに1か所ずつ計2か所、壊さないでクリアできるところがあります。ジャンプ距離によりますが、意外に簡単にできることなので時間を争うときは不可欠の技術になります。ちなみに4ステージ側はちんちらソフトハウスのミスか遊びのように思える仕掛けで、鍵をいくつか取る必要がなくなります。 爆破に関してはこれくらいですね。照明弾と爆弾しか攻撃アイテムのないゲームなので、この2つを活用して敵を攻撃できるようになってください。動きの鈍い幽霊は、意外にタイムアタックの邪魔になります。照明弾や爆弾が当たれば必ず倒すことのできる敵なので、活用してください。 次はわたしの特技、泳ぎについてですね。 わたし以外のキャラは、水中で泳ぐことが出来ません。具体的には、頭まで水に浸かるとミスになることと通常の水の水面から飛び出せないことがあります。3ステージをこの条件でクリアするのは結構難しいです。それにわたしでないと手に入れられない宝箱も結構ありますし、やっぱりわたしが主体のステージになります。 さて、泳ぐというのはどういうことかというと、まず水に潜ってもミスにならない、水中でジャンプボタンを押したとき少しだけ上に進める、横方向を押しながらジャンプボタンでその方向の少し上に移動できる、水面から飛び出せるということを言います。水面での移動も他のキャラに比べて格段に早くなります。 操作は簡単なので、やってみればすぐ慣れると思います。 泳ぎに際して最も脅威なのが、凶暴な牙を持った魚です。主に水面近くを泳ぎ回り、ときにはその位置から真上に飛び出します。動き自体は単純なのですが、水中で避けるのは困難です。魚と人間が水中戦を行ったらどうなるのか、ということですね。横移動はともかく縦移動は明らかに魚の方に分があるので、真っ向勝負は避けてください。 このゲームは仕様上、弾を水平にしか撃てません。魚の移動も水平です。そのため、泳いでいる魚を撃つのはなかなか難しくなっています。無難にプレイするなら、魚が上に飛び出してくるところを狙い撃ちにするか、壁貫通性の弾で魚の通れない壁の外側から撃つかしてください。場所によっては爆弾投下も有効です。 ゆきねは水中に特化したキャラのため、攻撃力が渚と同じで射程がより長く、貫通性になっています。魚を撃つならゆきねが最も向いているでしょう。 あと、水中に飛び込むときの注意を。どのキャラも水面は高さに対して安全なもので、どんな高さから落ちてもミスになりません。ミスになるのは「水面に浮いている壺にミス以上の高さから落ちたとき」と講座の2回目でやった「高いジャンプ中のジャンプボタン入力の仕様」によっての二通りです。急流はもちろんミスになります。3面だけでなく他の場所でもこのショートカットは有効になりますので、覚えておいてください。 以上で「くらすぺ」入門講座の第三回目を終了しますね。お疲れ様でした。3ステージあたりからセーブに戻るスパンが長くなりますので、根気強くプレイすることが大事になります。がんばってください。 噴水に乗せられた皿という凝った作りのリフトを乗り継いで、どうやら最下層の最も大きい流れに着いたようだった。壁際の穴に落としてみた爆弾は見事に有効だったらしく、エレベーターのそばには瓦礫に埋まった宝箱が落ちていた。 「何が入っているんでしょう…?」 出てきたのは、クリスマスの赤緑模様の、子供向けの三角帽子だった。コーンの先端には丁寧に綿が付けられている。 「子供の頃を思い出します。いつもお兄ちゃんと一緒に…あっ…」 びしょびしょに濡れた袖で顔を拭う。つい湿っぽいことを考えてしまった。 「いけませんね…これじゃ…」 落ち込んでしまった気分を持ち上げて、エレベーターに乗り込む。着いた最後の急流にはいかだが繋がれていた。流れに対してあまりに華奢に見えるそれに乗り込むのには抵抗があったが、恐怖でもいい、何かで心を洗い流したかった。 乗り込んで深呼吸をひとつ。縄を解く。ここでは無理にでも集中しなければ向こうの滝に落ちていってしまう。怖がっている暇も思い出を見ている暇もなかった。ただ、近づいてくるツルだけを見つめていた。 (後略) |
![]() |
「雨のやまぬ頃に」
表紙:桜沢みゆき 本文:山鳥 2004/10/24 「ひぐらしのなく頃に」より |
---|
雨のやまぬ頃に (前略) 降り続ける雨は、ぬかるむ地面に転がされたささやかな花束をさえ、意に介すことなく打ちつける。 水色のリボンは、元々何色だったかさえも分からなくなってしまった。黄色と白の花弁は、次々と散らされて泥水に飲み込まれていく。 その光景は、この穢れた土地で起き続ける事件の、行く末を暗示しているように思えた。また、闇に葬られた犠牲者たちへの皮肉のようにも見えた。 ふと、センチになっている自分に気付いて、思わず苦笑が漏れる。こんなところを見られたら、一週間は酒の肴にされるところだっただろう。 ゆっくりとしゃがみ、ポケットから缶チューハイを取り出して散りかけた花束の隣に供える。 そして、目を瞑って手を合わせた。 「早いものでねぇ…大学近く雀荘で知り合った仲なのに。…気付いたら私、もう定年なんですよ?…体にガタも来ましたし…。実際、今座ってるのも厳しいんですから。覚悟はしてましたが…老いっていうものは嫌ですねぇ…。」 そこで一度言葉を区切った。大きく息を継いで、自分の決意を揺ぎ無いものにする。 「ですから、ケリつけてきちゃいます。今年がラストチャンスでしょうから。…次に会ったとき、私が白装束着てても驚かんよう覚悟しといてください。……なんてね、なはははははははははっ!」 最後の弔い合戦への精一杯の景気付けも、この雨の中に空しくかき消えていった。 雨は、まだ止みそうにない。 (後略) |