さぬきワイン
〜異色ワイン多数の観光地〜
外観

香川県の北部、大串半島の中ほどにあるレンガの壁で作られた、教会風の建物がさぬきワイナリーです。近くの丘に登れば三方を瀬戸内海に囲まれていることが一望できるという立地条件に建っています。
ワイナリーには大きく紫色の葡萄が描かれ、遠目にもワイナリーであることを間違うことはありません。
ここにいたる道には、かなりの高低差がありしかも狭い道がところどころにあるので行く際には注意が必要です。加えて急な坂を登ったところでいきなり平地になるので、バイクではジャンプしてしまいそうな道まであります。
なお、自転車でここに向かうならば、上記の注意に加えて不屈の精神が必要であることを付け加えておきます。
歴史
1988年に、香川県唯一のワイナリーとして設立されました。”代表取締役はさぬき市の市長”であると書けば推測できるように、第三セクターとなります。さぬきワイナリーのある大串岬は「大串自然公園」というレジャースポットがあり、温泉や公園、地元品の物産センターなどがある香川屈指の観光名所で、さぬきワイナリーも観光産業の一角を担っています。

原料の葡萄は甲州など一部に他県のものがありますが、主な原料葡萄は香川県の葡萄となります。香川県と葡萄のイメージがいまいちつながらない方も多いでしょうが、香川県は葡萄の生産量は四国一です。栽培されている品種の主力はデラウェアであるため、この葡萄と同じく栽培面積の多いマスカットベリーAがワインの主原料のほとんどを占めます(原料全体の約90%)。他に、桃ワインやりんごワイン、梨ワインといったフルーツワインも数多く製造しているほか、甘味果実酒の免許を取得してハチミツ入りのハニーワインや緑色のグリーンワインといった変り種ワインも醸造しています。さらに現在は無農薬栽培の葡萄によるワイン造りも行っています。
経営は活動的で2004年7月25日に綾歌町に瓶詰め工場をオープンし、生産の拡大につとめています。
現在のところ、その総生産量は約10万本と、さほど多くはないので販売のほとんどは香川県内の酒販店やデパート、観光施設に限られています。
施設の概略
いくら観光用の施設といえど、やはりワイナリー。きちんとした醸造設備もあれば、セラーも存在します。
ガラス越しに実際の醸造設備を見ながら、ワイン醸造の過程をたどることができます。面白いのはフィールター濾過の部分で、さぬきワイナリーでは果汁の段階〜瓶詰めまでで計3回の濾過を行っていることがわかります。濾過回数としては3回というのは多いほうです。また説明を読んでいると酵母の除去もフィルターによって行っていると推測されます。ワイン方もこの濾過回数を反映してすっきりしたくせのない味わいになっていることは容易に想像できるでしょう。

セラーも同じくドア越しとなりますが、瓶貯蔵だけでなく樽貯蔵も行われている様子がわかります。この樽には主にベリーAを主体とした赤ワインが貯蔵されているようです。
見学順路にはさぬきワイナリーの創設の頃に醸造したシャルドネのワインも記念品として展示されています。ちなみに、現在のさぬきワインにはシャルドネだけで醸造されたワインはありませんのであしからず。

他、別棟の建物には物産センターがあり、お土産ものや香川の特産品が販売されていますので、覗いてみるのもよいでしょう。

葡萄畑
ワイナリーのすぐ下に畑があります。・・・ありますが、この畑は少し変わっています。おそらく土地買収の問題があったのでしょうが、葡萄畑の真ん中にお墓があるのです。記念碑かとも思い近づいて確認したらやはり墓石。なんだか奇妙な光景でした。

畑そのものはコルドン式の垣根栽培が行われています。ただ、行った時期が悪かったこともあってかなり伸び放題に伸びていて、剪定の様子などを見ることはできませんでした。雑草がいささか多かったのが気になるところです。



直営レストラン
焼肉やさぬきうどんなどを注文できるレストランが物産館の2偕にあります。焼肉は1980円の食べ放題コースもあり、値段を上乗せすれば自社ワインを飲み放題で飲むことができます。
またワイナリー名物であるワインを入れたというピンク色のさぬきうどんも食べることができます。これを観光用のゲテ物うどんであると思うとさにあらずで、しっかりとしたこしのあるさぬきうどんです。それもそのはずでこのうどんに使っている小麦は香川県産の小麦「さぬきの夢 2000」。輸入小麦に品質で対抗するべく開発された香川県肝いりの品種なのですが、生産量が少ないため普通はなかなか食べる機会がないというもの。このワインうどんはワインが入っているのかどうかは気にしないと分かりにくいのですが、そんなことより純粋においしいのでお奨めです。
全体にレストランの値段は適正な価格なので、訪れたらここで食事をすることは選択肢に入れてよいと思います。
銘柄: 白ワイン(辛口)
生産元: さぬきワイン
価格: 800円(360ml)
使用品種: 甲州、セミヨン、等
備考 色は無色。かなりおとなしめですが、白い花を連想させる香りや、リンゴ、ユズのような香りがあります。また、さぬきワインにわりによくでる埃っぽいような香りも時間が経つと現れます。味わいは辛口でもファーストアタックはまろやかですが、口中に入れてしばらくすると強い酸味を感じます。味わいはやや荒いところがあります。また、飲んだ後にシロップのようなアフターフレーバーを感じます。
なお、値段は720mlでは1200円となります。
飲んだ日: 2004年8月18日
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テイスティング
販売されているほとんどのワインを試飲することが可能です。ただし、有料で1杯100円となります。さすが有料だけあり、きちんとしたテイスティンググラスに注がれて提供されるので、じっくりと味を確かめることができます

白ワイン(甘口):値段は1050円。さぬき市産のデラウェアを100%使用した、創業以来販売されているさぬきワインの代表銘柄です。香りは少ないですが柑橘類のようなニュアンスがあり、酸味と糖度のバランスはまずまず。飲みなれていない人でも抵抗なく飲めるでしょう。

白ワイン(辛口):詳細は管理人のワイン記録に譲ります。山梨県産の甲州を主体とした多品種ブレンドのワインです。

無農薬ワイン・赤(辛口):さぬき市産の無農薬栽培のマスカット・ベリーAを100%使用したワイン。価格は1575円。ブルーベリーと酸化によると思われる樹液、ヘーゼルナッツの香りがあります。香りはまずまずですが、ぶどう由来の味がほとんどありません。アフターフレーバーには朽木のような香りが強く感じられます。ライトボディ。

樽熟メルロー(赤):オークの香りが主体で、ぶどう由来のフルーティーな香りはあまりありません。ミディアムボディで、含み香も樽由来の木香が主体となります。酸味はしっかりとしており、さぬきワインのなかではかなり重めのワインとなります。価格は1575円。

アイスヴァイン(ロゼ):ロゼですが、デラウェア主体のワインです。価格は1680円。小夏と温州みかんのような柑橘系の香りが主体。果汁凍結により糖度を非常に高めているので極甘口ですが、意外に酸がしっかりとしているために甘さばかりが勝ちすぎることがなく抵抗なく飲むことができます。甘口好きの人におすすめです。

全体をみると気候によるものなのか、面白いことに全体に酸味がきつい傾向があります。酸をあえて多く残してフルーティーさを強調しているのかもしれません。また、無添加や無農薬、ハチミツ入りワインといった特殊なワインの数が多いのも特徴です。
余談ですが、さぬきワインのネーミングは恐ろしく直球勝負。気取った銘柄名はつけずに「白ワイン」「赤ワイン」という商品名で売り出すというのは確かに消費者は混乱しません。まあ、いささかシンプル過ぎる気もしますが。
購入方法 
ワイナリーから直接購入、またはホームページからの注文を受付けています。また、地元の香川県の酒販店などでも販売されています。

ワイナリーアクセス
さぬきワインの公式ホームページにアクセスマップが掲載されていますから、そちらを参照してください。


総論
実は周囲の知人から聞いたこのワイナリーに対する評価は最悪で、「甘いだけでおいしくない」というのがその共通点でした。このため、さすがに覚悟しながら飲んだのですが、言うほどにはひどいものではありませんでした。おそらく、品質向上の努力が行われているのでしょう。
基本的に観光用ワイナリーなので内部は清潔感があり、綺麗にまとめられています。展示品のレイアウトなども気を使っているのがわかり、漫然と営業しているわけではないことは素人目にもわかります。ワインのほうは、無農薬・無添加といった商品を含めて健康ブームなどに便乗したようなワインが多い傾向があります。これとは別にいくつかの銘柄が本格ワインを指向しており、そちらは品質向上の余地はかなりあるにしてもさぬきワインが観光客向けだけのワインだけを造っているわけではないことを示すものです。
全体としては日常的にワインをたしなまない、観光客向けの商品が主力であることは確かですが、どこもかしこも高い品質のワインを造ったり日本一を目指すことはないわけですから、飲み手でこだわる方はこのあたりは割り切るべきです。

個人的な感想ですと、ここを目指して大串に行くというよりは、ちょうど大串岬周辺を観光するという人が立ち寄るといったワイナリーであるといえるでしょう。レストランの内容も悪くないので、香川県に行ったならばついでに寄ってみることをお奨めします。
外観  歴史  施設の概略  葡萄畑  直営レストラン テイスティング  購入方法  アクセス  管理人のワイン記録 
社名  さぬきワイン(株) 
住所 香川県さぬき市小田2671番地13 電話番号 087-895-1133
取寄せ オンラインショッピングあり HP http://www.sanuki-wine.jp/
自社畑あり 契約栽培畑あり ツアー等 訪問自由
テイスティング可(有料)
栽培品種 デラウェア、マスカットベリーA、他 営業日 年中無休
営業時間:午前9時〜午後4時
★  2004年5月5日
備考:第三セクター、直営レストランあり、物産センター併設
展示してある小型の圧搾機。小さくて可愛いのでオブジェとして販売できそうなです。
品種不明ですが垣根栽培が行われています。わりと樹間を広くとっています。
これでもかというほどに多種類のワインを販売。ハニーワインのような甘味果実酒も販売しています。