社名 中伊豆ワイナリーヒルズ
住所 静岡県伊豆市下白岩1433−27 電話番号 0558-83-5111
取寄せ オンラインショッピング有り HP http://www.shidax.co.jp/winery/
自社畑あり・契約栽培畑あり(長野県安曇野) ツアー等 あり(無料・期間限定で有料)
テイスティング可(無料・有料)
栽培品種 メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、山ソーヴィニヨン、プチ・ヴェルドー、シャルドネ、信濃リースリング、ガメイ、行者の水、他 営業日 年中無休
★訪問日 2003年8月13日、2004年4月17日、2005年11月13日、2012年11月8日
備考: ブランデー醸造 























































































































































































受賞ワインの展示上と品揃えが豊富なお土産コーナー 

   


 






中伊豆ワイナリーヒルズ
〜シダックス、故郷に錦を飾る〜
外観

温泉街のある中伊豆の山頂に広がる葡萄畑と、洒落た建物が静岡県唯一のワイナリー、伊豆ワイナリーです。建物内は四階建てで3つのレストランと、チャペル、ワインの販売所やオーナーである志太勤氏のワインコレクションを並べたコレクションルームもあります。また自社ワインのテイスティングルーム(無料)と、独自ルートで輸入したカルフォルニアワインのテイスティングルーム(有料)もあるうえ、屋外にはバーベキューのコーナーや、伊豆で取れた野菜や果物の直売所なども時折設置されており施設としての充実ぶりはかなりのものです。
このテラスから見える広大な約5ヘクタールを越すある葡萄畑の光景は壮観で、山頂からの眺望も望めます。
もちろん醸造所やセラーも公開されており、自由に見学することが可能となっています。

 
歴史

給食産業とカラオケで有名なシダックス株式会社オーナーの志太勤氏が、故郷である伊豆のために新興産業としてワイナリーを作ることを思い立ったことがその始まりです。
マンズワインの工場長として勤務しレインカット栽培方式の開発者である木下研二氏を社長として迎え入れ、葡萄栽培に適した斜面を中伊豆に探し出し平成11年に中伊豆ワイナリーを建築しました(2004年、中伊豆が伊豆市として合併されたため、現在は伊豆ワイナリーに変名されました)。同じくすぐ近くにホテル「ワイナリーヒル」も建築、新観光地としての伊豆ワイナリーがここに完成しました。
ワイナリーの運営は現在はシダックスですが、設立当初の伊豆ワイナリーは志田氏の所有だったというのですから驚きです。
またワイナリー完成前の平成5年に農業生産法人の中伊豆志太農業が設立されており、こちらには同じく元マンズワインの志村栽培技師が代表として就任しました。ワイナリーオープン前からワイン用葡萄品種を試験栽培、育成、醸造して準備を整えてた関係で伊豆ワイナリーの古いヴィンテージのワインの製造者の項にはこの中伊豆志太農業の名前が書かれている、またはシールで上から中伊豆ワイナリーの名前が貼られていることがあります。
農業法人が設立されているだけあり、中伊豆ワイナリーヒルズは広大な自社畑を持つワイナリーです。もっとも広い自社畑があるとはいえ、とても生産数の全量を補うことはできず、他の畑や他県から葡萄を買って足りない分を補っています。
またワイナリーの歴史とは異なりますが、志太氏がアメリカのもっとも有名なワインの一つである「オーパス・ワン」の大コレクターで、そのコレクションぶりは凄まじいものがあります。何と「オーパス・ワン」を最初のリリースから全ヴィンテージを所持しているのです。かつて沖縄サミットでクリントン大統領の晩餐の際に、このコレクションの「オーパス・ワン」が使用されたことがあったというのですから、その保有量は尋常なものではないでしょう。
このコレクションは閲覧可能なので、ワイナリーに行ったならぜひ見ておくことをお奨めします。
施設の概略 
伊豆ワイナリーはさすがに資本力が並みのワイナリーとは段違いなだけあり、設備も人員も相当なものです。お土産販売所にある無料試飲はそこまで充実していませんが、有料試飲コーナーでは10種類以上の自社製ワインを試飲することができます。売店も充実しており、ワインの販売だけでなくグラス、伊豆の特産品など多くのものが売られています。観光バスが始終乗りつける伊豆市屈指の観光地ならではの光景はワインの陳列にもみられ、ボリューム感を前面に押し出したスタイルなど、零細ワイナリーとは異なる雰囲気がそこかしこに。また醸造施設もガラス越しですが自由に見学できます。

3Fのブライダルサロンは落ち着いた内装もいいのですが、ワインファンなら一度は飲んでみたい「シャト−・ムートン」、「ロマネ・コンティ」、「シャトー・ラトゥール」、「シャトー・オーゾンヌ」等々のコレクションがケースに飾られています。
しかし、何より圧巻なのは中央におかれた「オーパス・ワン」コレクション。初回リリースより全ヴィンテージが全てその中につめられています。聞いたところによるとオーパス・ワンが有名になってから集め出したのではなく、初回リリースのその年からコレクションを続けているというのですから筋金入りのコレクターぶりだと言えます。
屋外にはバーベキュー用の施設もあり、農産物の直売なども敷地内で行われているので、一人でなく家族や友達と遊びに行くのもよいかもしれません。
また日本のワイナリーでは極めて珍しいことに直営のホテル「ワイナリーヒルズ」があります。ホテルの詳細などは中伊豆ワイナリーヒルズ公式ページに詳しく載っています。

グラッパの丘:単体で完璧に観光施設として成り立っているのが、ワイナリーのはなれに建設されているこの施設。バーベキュー会場があった場所を覆う形でグラッパの蒸留所が建設されました。その内装がみごとで、蒸留所に至る道から内部の天井まで棚栽培の葡萄が覆い尽くし、葡萄のしげる季節にはここを訪れるとまさに緑の屋根の下を歩くことができるのです。
内部にはもちろんガラスケース越しに蒸留所が建設されており、さらに販売所も完備といたれりつくせり。またシャトーTS施設全体にいえることですがサイズが大きめな施設が多いのも特徴でしょう。

葡萄畑
葡萄畑へは基本的に自由に入って見学することが可能です。2011年の時点で既に5ha以上とかなり大きな畑を所有しており、今後も逐次拡張していく予定とのこと。醸造施設周辺だけでこれだけの畑を持っているワイナリーは国内に少なく、本当にフランスのシャトーのようです。
植えられているのは、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティベルドー、国内では珍しいガメイなど代表的ヨーロッパ品種から信濃リースリング、山ソーヴィニヨンといった日本で交配した葡萄。現在も畑を広げているので、木の中には若く、まだ植えたばかりの木が常にあります。
全て垣根仕立てで栽培が行われ、レインカットで葡萄を雨から守るなどの工夫がされおり、真面目にワインを作る姿勢があることがよくわかります。
また、少し専門的な話になりますが、植えてある木の剪定は基本的にはギュイヨ・ドゥーブルという二つの新梢を伸ばす方式なのですが、その中に優良な古い枝を残すコルドン式という栽培や、一つの木に両者が混在する剪定が行われており、栽培に詳しい人にとっても興味を引く畑となっています。
筆者が飲んだこの一本!
銘柄: シャトーT.S 中伊豆リースリング 2004
生産元: 伊豆ワイナリーシャトーT.S
価格: 1890円
使用品種: 信濃リースリング
備考 淡いレモンイエロー。レモン、リンゴのコンフィ、少しバター香となかなか複雑で飲む前から期待させます。
やや甘口で、含み香はレモン、ハチミツ、コクもまずまずあり、アフターにははきちんと酸味を感じます。

伊豆ワイナリーのワインの中で華やかさではダントツのワイン。価格も問題ないので、おすすめです。唯一、売り切れやすいのが問題でしょうか。
飲んだ日: 2005年1月1日
トップページに戻る

畑は全て垣根居栽培。見学可能です。
ワイナリー1Fのカーブにも「オーーパス・ワン」が保存されています。その所蔵量は圧巻の一語に尽きます。

銘柄: 中伊豆シュール・リー 2002
生産元: 伊豆ワイナリーシャトーT.S
価格: 1500円
使用品種: 甲州
備考 色は薄い山吹色。洋梨とわずかにチェリーの香り、新樽のヴァニラ香。口に含んだ感じはまろやか。ほのかな酸味と樽由来の甘さがあります。甲州のフルーティーな味わいは、少し弱め。
含み香はヴァニラ香が主体で、余韻はそこそこ長くなります。
こちらは樽の香りが控えめなので、むしろ冷えすぎてるとせっかくの香りが楽しめなくなります。温度は10度前後がちょうどバランスが良い味わいになる感じでした。
飲んだ日: 2003年12月6日
直営レストラン
ワイナリー内には軽食を含めれば3つのレストランがあります。バイキング形式から、本格的なフルコースまで様々なレストランがそろっています。
筆者は1Fのバイキング形式の方で食事をしましたが、150席以上ある収容数を見たときには、よくぞこんな施設を伊豆の片田舎の山の中に作ったものだと半分呆れてしまいました。ちなみにバイキングのある「カルフォルニア」は90分食べ放題で1890円。

3Fには軽食のレストラン。元々はパスタとケーキセットの店だったのですが、ピザとご飯物(と言ってもピラフやカレーの類です)がメニューが追加されました。料理はほとんど千円前後なので、バイキングやバーベキューでは多すぎるし、4Fレストランもちょっと、と言う人にはちょうど
良いでしょう。パスタは味もなかなか。(3Fレストランの情報は掲示板に書き込み頂くY/Nの記事を一部改変のうえ使用させて頂いています)
さらに結婚式会場もこれとは別に存在しています。

ツアー
ツアーは原則的には無料で毎日時間ごとに館内放送があり、指定された時間に指定された場所に行けば係員にワイナリーについて説明してもらうことができます。
ビデオによるワインの醸造方法の説明から始まり、続いて畑の見学では、現在栽培されている品種等を一通り説明してもらえます。
次に樽貯蔵しているセラーに案内され、実際の樽を見ながら樽の役割等を説明されます。アメリカンオークが多めで、フレンチオークのほうが少ないということだったのですが、これは日本では例外中の例外といっていい構成です。成分が溶けこみやすいアメリカンオークを使用して樽香のバランスの良いワインを造っているのですから、醸造技術者やブレンダーのレベルの高さがよくわかります。
最後にオーナーのコレクションルームで、130年以上前のボルドーのグレートワインを見ながら、フィロキセラとプレフィロキセラワインについての解説を聞いて終了です。時間は30分程度をみておくとよいでしょう。

他、ゴールデンウィーク中などに限り、有料のツアーが行われます。こちらは試飲等もあります。詳細については伊豆ワイナリーに問い合わせたほうがよいでしょう。

テイスティング
テイスティング可能な箇所は2箇所。それぞれ有料と無料のものがあります。

無料は3種類前後で価格的にも安い銘柄のみですが、有料の場合には中伊豆ワイナリーヒルズの販売されているほぼ全てのワインをテイスティングすることが可能です。

志田シャルドネ 2010 プレミアム:5250円。最初の銘柄は伊豆で初めての100%伊豆産葡萄を使用したのワインとして有名です。初リリースの銘柄はあまりに樽を使いすぎていたワインでしたが、それ以降はバランスがだんだんとよくなってきています。白桃、青リンゴ、といった華やか香りが主体ですが、全体に穏やかな香り。ほのかなバニラ香など上品なワインという印象を受けます。また、これとは別に長野県安曇野市の契約栽培畑のものを醸造した、別の銘柄(2920円)もあります。

志太プティヴェルド2009年:自社畑のプティヴェルド主体で他に自社畑カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。5250円。熟した果実、チョコレートなどの重い香りが主体で、ファーストアタックは強く、タンニンもしっかりしています。ヴィンテージが2009は良年なので試飲時点では若く、数年は置きたい印象。

甲州のワインについては、原料は当然ながら山梨県のものを使用。ワイナリー開業当時から、甲州ワインについては出来が悪かったことがなく、非常に安定した品質を誇っています。価格帯も伊豆ワイナリーのなかでは安い部類なので、迷ったらこれを買うのもいいでしょう。
無料テイスティングでは巨峰ワインといった低価格帯のもの、また新酒のシーズンでは信濃リースリングとガメイの新酒も無料で試飲できます。
なお、銘柄によっては海外のワインと国産のワインをブレンドしたものもあります。
※作られた甲州ワインのコメントは管理人のワイン記録を参照してください。


総論
中伊豆という未知の環境での栽培を、想像を超える苦労を乗り越えて奮闘中。長くお世話になっているワイナリーですが最初のころと比べると品質は、隔世の感があります。初期の自社のワインは値段以前に内容的に十分とは言いがたいものがほとんどでしたが、現在は飲むに値するワインを多数製造しており国産ワインコンクールでも受賞の常連です。ただ価格については全国の優良国産ワイナンと比べると、全体に値段が高めという印象を受けます。

コストパフォーマンスでいくと、甲州、そして信濃リースリングのワインは安定して高品質。また自社畑ではないですが、安曇野市のシャルドネは値段分の価値は十分にあるかなりのワインです。赤では5000円と高価格ですが、志田プティ・ベルドーは訪問したならせめて試飲だけはしておきたい銘柄。伊豆という地でこれだけのワインが造れるということを実感してください。何にしても伊豆ワイナリーは上記のように施設・眺望ともに充実しており観光に行くにはお奨めのワイナリー。修善寺や中伊豆に観光に訪れたなら時間を割いて行ってみる価値は充分、一度は行くことをお勧めします。


購入方法 
ワインの販売はワイナリー内の販売店と、ホームページからの通販、地元の酒屋などで行われています。また、カラオケのシダックスにおいても中伊豆のワインが使用されています。購入方法については、伊豆ワイナリーの公式ホームページに詳しく紹介されています。

ワイナリーアクセス

伊豆箱根鉄道の修善寺駅(終点)から車で10分、また修善寺駅から伊豆ワイナリー行きのバスもあります


アクセスに関しては伊豆ワイナリーの公式ホームページに詳しく書いてあるのでそちらを御参照下さい。
ちなみに私は修善寺から自転車でいきましたが、かなりきつい傾斜の山の上にあるので人力による移動はお奨めしません(^_^;


左図が2005年の畑の地図、右図が2011の畑の地図です。畑がかなり拡張されているのがわかります。
外観  歴史  施設の概略  葡萄畑   直営レストラン  ツアー  テイスティング  購入方法  アクセス  管理人のワイン記録