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社名 勝沼醸造(株)
住所 山梨県東山梨郡勝沼町下岩崎371
電話番号 0553-44-0069
取寄せ オンラインショッピング有り HP http://www.katsunuma-winery.com/
自社畑あり、契約栽培畑あり ツアー等 あり(有料 コース複数有り)
テイスティング可(有料)
栽培品種 メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、甲州、小公子、他 営業日 年中無休(お盆と正月は休日)
営業時間:10:00〜16:00
★訪問日 2003年7月14日  2005年11月22日
備考:国産葡萄のみ使用
勝沼醸造
〜たとえ一樽でも最高のものを〜
外観
一見、明治時代の庄屋のようにしか見えない日本家屋が勝沼醸造です。外観だけではとてもワイナリーには見えないのですが、中にはなかなか洒落たカウンター兼販売所があり、また2階にはワインのグラス館もあります。そんな中にも建物の外観どうりの立派な畳の座敷もあったりと非常にユニークな内装のワイナリーです。
ワイナリーのすぐ裏にある自社畑「番匠田」(ばんしょうだ)はあまり大きくはない畑ですが、そんな中でもシャルドネ、カベルネソーヴィニヨン、小公子などの品種が栽培されています。そのどれもが厳しく剪定されており、ワイン葡萄としての品質を高めてようとしていることがわかります。
 
歴史
勝沼醸造の歴史については公式ホームページに掲載されているのでそちらを参照してください。国際コンクール銀賞を受賞し、テレビ等のメディアで取り上げられることも多い勝沼醸造ですが、新興ワイナリーどころか初代から数えると創業70年近い老舗であることがわかります。

このワイナリーで最も有名なワインの一つが伊勢原地区で収穫された葡萄で造られた「アルガブランカ イセハラ」。それまでの甲州にまったくない柑橘系の香りをもったワインで、これが発端になってメルシャンなどで甲州に秘められた香りの研究が進んだともいわれるほどの衝撃を与えました。
2005年からは輸入ワインのブレンドを全て廃止し、赤・白ともに全銘柄が国産の葡萄のみを使用。特に前述のように甲州には力をかなり入れており、ラベルも一新し社長の名前を冠した「アルガブランカ」シリーズにその意気込みが現れています。

総生産量は約30万本となかなか多め。醸造免許を持たない会社から原料を受け取り委託醸造を行ったり、同じ山梨県アサヒビールワイナリー(2005年廃業)の施設を買取るなど事業的にも攻めの姿勢の強いワイナリーとして注目されています。


施設の概略

カウンター兼販売所内で、ワインやグッズの販売及び予約不要の有料のテイスティングが行われています。
2Fのグラス館は主にリーデルのグラスがかなりの種類陳列されており、グラスとワインの相性などを考えるうえでも一見の価値はあります。
またツアーを申し込むと、「これぞ日本の家」という座敷のある部屋でゆったりとテイスティングを楽しむことができます。なお、テイスティングは椅子に座って行われるので、正座について心配する必要はありません(^_^)



外観  歴史  施設の概略  葡萄畑  直営レストラン  ツアー  テイスティング  購入方法  アクセス  管理人のワイン記録 
葡萄畑
ツアーを申し込んでいれば、自社畑の「番匠田」(ばんしょうだ)を案内してもらうことができます。実はかなり離れた場所にも自社畑があるとのことですが、そちらはツアーでいくことはありません。
葡萄は、全て垣根仕立てで栽培されています。剪定などについては勝沼醸造の案内係の方が詳しく説明してくれます。
勝沼醸造のソムリエ山本さんのお話によると勝沼醸造のコンセプトは、社長の有賀氏曰く「例え一樽でも最高のものを」です。有言実行で、1999年には、自社畑「番匠田」に植えてあったシャルドネに厳しく剪定を行い、枝を半分以下にしてしまいました。結果、本当にその年は収穫が一樽になってしまったそうですが、代りに糖度もあがり酒質は向上したといいます。たださすがに一樽ではフルボトルで300本程度しか作れず、商売としては問題があるため、畑を新たに増やすなどして品質を保ったまま増産に努めているそうです。なお、現在は銘柄改変に伴い「番匠田」の名を冠したワインは発売されていません。

そういった基本に忠実なワイン作り以外にも、果汁凍結法による果汁の濃縮などといった醸造技術による酒質の向上にも余念がありません。

直営レストラン
勝沼醸造はワイナリー以外に、レストラン「風」も経営しており、こちらは勝沼のほとんどの観光マップにその名が載っているほど有名な洋風料理店でなかなか盛況のようです。この「風」はワイナリー直営レストランとしてはやや離れた所にあるのが難点ですが、料理は絶品です。サービスの教育を受けているスタッフが給仕を行ってくれるので、そういった面でも安心して食事がたのしめます(別に堅苦しい雰囲気なわけではないので誤解のないように)。
ワインは自社製ワインがメニューにあるのは言うまでもありませんが、他の国産・外国産のものを豊富に揃えてあります。特に地元勝沼のワインは主だったワイナリーはほとんど揃っている充実ぶりです。
料理について参考にいうと私が食べた料理はランチで2,800円の「山彦」コースです。内容は串揚げと、炊き込みご飯やサラダなどですが、ボリュ−ムがあり材料もなかなか良い物を使っていました。値段設定はやや高めですが高いだけのことはあるので、勝沼でちょっと高級感のあるレストランに行きたいならば「風」に向かうのがよいでしょう。
ツアー
ツアーは要予約で、詳細は勝沼醸造の公式ホームページにあります。人数の下限があるのでご注意を。
ツアーではワインのテイスティング以外にもヨーロッパ系品種の自社畑の紹介と、実際にワインが樽やビンで貯蔵されているカーブにも案内してもらえます。樽の種類についてはフレンチオーク、アメリカンオークといった大まかな区別だけでなく、アリエ・オークやヌヴェール・オークなど樽の産地によってさらに違いがあること、その区別の仕方も教えてもらえます。醸造施設に関してはツアーのコースに含まれていないようです
また、最も上位のコースは何と社長の有賀氏自らが勝沼醸造について紹介し、様々なワインをテイスティングさせてくれる贅沢なコースです。ただし、私はまだそのコースを申し込んだことがないのでこれに関しては感想の書きようがなかったりします。

テイスティング
テイスティングは試飲販売所にて有料(500円)で行えます。もちろんテイスティンググラスを貸してもらえ、8〜10種類のワインをテイスティング可能なので訪問したならぜひ飲みましょう。
今回は試飲販売所で行った試飲の結果を掲載するので参孝までに。

アルガブランカ イセハラ 2005:詳細は管理人のワイン記録で。人気ワインの一つなので売り切れ注意。

アルガブランカ クラレーザ 2004:昔の甲州シュール=リーにあたる銘柄で1680円と値段もほぼ一緒。ミネラル、洋梨、生パン粉といった香りがあり、ほどほどの旨みと糖を切ったドライな味わい。ミネラル感が口に含んでもしっかりしており、清涼感のあるワインです。

アルガブランカ ビッパ 2002:甲州樽発酵の上級銘柄にあたると思われる銘柄で3780円。ほどよい樽のヴァニラ香とフルーティーな洋梨の香りが明瞭に感じ取れます。含み香は最初は樽の香りが支配的ですが徐々に甲州のフルーティーな香りも現れてくる複雑なもの。味わいは熟成感があり旨みがのっています。
高いワインなのでお財布に余裕があるならおすすめ。

アルガーノ フォーゴ :もっとも低価格の赤ワインで価格は1260円、ヴィンテージはありません。国産カベルネ・ソーヴィニヨンとベリーAのブレンドワインで、フランボワーズやブラックベリーの香りが主体。大変に軽いスタイルの赤で含み香もボリュームはなく、ベリー系の香りの他、茎をかんだような青い香りが感じられます。とにかく軽い赤が好きな人、であれば買ってみてもよいかもしれません。

アルガーノ レティーロ 2003:カベルネ・ソーヴィニヨンと小公子(ヤマブドウ交配品種)のブレンドという珍しい赤ワインで価格は3570円。ロースト香、こしょうやブラックベリーの香りで、アタックはとても優しく繊細。後半もボリュームはありませんが後味がエレガントで、糖分は残っていなくてもベリーの香りと旨みで甘い味わいを感じます。余韻にはバターやロースト香が残ります。

アルガ ゴッタロシオ 2003:価格は1680円。青リンゴ、洋梨のフルーツ香主体の華やかなワイン。やや甘口の味わいで酸味はまずまず、口に青リンゴの果実の香りが広がります。

アルガブランカ ドース 2002:価格は3360円。甲州を果汁凍結により濃縮した極甘口ワイン。完熟したリンゴの香りがあり、味わいには意外にもしかりした刺激的な酸味を感じ取れます。極甘口ながらも後味もしっかりしまり、また含み香のリンゴや洋梨、メロンといった香りが華やかなので、インパクトは充分。価格は高いですが、数少ない高級感のある甘口ワインなので試飲だけでもおすすめです。

3年前に訪れた際にはかなり個性的というか、問題ありのワインが数点あったのですが、さすが名醸造所!そういった銘柄は完全に払拭されました。さらに赤ワインも含め全て純国産となり、ブランド力が向上しています。
詳細は総論に譲りますが、全般に甲州ワインは噂に違わないレベル。赤はまだまだ発展の余地ありといった印象でした。



総論

山梨県で最も有名なワイナリーの一つなので、実際に訪れた方も少なくはないでしょう。
「アルガ」シリーズへの改変以降、洗練されたスタイルのワインが多くなりました。
赤はあまり飛び抜けてインパクトがあるようなものはなく、よくいえば繊細、悪く言うとやや個性に欠けました。アルガレティーロは確かに内容はよいのですが、値段が高く、同じ値段をだすなら国産の中でももっと良いワインがあるように思えてしまいます。1260円の「アルガーノフォーゴ」もやはり同様。
勝沼醸造自身がもっとも力を入れているという甲州は有限実行という言葉がふさわしい内容でした。「アルガブランカ イセハラ」がどうしても有名ですが、「アルガブランカ クラレーザ」や「甲州樽発酵」などもなかなかのもの。特に果汁凍結による濃縮を行ったワインに関しては他社と比べても一日の長があります。あえて文句をあげると、上級銘柄が甲州にしてはやや高いか、といったところでしょうか。

葡萄狩のシーズンはこちらも収穫期なので忙しいそうですが、それ以外の時はそれほどでもないらしいので、秋のシーズンを外すと長く相手をしてもらえる可能性があります。
勝沼醸造に関して確かに言えることは、高品質のワインを醸造しているワイナリーであること。そして日本ワインファンならずとも行く価値のあるワイナリーであるということです。
雰囲気もそれほど重々しくなく気軽に訪れることができる醸造所なので、友人などと足を運んでみてはどうでしょうか。

購入方法 
ワインの販売はワイナリー内の販売店と、公式ホームページからの通販、酒販店などで行われています。勝沼醸造の公式ホームページに取り扱い店等については詳しく紹介されています。

ワイナリーアクセス
アクセスに関しては勝沼醸造の公式ホームページに詳しく説明されているのでそちらを御参照下さい。
自社畑のカベルネソーヴィニヨン。晩生なので収穫は他の葡萄よりも遅くなっています。
レストラン「風」。勝沼の丘の上に立っています。広い駐車場もありますが、行く度に満車です。
銘柄: 勝沼甲州樽発酵  2001
生産元: 勝沼醸造
価格: 3000円
使用品種: 甲州葡萄
備考 甲州葡萄の果汁を凍結させたことにより酒質を濃厚にしたワインです。
色は薄い山吹色。熟したリンゴと黄桃のような少し重い香りがあります。
厚みのある酸味と、味が平坦といわれる甲州としてはかなりの重厚な果実味、そして樽由来の甘味を感じます。余韻には樽のトースト香とヴァニラ香がほどよく残ります。
勝沼醸造を代表する銘柄として非常に有名ですが、その名声に恥じない品質です。
ただし、熟成に耐える酒質のかわりに若すぎるときは味に荒々しさがあるので、あまりに若いヴィンテージの場合には少し寝かせてやるか、または半年ほど待ってから買うのがいいでしょう(人気銘柄なので売り切れの可能性が高いですが)。勝沼醸造さん、ワインを買えば保存しておいてくれるようなサービスを、はじめてくれません?(^_^)
飲んだ日: 2003年12月29日
銘柄: アルガブランカ イセハラ 2005
生産元: 勝沼醸造
価格: 2100円
使用品種: 甲州
備考 色は甲州にしては珍しく薄い麦藁色。
香りは通常の甲州ワインにはありえないグレープフルーツ、みかん、といった柑橘類を想像させる極めて強い香りとミネラル香。含み香もまったく違わず、前知識無しに飲んだ人はソーヴィニヨン・ブランとほぼ100%間違えます。
アタックはそれほどでもありませんが、香りだけのワインではなくコクとしっかりした酸ももっています。余韻も同じく柑橘類の香りが主体。

ソーヴィニヨン・ブランの香りが嫌いな人にはまったくおすすめできませんが、そうでなければ一度は飲んでおきたい銘柄。少なくとも値段分の価値は充分にあります。
飲んだ日: 2006年2月22日