要介護者の口腔ケア
    身体に何らかの障害を生じ、要介護の状態になると健常者と同様な口腔状態を保つのは困難になり、
    口腔内の清潔がなかなか保てません。
     このような要介護者の口腔ケアが重要であり、また口腔ケアが不足すると、口腔内の細菌数は増加し、
    それが誤嚥性肺炎の原因になることは介護者の8割の方が知っていると言われます。
     
     ところが、国立療養所中部病院歯科の角 保徳先生の調査によると、介護職員のおよそ4割の方しか
    口腔ケアについて指導を受けたことがなく、さらに95%の方が口腔ケアの指導を受けたいと考えていると
    いうことがわかりました。 さらに介護職員の負担を調査したところ、4割の方が「口腔ケアは負担である」、
    約2割の方が「口腔ケアをやると疲れてしまう」、1割の方が「口腔ケアはやめたい」と考えているという実態が
    明らかになりました。

     介護保険制度が発足して約3年が経ちましたが、その報酬額が比較的低いということもあり、要介護者の
    口腔ケアは十分になされていないというのが実態
です。
      
      また、口腔の感染や疾患は先に述べた肺炎のみならず、心筋梗塞や狭心症などの循環器疾患や糖尿病
    とも関連が深い
ことが最近の調査でわかってきています。
     したがって、口腔ケアは単に口腔内の清潔を保つためだけでなく、全身疾患に対する管理であると言うこと
    ができるでしょう。

     歯科医師や歯科衛生士は口腔の疾患の治療のみならず、このような口腔ケアのスペシャリストでも
    あるのです。
     施設や在宅で介護を必要とされている方々の口腔ケアは、はじめに述べたようにまだまだ不十分な環境に
    あります。
     十分な口腔ケアは、肺炎などの全身疾患の発生率を抑え、ひいてはその治療や看護、介護の労力を
    抑えること
になります。

     口腔ケアについて、もっとお知りになりたい方は、お近くのかかりつけの歯科医歯科医師会にお問い合わせ
    ください。

          以下に角先生が提唱されている口腔ケアのシステムを御紹介します。

    

口腔ケアシステム 1日/1回/5分
口腔ケアスポンジ  1分

口腔粘膜、歯肉のバイオフィルムを
破壊し、細菌を遊離させる
舌ブラシ  30秒

舌苔を除去し、細菌を遊離させる
電動歯ブラシ 2.5分

歯面のバイオフィルムを破壊し、
細菌を遊離させる
含嗽  1分  

遊離した細菌を口腔外に排出する



                                              若松歯科医師会 地域保健委員会 担当