家庭でできるチェック方法

   

●食べ物・唾液飲み込みテストでチェック

飲み込む能力に問題がないかどうかは、「食べ物テスト」「唾液飲み込みテスト」で家庭でも安全にチェックすることができます。

これらのテストで問題がある場合は、専門医に受診することが必要です。まず、耳鼻咽喉科。歯科(口腔外科)などに相談してください。最近は摂食・嚥下障害外来、リハビリテーション科など、専門外来のある医療機関もあります。医療機関では、エックス線による「嚥下造影(VF)」で、食べ物を口に入れるところから、飲み込むまでの様子を検査します。嚥下造影は、2030分かかりますが、痛みはありません。この検査でどこに問題があるのか、どんな食べ物やどんな状態で食べれば安全なのかが、明らかになります。

食べ物テスト

細かく砕いたプリンを茶さじすりきり1杯飲み込んでもらい、口の中のどこに、どの程度残っているのかを見る。歯茎の横に隠れて残っていることもあるので口の中をよく見る。むせずに全部飲み込めればOK。

唾液飲み込みテスト

12CC程度の少量の水で口を湿らせ、30秒間、唾液を繰り返し飲み込む。30秒で3回できればOK。1人は、ストップウオッチを持ち、口に水を含ませると同時に時間を計る。飲み込めたかどうかは、もう1人がのどに指を当てて確認する。

プリンが口の中に残る、唾液を3回飲み込めない、またむせてしまうといった場合は専門医を受診する。

<飲み込む仕組み>  下図参照

食べ物を飲み込む一連の運動は、@〜Dの順序で行われる。

@目で見たり、においをかいだりして、食べ物を確認し、手で食べ物を口元に運んで唇で取り込む。馴染みがない食べ物、においのおかしい食べ物などは、食べないと判断することもある。

A食べ物を口に運び、噛み砕く。咀嚼運動では、下あごや舌、頬などが協力して動く。細かく噛み砕かれた食べ物は、唾液を混ぜ合わされて一塊(食塊)となり、舌の上に載せられる。このとき、舌はスプーンのように中央がくぼんでいる。歯がないと、舌をスプーン状に保つのが難しく、食塊をすくいあげるときも舌に負担がかかる。

B舌が持ち上がり、載せられた食塊を口からのどに送り込む。食塊が舌の上に載せられるとそのあとは、反射的に飲み込み運動が起こり(嚥下反射)自分の意思で止めることはできない

C食塊がのどに送り込まれると、咽頭蓋が持ち上がって気管への入り口を塞ぐと同時に閉じていた食道の入り口が開いて食べ物が食道へ入っていく。咽頭の途中にある声帯も閉じて食べ物が気管に入るのを防いでいる。
D食べ物は、食道の入り口から、胃の入り口まで運ばれる。



−「NHK きょうの健康」より抜粋−向井美惠昭和大学歯学部教授