● 若松環境衛生だより 令和6年 2024年
●6月号 | 歯が命 |
「芸能人は歯が命」というコマーシャルのフレーズを覚えていらっしゃる方も多いと思います。一昔前までは「歯が白いのは七難隠す。」と言われていたようにこの表現は単に審美性を意味していました。しかしいま健康な歯は審美性だけではなく本当に命を守っていることがいろいろと分かってきています。糖尿病や心臓病と歯周病、歯の欠損と認知症との関係など様々です。 歯医者さんに行って「あなたは歯周病です。」とか「ここに歯石がついています。」などと指摘されたことはありませんか?当院でも検査のあと説明すると「私、ちゃんと磨いているのになぜ?」とか「痛いとか血が出るとかの症状はないのに?」などと皆さんよく言われます。もちろん歯磨きをしていない方はほとんどいらっしゃらないと思います。でも、磨いているという事ときちんと磨けているかどうかはまったく別の事なのです。多くの方は自分ではきちんと磨いたつもりでも磨き残しがあって、それに気づいていないのです。磨き残しの「プラーク」が付いてしまうとそれが時間の経過とともに「歯石」となり、そうなるともう歯ブラシでは除去することができなくなります。歯石は歯科医院で専門家に取ってもらうしかありません。もしも歯石を放置したままにしておくとやがて歯肉が腫れ、炎症が徐々に深部に進み、歯を支えているあごの骨が溶けだし、徐々に歯がグラグラと動き出して最終的には歯が自然に抜け落ちてしまいます。これを歯の自然脱落と言います。恐ろしいのは、歯が動き出してから治療のしようがない状態になるまでほとんど痛みやその他の自覚症状がないので本人がそんなに悪いとは気づかないことです。さらに症状が進み痛みや腫れ、歯の動揺が顕著になってからはじめて気づき、あわてて歯科医院を受診する方が多いのですが、それではすでに手遅れなのです。 患者さんの中には歯石を取るのは痛いから嫌だとか、いまは自覚症状が何もないから虫歯の治療だけしてほしい、極端な方は痛みだけ止めてほしい、などと言われる方が時々いらっしゃいますが、口腔内を見ると歯石だらけのことが少なくないのが実情です。口の中に不調和を感じている方、歯磨き時の出血や口の中のネバネバ感、口臭なども歯周病の一症状の可能性がありますので、迷わず早めにお近くの歯科医院を受診してください。 逆に、虫歯がなくて歯科医院が縁遠い方も注意が必要です。出血も歯ブラシがきちんと当たっていなければ見られません。繰り返しますが歯周病はかなり進行するまで痛みはないのです。北九州市から30歳〜70歳までの節目の歳を迎えられる方に歯周病検診受診券がハガキで届いていると思います。このハガキをお持ちになってぜひお近くの歯科医院で検診を受けてください。 「歯が命」の言葉を、もう一度認識していただければ美味しく食べることができて、豊かな人生を過ごすことができるといっても過言ではありません。 若松歯科医師会広報委員会 |
|
●2月号 | 幼児期に永久歯の土台を作る! |
歯とのつきあいは、最初の乳歯が生えてくる生後6〜7カ月ごろから始まります。2歳半ごろには乳歯が生えそろい、3歳を過ぎると、比較的硬いものでもよく噛めば食べられるようになります。その後、4歳ごろまでに乳歯列(乳歯の歯並び)が完成します。乳歯列は、6歳ごろから生え替わる永久歯の歯並びに大きく影響します。理想は、歯と歯の間に少しずつ隙間がある状態です。 ところが、最近の子どもたちはあごの骨が小さく、隙間のない乳歯列が多く見られます。乳歯の抜けたところに、永久歯は生えてくるのですが、最近の子どもたちは永久歯のサイズが以前より大きくなっていると言われおり、隙間のない状態では、永久歯の収まるスペースが足りません。すると、狭いところに押し込められ、デコボコとした歯並びになってしまいます。整った歯並びを手に入れるには、幼児期から、正しく噛む習慣が大切です。よく噛めば、歯並びの土台となるあごの骨が丈夫に、大きく育ちます。 また、正しく噛むために大切なのは、正しい姿勢です。たとえば、椅子に座って、足をブラブラさせて食事をすると、力が入らず、噛む力が約15%弱まります。弱まった分だけ、あごの骨の成長が妨げられてしまいます。その場合は足の下に台を置いて足をつけて座るとよいでしょう。このように、幼児期から体力をつけ正しい姿勢でしっかり噛むことで、より理想的な歯並びと噛み合わせに近づく事ができます。 理想的な歯並び、噛み合わせになると、虫歯や歯周病のリスクが減り、何歳になっても自分の歯で美味しく食事ができ、健康的な食生活が送れるのです。 若松歯科医師会広報委員会 |
|
|
|