若松環境衛生だより 令和4年 2022年

●11月号 小児期の矯正について
   歯並びを整えるためには、子供の頃から始められる小児矯正がおすすめです。今回は、悪い歯並びのリスクとお子さんの歯並びを良くする方法について紹介します。

歯並びが悪いと見た目の問題の他、次のようなリスクが考えられます。

・虫歯や口臭の原因になる 歯並びが悪いと食べかすが溜まりやすくなり、口の中で歯垢や歯石が付着します。丁寧な歯磨きを心掛けても、歯と歯の隙間やデコボコ部分は手入れがしにくく、虫歯や口臭が起きやすくなります。

・食べ物が上手く噛めない 歯並びが悪いと噛み合わせに影響し、食べ物が上手く噛めないことで胃腸への負担も大きくなります。

・歯ぎしりが起こりやすい 歯並びが悪いと歯ぎしりが起こりやすいと言われ、ひどい場合は顎関節症を発症することがあります。 その他にも、滑舌や発音が悪くなる、顎や筋肉の成長が偏ることで顔がゆがむ、頭痛や肩こりの原因になる等様々なリスクがあります。

子供の歯並びを良くするには次の方法がおすすめです

・口周りの筋肉を鍛える 舌の位置が悪いと常に舌が歯に当たることから、歯並びが悪くなりやすいのです。舌を正しい位置にキープするためには唇、唇の周辺の筋肉、舌の力とかむ力のトレーニングがおすすめです。永久歯が生える前の3~6歳に行ない、悪い歯並びにならないよう促していくことが大切です。

・小児矯正 矯正装置を使い、歯や顎の位置を正しく整える方法です。小児矯正は歯を動かすだけでなく、顎の成長もコントロールでき、歯を抜かずに矯正出来るのもメリットの一つです。

お子さんの歯並びで気になる事があれば、まずはかかりつけの歯医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。

                                    若松歯科医師会広報委員会

●8月号

小児期の食事について

 
 最近は、あまり噛まずに食べることができる柔らかい料理や食品が多くなっており、それに伴い子供の顎が小さくなってきている傾向があります。

噛むことと歯並びには深い関係があり、幼い頃からしっかり噛むことによって、顔の筋肉や顎が発達し、歯がきれいに生え揃うスペースが出来上がります。

戦後から現代にかけて日本の食生活はぐっと欧米化してきました。欧米食は柔らかい上にカロリーが高く、自然と噛む回数が減ってしまいます。その結果、現代の子供達は顎が小さい場合が多く、歯が生え揃うスペースが無いために歯並びに影響が出てきてしまいます。

 また、最近は子供にも生活習慣病が増えていますが、よく噛んで食べることで生活習慣病の危険因子である肥満を防ぐ事もできます。

 食事の内容については、肉や食物繊維の多い食材、たとえばゴボウ、キャベツ、きのこ類、海藻などのような歯ごたえがあり、噛む回数が増える食材を選びましょう。また、食材を一口サイズより大きめに切る等の工夫をすると噛む力が鍛えられます。カレーやシチューなどの煮込み料理は、煮込み過ぎず、大きな野菜や肉の塊がごろっと入っているものにしましょう。

 味付けは、素材の味を感じられる舌を育てるためにも薄味を心掛けましょう。

食事中に水やジュース等の飲み物があると、よく噛まずに流し込んでしまうので、なるべく食事中に飲み物は出さず、よく噛んで唾液を出すようにしましょう。

 幼児期は、将来の食生活の基礎を作る大切な時期です。自我が出てくるため困ることもありますが、楽しく食べる経験を通して、望ましい食習慣が身につくようにしましょう。

                             若松歯科医師会広報委員会 

●6月号

小児期の歯みがきについて

乳歯は56歳になると順番に抜けていき、永久歯に生え替わります。乳歯と永久歯が入り混じるこの時期は、磨き残しが多く、生えたての永久歯は虫歯になりやすいので注意が必要です。

 乳歯と永久歯の違いについてですが、一生使う永久歯はとても丈夫に出来ています。歯の仕組みはほぼ同じですが、永久歯のエナメル質や象牙質の厚みを測ると、乳歯の約2倍の厚みがあります。数も乳歯は20本ですが、永久歯は親知らずも合わせて32本になります。永久歯と乳歯はこれだけ大きく異なります。ただし、丈夫な永久歯とはいえ、生えたての2年くらいの間はまだ弱く、虫歯になりやすいので、しっかりとしたケアが大切です。

永久歯に生え替わる時期は、6歳頃から順番に生え替わり、14歳頃に完了します。永久歯はまず第一大臼歯(六歳臼歯)から生え始め、次に前歯から奥歯に向かって順番に生え替わります。1113歳になると、第一大臼歯の奥に第二大臼歯が生えてきて、最終的に全ての永久歯が生え揃うのは、1314歳頃です。ただし、生え替わりの順番や時期には個人差があるので、これはあくまで目安です。12年の差であれば特に心配することはありません。

乳歯と永久歯が入り混じり、歯が抜けている部分もあり、歯磨きがしづらい生え替わり期は虫歯になりやすいので気をつけて下さい。特に奥に生える第一大臼歯は、完全に生えるまで手前の乳歯より背が低く、歯ブラシが届きにくいので、磨き残しが多くなります。生え始めの歯ほどエナメル質が弱いため、酸に侵されやすく虫歯になりやすいという特徴があります。一度虫歯になると、穴があくまでの進行も早いので定期的な歯科検診で虫歯の早期発見、治療も大切です。

虫歯になりやすいのは、歯と歯の間、歯と歯肉の境目、奥歯の溝です。歯磨きで大切なことは、歯に歯ブラシの毛先をきちんと当てて、歯垢を取り除くことです。特に、生え替わり期は乳歯と永久歯が混在し、抜けたところもあって磨きにくいものです。手鏡などを見ながら、歯ブラシを縦や斜めにして、毛先をきちんと当てるようにしましょう。歯と歯の間の歯垢の除去にはデンタルフロスが有効で、活用をお勧めします。

歯磨きをするタイミングは「食べたら磨く」が基本です。磨けない場合は、寝る前だけでも丁寧に磨きましょう。就寝中は、唾液の量が少なくなるため、虫歯菌を洗い流したり、唾液で酸を中和しにくくなるからです。

自分で歯磨きをするようになっても、小学校低学年までは親が仕上げ磨きをしてあげましょう。生え替わり期は、口の中がでこぼこして磨きにくいうえ、生えたての歯は酸に弱く虫歯になりやすいからです。仕上げ磨きをする時は、寝る前に虫歯になりやすい所を重点的に行ないます。奥歯の溝、歯と歯の間、歯と歯肉の境目をよく磨いてあげましょう。

小さい頃から歯磨きをしっかりする習慣をつけて、口の中の健康を維持していきましょう。

                              若松歯科医師会広報委員会

2月号 顎関節症のセルフケアについて
    顎の関節(こめかみ)が痛く、日常生活に支障をきたすような場合は、症状が悪化する前にできるだけ早く歯科で診てもらうのが良いのですが、そこまでひどくない場合は、日常生活の中で、自分で顎に負担をかけないように気をつけたり、顎のマッサージやストレッチをすることで、症状が軽くなっていくこともありますので、説明します。
 口を大きく開ける時は特に顎の関節に負担がかかりますので、あくびをする時は口の開きを抑えるようにしましょう。コツとしては、顎の下に手をグーにして置き、開口を抑えるようにします。そうすることで顎の筋肉への負担を軽減できます。食事は柔らかく食べやすいものを選びましょう。特にガムやスルメなど、噛むのに時間がかかる食べ物は避けてください。
 また、睡眠時は仰向けで寝るのも有効です。横向きやうつ伏せで寝る癖のある人は、仰向けで寝たほうが顎の関節への負担を抑えられます。
 その他、マッサージやストレッチをするのもおすすめです。マッサージは、頬やこめかみ周囲の筋肉(咬筋や側頭筋)などを、親指の付け根や2〜3本そろえた指先でゆっくり押して、回すように動かしましょう。その時、強くつまんだり、痛みが強まるほど激しく揉んだりしないようにして下さい。ストレッチは、「ゆっくり大きく口を開ける、ゆっくり口を閉じる」 これを朝晩10〜15回行います。ただし痛みが強い場合は無理をすると症状が悪化する場合もあるので、無理に行わないようにしましょう。
 このようなことを試してみて、症状が変わらなかったり悪化しそうなら、早めにかかりつけの歯科医院に相談することをおすすめします。


                        
若松歯科医師会広報委員会