昨年6月号から3回にわたって噛むことの大切さを考えてきました。
和食が健康食である理由の一つは良く噛む食事であるということもお話しましたが、
噛むことはあらゆる年代の人にとって大変重要なことなのです。
成長期の子供にとっては、味覚や発音、噛む筋肉や歯並びの正常な発達を促し、働き盛りの成人にとっては肥満や糖尿病、がんなど病気予防に働き、高齢者にとっては、認知症予防や健康寿命を延ばすことに役立ちます。もちろんこれらはすべて、胃腸や脳の働きを助け、全身の体力向上に役立つことを含めあらゆる年代に共通して言えることです。
良く噛んで唾液をたくさん出すことは虫歯や歯周病の予防になりますが、今、日本人の死因の大きな要因とされる糖尿病でも、歯周病はその合併症として注目されています。
日本人の場合、やや肥満体格で糖尿病があり重度の歯周病の方が歯周病治療をすると糖尿病の改善効果があると言われています。糖尿病予備軍、歯周病世代の働き盛りには特に注意が必要です。
高齢者では、歯が20本以上ある方と歯の少ない方では、健康寿命に大きな差があることが分っており、それが8020運動の基礎となっています。また、寝たきりになっていた歯の無い高齢者の方が、入れ歯を入れて自分で噛めて口から栄養を取れるようになったら、また歩けるようになったという例も幾つも報告されていますし、そこまで行かなくても健康状態が改善することは今では当然のことと認識されています。
このように、あらゆる世代の人にとって、良く噛むこと、お口の健康を保つことが如何に全身の健康に役立つかが分ってきています。あなたのお口は健康ですか?
若松歯科医師会広報委員会
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