お口の健康と全身の健康が密接に関係している事は、衛生だよりを通じてお伝えしてきました。今回は具体的な例をあげて説明したいと思います。
口腔ケア(口腔清掃を中心とするお口まわりのお手入れ)と肺炎の関係について、老人ホームの入居者の肺炎の発症率を比較した研究によると、2年間の肺炎発症率は口腔ケアを行わなかった場合に34人が発症し19%であったのに対して、行った場合では21人しか発症せず11%にとどまりました。口腔ケアが誤嚥性肺炎の防止に効果があることを示しています。誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や胃液といっしょに肺に流れ込んで生じる肺炎です。嚥下(呑み込み)の機能が衰えてくる高齢者に多く発症し、再発を繰り返す特徴があります。再発を繰り返すと薬が効かない耐性菌が発生して抗生物質治療の効果が上がらなくなるため、優れた抗生物質が開発された現在でも、多くの高齢者が死亡する原因になっています。
また、残っている歯の本数と寿命についても多くの調査がされていますが、歯が20本以上残っている高齢者の方が元気で長生きだった事が多くの報告で示されています。そしてその事実が8020運動にもつながっています。
では、どうしたらお口の健康を保てるのでしょうか?答えは虫歯や歯周病を放置せず、しっかり治療した上でメンテナンスを行うことです。病気の治療だけでなく、全身の健康を守るために歯科医院を上手に活用してください。若松歯科医師会では、健診や講演、あんしんお口フェアなど様々な活動を通して地域の皆さんのお口の健康を守れるよう努めています。ご不明な事がございましたら、お気軽にご相談ください。
若松歯科医師会 広報委員会
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