若松衛生だより 平成25年 2013年

 

11月号 「いきいき健康は、お口から!」
 長寿国ニッポンといわれて久しくなりましたが、これからの日本の目標は、健康寿命の延伸です。
健康寿命とは、健康で明るく元気に生活する期間、つまり寝たきりや痴呆にならない期間のことです。そのためには、歯の寿命を伸ばすことが大切です。20本以上自分の歯がある人は各年代で増えています。今後も8020運動を続けていくことによって、歯の寿命を伸ばし、健康寿命を伸ばしましょう。
                     
 毎年11月7日、8日の「いいな、いい歯。」の日を中心に、県内各地で「いいな、いい歯。」週間事業が開催されますが、若松歯科医師会では今年も11月10日(日)、島郷市民センターにて「あんしん!お口フェア」を開催します。今回は、北九州在住の野菜ソムリエをお迎えして、若松区役所、若松あんしんネットワーク等の各団体、各社のご後援のもとに、地元の野菜を使った健康食を味わっていただく試食会をはじめ、毎年恒例の健口相談、ブラッシング指導、無料フッ化物塗布、食習慣チェック、口臭チェックなどの体験コーナー、高齢者良い歯の表彰式、良い歯の学校表彰式など盛りだくさんの内容で皆様をお待ちしております。

 また、来場されたみなさんにプレゼントもありますので、ご家族やご友人など揃って健康になれるよう、是非お出かけください。

詳しくは、若松歯科医師会ホームページをご覧ください。http://www.alpha-net.ne.jp/users2/wakashi/
                
                            若松歯科医師会 広報委員会 

8月号 「健口は一日にして成らず

6月号ではしっかり噛める自分の歯が沢山ある人ほど健康で長寿の傾向があり、8020運動の始まりもその事実に基づいているというお話をしました。誰もが望むのは寝たきりや病に悩まされての長寿では無く、健康長寿です。しかしそれは一日にして成るものではありません。人の体は取り込んだ食べ物と水からできるもの、その入り口である口はまさに命の入り口です。健やかな口であることは全身の健康にとって重要なのです。インドや中国の伝統医学でも口は消化器の始まりとして重視されています。

 健口にとって必要なことは、まず衛生的であること。虫歯や歯周病などの病気はもちろん、歯垢や舌苔という病気の原因となる細菌の集まりを取り除くことです。残念ながら歯には治癒力が備わっていないので、虫歯になってからでは歯科治療をしても元に戻すことはできません。歯が生えてきたその時から確実に病気を防いでいくしかないのです。また、歯周病も早期から予防すれば歯を失わないようにできます。

次に、歯や歯肉や舌などが連携して食べ物を切り、砕き、すりつぶすという機能を十分に果たせるようにすることです。必要な栄養が摂れればろくに噛まずに丸呑みでも液状のものを飲むだけでも同じではないかと思われるかもしれませんが、マウスの飼育実験でも、同じ栄養を噛む必要のない液体にして与えた場合と硬い固形物にしてよく噛まなければ食べられないようにして育てた場合では、学習能力にまで差が出るという結果が出ています。

 つまり、健康長寿を願うなら子供の頃からしっかり歯の手入れをし、良く噛んで食べるという習慣をつけることが必要と言えるのです。

                   若松歯科医師会 広報委員会 

6月号 自分の歯で健康長寿!」

2月号では、「生涯口から食べる大切さ」と題して、増齢による咀嚼嚥下機能の低下と誤嚥の関係や、歯科治療と健康寿命の関係などについてお話ししました。今回は、具体的なデータを示しながら前回の内容を補足したいと思います。

 国民医療費は年々増大しています。平成21年度は36兆67億円で前年度に比べ1兆1983億円、3.4%の増加となっています。人口一人当たりにすると28万2400円で前年度に比べると3.6%の増加であり、歯止めがかからない状態です。それは本当に、国民の幸せにつながっていると言えるのでしょうか?

 我が国が世界に冠たる長寿国と言われるようになって久しくなります。現在の平均寿命は男性が79歳、女性が86歳と発表されていますが、それは「口から食べる幸せ」を満喫しながら日常的に介護を必要としない自立した生活が営める健康寿命とは、約8年以上の開きがあります。私たち歯科医師は、健康寿命を延ばし、限りなく平均寿命に近づけることで医療費を削減でき、健康で幸せに長生きできる社会が実現できると考えています。

 また、口の中でしっかり噛むことができている歯の数と、その人の生存期間との関係を15年間にわたり追跡した研究があります。それによると、80歳以上では、男女ともにしっかり噛める歯が10本以上ある人は、有意に生存率が延長することが認められました。自分の歯でしっかり噛んで食べることにより長寿につながることが、科学的に証明されているのです。

 そのようなことを踏まえ、日本歯科医師会では厚生省(現厚生労働省)と協力して平成元年から、満80歳で20本以上の歯を残そうという8020運動を推進してきました。歯が20本というのは自分の歯でおいしく食べることができる歯の数を意味しています。開始当初の達成者は10%に満たない程度でしたが、平成23年度歯科疾患実態調査では、満80歳以上の38.3%の方が達成しています。そして、達成した人はそうでない人に比べて歯科医療費は当然ですが医科医療費が少ない、という驚くべき結果も出ているのです(グラフ参照)。

歯科医院での治療と予防を適切に行い8020の達成者を増やすことが医療費を削減し、ひいては国民の健康長寿につながります。私たちはこれからも、地道な啓蒙活動や日々の診療を通じて国民の皆様の「生きる幸せ」の実現に大きくかかわって行きたいと考えています。

                   若松歯科医師会 広報委員会

      
2月号 生涯口から食べる大切さ

 誰も皆歳を取ります。歳を取るにつれて筋力や反射がだんだん衰えてくると、知らず知らずのうちにうまく呑み込めなくなって、食道でなく肺の方に食べ物が入り、誤嚥を起こすようになります。
 また、日本では終末期に病院や施設で鼻から管を通して直接胃に食べ物を送ったり、胃瘻(胃とおなかに穴を開けて直接食べ物を入れる)をしたりして口から食べ物を食べられない状態になることが多くなっています。
 口から食べられなくなり、さらに口内の清掃も不十分になると、口の中が不潔になり、細菌が繁殖します。この細菌が持続的に肺に流れ込むと、誤嚥性肺炎を起こす原因になります。 このように、口からきちんと食べられることは、ただ単に味気ないとか寂しいとかいうだけでなく、命にも関わってくる重要なことだと言えるのです。
 日本は世界有数の長寿国となりましたが、単に長寿であるだけではなく健康寿命(介護を必要とせず自立した生活ができる生存期間)が延びないと幸せな老後とは言えないでしょう。
 そのためには、歯を失わないようにすること、また不幸にして歯を失ってもきちんと入れ歯などの治療を受けて自分のお口で食べ物を良く噛んで食べられるようにしておくことは、自分だけではなく家族や周囲の人々の幸せにとっても必要なことではないでしょうか。
来る3月2日(土)14時から16時、若松市民会館で若松区民医学講座が開催されます。今回は本会の企画で「その食生活で大丈夫ですか?」というテーマで、海外でも注目されている伝統的な日本食の良さを見直し、健康維持と増進を目指す食生活についてご紹介いたします。入場無料。奮ってご参加ください。

                    若松歯科医師会 広報委員会