若松衛生だより 平成23年 2011年

 

11月号

「失った歯、そのままにしていませんか?」

歯を失う原因の2大要素として虫歯と歯周病が挙げられます。
 もし歯を失って放置したらどうなるでしょう?歯の無くなった所に、隣の歯が傾いたり、かみ合っていた歯が移動したりして歯並びが悪くなり、虫歯や歯周病、偏り噛みによるあごの関節痛や偏頭痛などを引き起こすことがあります。

 また、歯があるのと無いのでは生活の自立度も変わってくると言われており80歳の人を対象に行なった歯科保健調査では、入れ歯を入れている人は、入れてない人に比べ生活自立度が高く、入れ歯を入れることで心電図の異常が改善したという報告もあります。歯を失っても、きちんと機能するように歯を入れることが、お口の健康だけでなく全身の健康の維持や改善に重要です。
 毎年117日、8日の「いいな、いい歯。」の日を中心に、県内各地で「いいな、いい歯。」週間事業が開催されますが、若松歯科医師会では今年も11月13日()、島郷市民センターにて“あんしん!お口フェア”を開催します。今回は“噛む事”をテーマに、若松区役所、若松あんしんネットワーク等の各団体、各社のご後援のもとに、伝統的な“いにしえの食事”を再現して味わっていただく試食会をはじめ、毎年恒例の健口相談、ブラッシング指導、フッ化物塗布、口腔内カメラ、口臭チェックなどの体験コーナー、高齢者良い歯の表彰式、良い歯の学校表彰式など盛りだくさんの内容で皆様をお待ちしております。また、来場者全員にプレゼントもありますので、ご家族やご友人など揃って健康になれるよう、是非ご来場ください。

詳しくは、若松歯科医師会ホームページをご覧ください。http://www.alpha-net.ne.jp/users2/wakashi/
                
若松歯科医師会広報委員会                

8月号 「ちゃんと食べる習慣を獲得できていますか?

 
われわれ人間にとって「ちゃんと食べる」ことは本能として備わっているものではなく、繰り返し訓練して獲得するものであることはご存知でしょうか? じつは、食べるための訓練はお母さんのお腹の中ですでに始まっているのです。胎児は、お腹の中で一生懸命に指しゃぶりをしていますが、これは、敏感な口の粘膜を刺激して脳神経の発達を促すとともに、生まれてすぐにお母さんの母乳を飲むための訓練をしているのです。 へその緒を通じ、お母さんから栄養をもらって成長した胎児にとって、出産後に自力で呼吸し、哺乳することは大変な重労働です。顔を真っ赤にして全力で哺乳することは、赤ちゃんにとっては人生最初の苦労ですが、生きるためにはこれを乗り越えなければいけません。そして毎日この重労働をこなすことが、体力をつけ脳神経を刺激し、理想的な心身の発達を促します。さらに母乳は栄養分が豊富で、特に初乳には多量の抗体や成長因子が含まれているので赤ちゃんにとって有益です。

 生後6ヶ月頃に乳歯の前歯が生えてくると、いろいろなものを噛みたがりますが、この「食いつくこと」で心身の成長が更に加速します。3才頃には乳歯列が完成し、奥歯でしっかりと噛みしめられるようになります。この頃までに正しい食生活の習慣をつけておく事が、その子の人生を左右すると言っても過言ではありません。
 もしこれまでにきちんとした食習慣を身につけていなくても、最寄りの歯科医院でご相談頂ければ、食生活指導と口腔衛生指導を行いますので、心配は無用です。詳しくは若松歯科医師会にお問い合わせください。

                  若松歯科医師会広報委員会

 

6月号 歯科治療と放射線
 東日本大震災とそれに続く原発事故の報道で放射線について見聞きすることが多くなりました。悲惨なニュースや難しい解説を聞いていると放射線と聞いただけで何だかとても怖いものに思えて不安になったりもします。
ですが、放射線は特別なものではなく、私たちはふつうに暮らしていても常に宇宙空間や太陽、大地や大気、建物や食べ物からさえも出ている自然放射線を浴びています。しかしこの自然放射線はごく微量なので人体に悪影響を与える心配はありません。

 そこで皆さんが歯科医院を受診した際に撮影するX線写真について考えてみます。X線 は放射線の一種で物体を透過する性質がありますので、外から見ただけで は解らない顎の骨の中にある歯の根の周りの病気や埋もれた歯、腫瘍、歯と歯の間の隠れた虫歯などを写し出してくれます。もしX線検査が無ければ、疑わしい歯を削ったり穴を開けたり歯肉を切って実際にどうなっているか調べてみるということになり、そんな無謀で危険なことはとてもでき ません。そのため、歯科医療の分野では無くてはならない重要な検査方法となっています。また、治療の過程をX線で確認することも必要です。

 でもいくら必要であってもリスクはどの程度あるのか気になるところでしょう。歯科X線写真にも種類がいくつかありますが、最も普通に使われてい
る数本の歯を撮影する小さな(3㎝×4㎝)写真を一枚撮った場合に受ける放
射線量は0.01~ 0.03mSv(ミリシーベルト)と言われています。お口全体を
写す大きめの写真(パノラマ写真)もあまり違いはありません。大きさがず
いぶん違うのに不思議に思えますが、放射線は距離が離れると急速に弱ま
る性質があったり、撮影方式の違いがあるためです。このSv(シーベルト)
とは、最近良く見聞きするようになりましたが、人体が放射線を受けた時
の影響を表す単位です。平均的な日本人が年間に受ける自然放射線が1.1
mSv程度ですから、およそ40~100分の1程度に当たります。
 どちらにせよ、歯科X線写真を数枚から数十枚撮ったとしても人体に対する影響を心配することは無いレベルなのです。

 また妊婦さんの場合、自分だけでなく、お腹の赤ちゃんに何か異常が
生じないかと気になるところでしょう。歯科の撮影では主に頭部にX線が当たり、お腹のように離れた場所にはほとんど当たらないので、全くと言って良いほど影響はありません。ですから、もし妊娠に気づく前に撮影してい
たとしても不安を感じる必要はないのです。一時的な不妊や流産が起こっ
たり赤ちゃんの遺伝子に異常を生じるレベルには百万枚から数百万枚を一
度に撮らないと達しません。これは現実にはあり得ないことです。安心し
て撮影を受けてください。より詳しく知りたい方は若松歯科医師会ホーム
ページなども参考にしてください。
   
    若松歯科医師会 広報委員会 
  若松歯科医師会http://www.alpha-net.ne.jp/users2/wakashi/ 




2月号 健康は、噛むことから!

 全国に現れたタイガーマスクの善意が殺伐とした世相に心温まる愛の輪を
広げています。厳しい時代だからこそ市民一人ひとりの心の底にある思いやりの気持ちが共感を呼んでいるのでしょう。社会の宝である子供が育つ家庭は太陽の光があふれる温かい場所であってほしいものです。
そして温かな家庭で「健康なこころとからだ」を育まれた子供たちが次の時代をきっと希望が持てる明るいものにしてくれるでしょう。社会を本当に変える底力は政治家でも官僚でもなく、心身ともに健康な子供を育むことができる私たち一人ひとりの家庭にこそあるのではないでしょうか。

 そして健康な体を作る源は、もちろん健全な食べ物です。その栄養を安全にかつ十分に取り込むためには、まずよく噛み砕くことが必要です。
噛めば噛むほど食べ物の味わいが増して味覚が発達し、消化吸収が助けられ、発がん性物質や細菌などの害が弱められ、脳への血流が増して頭の回転が良くなったり呆けにくくなり、肥満の予防や明瞭な発音に繋がるなど、様々な効果があることが最近の研究で次第に分かってきました。

 しかし昔から「噛んで含める」「酸いも甘いも噛み分ける」「噛み砕いて話す」等々「噛む」に関する言葉がたくさんあるように人々は噛むことがいかに重要かは身に染みて知っていたものと思われます。しかしそのことが今、ファストフードや軟らかい食べ物の流行、流し込み食べや孤食、個食といった風潮で忘れられかけています。
昨年若松歯科医師会などが開催した歯科保健大会でもそのことがアピールされました。健康はまずよく噛むことから! 
若松歯科医師会ホームページもぜひご覧ください。 
               
                (
若松歯科医師会広報委員会