農家の皆さんへ

 このページは、農家の皆様が微生物を活用して完全無農薬、完全無化学肥料の農業を行うための説明ページです。

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  株式会社フローチャート
  白柳経営会計事務所
  自然農法士 白柳 剛

以下に記述していることは、白柳 剛の責任で記述してありますので疑問点、その他間違いだと思われる個所がありましたら、白柳 剛にご連絡下さい。なお、資材は当方で取り扱っていますので、ファックスもしくは、電話でご注文下さい。


生態系(食物連鎖)の勧め

 現在多く普及している大規模な機械化農業はそろそろ限界に近づいてきました。それを打ち破るために強い農薬を散布したり、収量を上げるために化学肥料を大量に撒き施用しています。それでも足らず遺伝子操作を行ったり、その他非常に危険な分野にまで踏み込んできています。
 農家も機械装備率を上げ、F1(一代交配種)やときには遺伝子操作された高い種子を購入し、危険な農薬を扱い、沢山の化学肥料を購入する。そして、その結果借金を増やし、健康を害し命を縮め、果てはその生産基盤の土の地力を落として崩壊へ進んでしまっています。何故そのようなことになるのでしょうか。
 その一番の原因は人間だけが得をしようとし、人間も生態系(食物連鎖)の一部という認識不足から起こることなのです。
 私は、農業には門外漢ですが、中部EM普及協会の自然農法士養成講座に学ばせて頂き、そして、その後数多くの書物より多くのことを学びました。
 そして、実践無くして指導無しで、自分自身も面積では猫の額ですが、作物を作ってきました。そこは、前にある人が三年間借りて全く作物が出来なくて、返された土地でした。私は、当初雑草を成るべく沢山生やし、生やしては埋め生やしては埋めと続けました。それとともに、生ゴミをどんどん埋めていきました。生ゴミは、EMのぼかしで合えた「ぼかし合え」です。その畑は生ゴミと糠以外は一切使用していない完全無農薬、完全無化学肥料で作物を作ってきました。またそこでは、作物の種を蒔いたり苗を植える直前に生ゴミを平気で埋めるとか、糠を作物が植えてある畑に全面撒くとか、なすとかきゅうりの根元に山のように盛るとか、従来は行ってはいけないということを手を変え品を変え十二分に実践してきました。
 その結果、人に勧めても絶対大丈夫で、作物が力強く丈夫に育ち、病害虫に強く、沢山の果実を実らせそ、収穫した作物は、食べて美味しく、健康に貢献し、花は葉っぱや花が厚くなり日持ちもする栽培方法を確認しました。
 多くの人に、微生物農法を実践していただきたく、ここに微生物農法の概要と実践方法を簡略にまとめてみました。


微生物農法の目標・目的

1 農産物の増収、品質向上
2 農薬・化学肥料などの経費削減
3 土壌の団粒化促進、保水力の向上並びに透水性の向上などの土質の改良
4 有用微生物の働きで、有害病原菌が抑えられ病害虫の発生の軽減
5 有害微生物の繁殖抑制及び連作障害の阻止
6 発芽、開花、結実、登熟促進
7 作物の生理障害抑制
8 土壌養分の有効利用、肥料節約
9 堆肥や緑肥の有効利用における複合経営の実践
10 種子などの発芽促進などによる除草効果による農薬低減
11 微生物による光合成の活用
12 微生物の作り出す生理活性物質やビタミンなどの活用
13 開花期間が長くなり、切り花にしても花持ちが長くなります
14 葉物、根物ともに糖分が多く美味しくて長持ちする
15 糖分が多くなると、生でパリパリし煮炊きした場合に肉質が非常に柔らかくなる
16 栄養価が高くなり、食べるだけで健康になる野菜が作れる
17 ガンや催奇性物質である硝酸態窒素がほとんど無く、健康的です。
18 その他

 微生物の活用で、作物を作ると農作業が楽しくなり、農薬を使用するときと比較してマスク、防護服も不要で作業能率が高くなり、そしてそこで収穫された作物や花は八百屋さんや花屋さんスーパーの人達も安全で快適になります。
 微生物を活用することにより、農薬や化学肥料で得られなかった多くの効果が生まれ、飛躍的に経営を改善することが出来ます。

☆何故今、微生物農法か?
☆活用出来る微生物は?
☆具体的な方法は?
☆日本の堆肥の変遷について


微生物活用農法と従来農法の違い

微生物(善玉菌)活用農法
従 来 農 法
作 業
安全で、善玉菌に囲まれて楽しく出来る。 農薬の使用で、不健康
能 率
安全マスク、防護服が不要で能率的 農薬を吸わないように対策が必要
病害虫
作物の生命力を高め、病菌を善玉菌で抑え、害虫を益虫で退治したり、ストチュウーで忌避するとともに作物を食べる虫を自家中毒でやっつける。 病害虫を人間のみの都合で殺すので、良い微生物も、虫を食べる虫、虫を食べる鳥も殺してしまう。菌も虫も耐性菌が出たり、虫も農薬を浴びせると通常の数倍も卵を産んで耐性虫が出現する。
肥 料
どんな有機物でも肥料化が可能であるとともに、力の有る生堆肥の使用が可能 化学肥料の多用と、力の失われた完熟堆肥を使用
土 壌
団粒化が促進され、物理性、科学性ともに改善される。 土壌の地力が失われ、砂漠化する。
耕 作
土壌の改善が進むとともに最終的には、不耕起を目指す。 病気対策に深耕を進められ、経費が掛かるとともに土壌の力が失われていく。
販 売
力が有り美味しく健康に良い野菜、色鮮やかで日持ち通い花ができ、消費者が買いに来る。付加価値が上がるとともに高く販売出来る。 健康志向で農薬まみれで日持ちのしない作物や花は、次第に売れなくなる。
業 者
扱っていても、健康に障害が出なく、楽しい。消費者にも胸をはれる。 残留農薬のため健康障害が出たり、そのようなものを消費者に売ることで心が痛む。
経 営
作物の持っている力を最大限引き出すので、経費が余り掛からない。 機械装備も高く、農薬、化学肥料の使用量も多く、そして栽培にの人手が掛かる。

☆何故、今、微生物農法か?
 
 現在広く行われている、農法は西洋科学に基づく農業で往々にして人間中心の農業です。そして、一定の限度まではそのことは許されたのですが現在はその範囲を超えていくような状態です。生物は、総て生態系(食物連鎖)の輪の中にのみ存在できます。人間として例外ではあり得ません。人間だけが生態系(食物連鎖)の外に存在出来るわけではいないのです。
 簡単に生態系(食物連鎖)を考えれば、植物⇒昆虫⇒鳥⇒動物⇒昆虫・微生物⇒植物の栄養と輪を作ります。
 現在人間は、その自己中心的な存在を強く持ちすぎていないでしょうか。例えば、虫を分類する場合も益虫、害虫と人間にとって都合よく大別します。しかし、本来は植物を食べる虫と、昆虫を食べる虫に分類することではないのでしょうか。
 そのような見方で考え活動することは、農業において具現化されます。人間は、生物の頂点に立つ驕りで微生物、植物、昆虫、動物のそれぞれの役割を認識せず、都合良く作物が採れるように往々にして農業経営しています。そして、最後に自分自身が生態系(食物連鎖)からはみ出される存在になっていることに気が付いていないのです。
 農業で土壌消毒を完全にしないと病気が出るという発想は、人間の驕り高ぶりなのです。そんなことをしても人間の不都合なものを完全に抹殺できることは出来ないのです。そう思うだけなのです。そのことは、微生物を認めないことは微生物にやられるということです。エイズ、O157、クロイツフェルトヤコブ等のビールス、マイコプラズマ、病原菌、カビ類に命を取られる事です。農業でも同様です。
 いまこそ、その事に気付いて微生物の力を認め借りようではないでしょうか。

☆活用出来る微生物は?

 それでは、どのような微生物の力を借りればよいのでしょうか。それには地球誕生と植物動物そして人類の進化を考えてみましょう。

地球誕生と人類の歴史は、次のようなものです。

環境形成 炭酸ガスの時代(高温期)
     窒素と水蒸気の時代(海の誕生)
     単細胞生物の時代(光合成細菌、藍藻)

環境維持 微生物の時代→植物の時代(酸素の発生)
     動物の時代(炭酸ガスの発生)

環境利用 人間の時代(第1次産業、第2次産業(環境資源消費、汚染)、第3次産業

環境破壊

環境修復 生態系(食物連鎖)の認識、人間を含めた総ての生き物の共生
地球は、次のような歴史を辿ってきました。

 ここで一番重要なことは、光合成細菌をはじめとする微生物が酸素の好きな生物の住める地球の環境にしたのです。

 簡単に言えば、酸素の嫌いな微生物が酸素を作り出し、現在は酸素の好きな生物が地球の天下を取っていることです。

  私たちは、学校で醗酵のことは教えられましたが、普通酸素の好きな好気性微生物は良い微生物で、酸素の嫌いな嫌気性微生物は悪い微生物だと教えられました。
 そして、植物の根は酸素を必要とするから深耕をして根に酸素を送るようにしなければと一生懸命深耕を進めました。本当に深耕をして農地は良くなったでしょうか。答えは、ノーです。逆に大型の農業機械で農地は圧縮され、通気性、浸透性、団粒性は悪くなったのではないのでしょうか。「日本昔ばなし」の篤農家は深耕ではなく、浅耕をしっかりしていたのではないのでしょうか。
 私たちは、農作物を栽培するとき、作物の生長、葉の茂り、施肥、潅水、除草、間引き等の地上部の目に見えるところのみ注意を向けすぎていて、地下の根の部分には余り目が行かなくなっていたのではないのでしょうか。地下の根の張り方、根の健康状態、根の栄養吸収状態などに注意しなければならないのであります。そこで根が活躍するのに一番大事な要件が良い土壌の微生物相であることです。
 良い微生物相とは、病害を起こさないことで善玉菌の活躍する微生物相です。
 そこで、考えて欲しいのは、酸素が多いところは酸素の好きな好気性菌が住み、酸素が行き届かないところは酸素の嫌いな微生物、そして光が強いところには好光菌が住み、光が届かないところには嫌光菌が住むのではないかということです。PHとか温度、その他の土壌性も同様です。
 それと、ここが大事なことであるが好気性も嫌気性も善玉菌であれば、好気性菌の糞が嫌気性菌の餌になり、嫌気性の菌の糞が好気性の餌になるということは考えられないだろうか。
 そこが一番大事なことで、EMを作った琉球大学教授の比嘉 照夫氏をはじめとする先進的な学者はそこに目をつけられたのです。

 微生物農法では、数多くの微生物の利用が考えられますが、私は、その中心として救世EM−1号を使いEMの中にも含まれている光合成細菌群・乳酸菌群・酵母群・グラム陽性放線菌群・糸状菌群を醗酵培養して使用します。
 微生物は、生態系(食物連鎖)の理論からいけば数が多いほど安定化していきます。しかし、多くの種類の微生物を入手して一度に培養活用することは非常に困難なので簡単にかつ安価で手に入る微生物群で実践します。(時間的余裕、また研究心旺盛な方は、土着微生物でも実践して見て下さい。)
 多くの微生物を販売している事業所は、私のところが開発・販売している微生物は非常に効果があるとか、具体的には当微生物を使用すれば○○病が治るとか発生しないとか宣伝しているものがありますが、種類が少ない微生物は安定度が低いのです。なお、良い微生物(善玉菌)はまた良い微生物(善玉菌)を生み出したり、呼んだりするものだそうです。

 微生物は、大別すると善玉菌、日和見菌、悪玉菌と三つに分類されます。そして、善玉菌と悪玉菌は常に綱引き状態なのです。善玉菌が勝てば、醗酵・合成型になり、悪玉菌が勝ては腐敗・崩壊型になるのです。日和見菌は、善玉菌が強いときには善玉菌に、悪玉菌の強いときには悪玉菌に加担するのです。


EMって?

 EMとは“Effective Micro-Organisms”(有効微生物群)の頭文字をとったもので、琉球大学の比嘉照夫教授によって開発されたものです。
 地球には1000万種類から1億種類の微生物が存在しています。EMとは、その中から人間にとって役に立つ微生物を集めてタンクで複合培養したもので、乳酸菌・酵母菌・糸状菌・放線菌・光合成細菌を中心とした5群10属80種類以上含まれています。とくに好気性菌と嫌気性菌が液中で共存しているのが特徴。これらの微生物の働きにより土壌や空気、そして水が浄化されます。EMを継続活用すれば腐敗型土壌であっても、浄菌型土壌から醗酵型土壌へ、そして醗酵・合成型土壌という理想的な土壌になります。その結果、生物や自然環境に良い影響をもたらします。この多種多様な微生物が土壌中でお互いに共存共栄し、連動し合い、相乗効果を発揮する仕組みになっています。その効果には、悪い微生物やカビ類の活動を押さえる浄菌効果、微生物によって作り出される各種の酵素・生理活性物質・ビタミン等による成長促進効果、そして光合成細菌がつくりだすアミノ酸などの栄養素を作物に与える効果と植物の成長に直接的あるいは間接的にプラスの影響を与えます。 
 なおEMは土壌改良材として開発されたものですが、環境、健康、その他、現在では農業以外の様々な分野で活用されています。

☆具体的な方法は?

土壌は、微生物相により次のように分類されます。

微生物の機能からみた土壌の分類

@腐敗・崩壊型土壌
 土壌中の糸状菌のなかのフザリウム占有率が高く(15〜20%)、窒素分の高い生の有機物を施用すると悪臭を発し、うじが発生したり様々な害虫が集まったりする。病害虫が多発しやすく、生の有機物の施用は有害となる。現状の一般土壌の90%以上が腐敗型土壌である。無機養分が不溶化し土壌は固く物理性も悪い。水田ではガスの発生が著しい。

A浄菌型土壌
 抗菌物質などを生成する微生物が多く、土壌病害虫が出にくい土壌を浄菌型土壌という。ペニシリンやトリコデルマ、ストレプトマイセスなどの活動が強く糸状菌の中のフザリウム占有率が5%以下になった土壌で病害虫の発生が極めて少ない。窒素分の高い生の有機物を入れても腐敗臭は少なく、分解後は山土の表土の臭いがする。土壌も比較的団粒化が促進され、透水性も良好となる。病気にはならないが収量はやや低い。しかし、これにCの合成型が連動すれば高い生産性を有するようになる。

B醗酵型土壌
 乳酸菌や酵母などを主体とする醗酵微生物が優占している土壌で、生の有機物を施用すると香ばしい醗酵臭がして、麹カビが多発する。フザリウム占有率も5%以下で耐水性団粒形成能が高く、土壌は膨軟となり無機養分の可溶化が促進される。土壌中のアミノ酸、糖類、ビタミン、その他生理活性物質が多くなり、作物の生育を加速的に促進する。水田におけるガスの発生は抑制される。

C合成型土壌
 光合成細菌や藻菌類、窒素固定菌などの合成型の微生物が優占している土壌で、水分が安定していると、少量の有機物の施用でも土壌は肥沃化する。フザリウムの占有率も低く、Aの浄菌型土壌と連動する場合が多い。水田におけるガスの発生は抑制される。

D醗酵・合成型土壌
 醗酵系と合成系が強く連動すれば、醗酵合成型土壌という最も理想的な土壌となる。

 微生物は、大別すると悪玉菌と善玉菌に分類することが出来ます。
 悪玉菌が活躍すると作物は病気になりやすくなり、成長が阻害され最後には枯死してしまいます。
 善玉菌が活躍すると作物は元気になり、成長が促進され立派な果実をたくさん実らせます。

 微生物農法は、その善玉菌に活躍していただく農法です。
 善玉菌は、当然どの土壌にも有るわけですが、なかなか多密度は存在しないものです。それでは、どのように善玉菌をその土壌に根付つかせればよいのでしょうか。簡単です、人為的に良い微生物が根付き、増殖するすみかと餌を与えて、人工的に培養した有用な微生物をどんどん土壌に送りこんでいけば良いのです。
 そうすれば次第次第に土壌は改良され。病害虫は抑制され、品質の向上や収量の飛躍的増大、省力化、経費の削減とどんどん経営的に良い方向に行き、かつ最終的には、消費者の健康増進に貢献していくのです。

☆ 微生物資材の作成方法と使用方法
 微生物資材を作るときは、その微生物が生き物であることを深く認識して作成して下さい。特に、この微生物農法に使用する微生物の培養に当たっては、培養容器に空気が多いとその空気の中の腐敗菌の力が強いので、有用微生物が増殖する前に腐敗してしまいます。必ず嫌気状態を保つようにして下さい。同様に、作成した資材の容器の中の空気が多いと同様の事が起こります。作成後は成るべく早く使用して下さい。
 痛んだ(悪玉菌が支配した腐敗した状態)微生物資材を使用すると事故につながります。


EM−1活性液(10倍希釈法)の作り方

(1)EM−1活性液とは
 救世EM−1を糖蜜と水によって活性化させた培養液のことです。

(2)作り方
<培養する容器>
 色々な容器で培養が可能ですが、液肥の入っている容器(必要であれば、当方で斡旋します。)が一番最適だと思います。

<材料>
救世EM−1号と糖蜜、水を用意します。

材料  救世EM−1 ・糖蜜・水=1:0.5:8.5
(説明書によっては、1:1:8となっている場合もありますが、糖蜜の質にもよりますが、糖蜜が薄いほうが醗酵が高まります)


<手順>
1. 糖蜜を溶かすように、水を温めておきます。
2.糖蜜を2リットルをバケツに入れお湯を足して糖蜜をお湯にきちんと溶かします。そして、それに水を足し(温度を35℃以下にして下さい)培養容器に投入します。
3.溶かした糖蜜の入った容器に救世EM−1号を2リットル入れる。
4.水を容器(20リットル)に一杯入れて全部で20リットルにします。

ポリ容器を密閉し、直射日光の当たらないところに静置する。ガスが発生してポリ容器が
膨らんだら、栓をゆるめてガス抜きをする。
夏期3日〜4日、冬期10日ぐらいで甘酸っぱい香りがしたらでき上がりです。
 PH計で、4〜3.5位になれば出来上がりです。

(3)使い方
◇EM−1活性液には多様な使い方があります。詳しくは下記を参照ください。

(4)有効期間
◇なるべく早めに使い切ってください。もし、腐敗臭が少しでもするようでしたら、安全の為に捨てて下さい。


ストチュウ(EM−5(醗酵液)

 便宜上EM−5と名づけておりますが、通称、「ストチュウ」と呼ばれています。EM−5号は7〜15日間隔で定期的に噴霧器で葉面散布します。展着効果を高めるため、糖蜜を使用します。EM−5号は、無農薬栽培で病虫害対策用に使われている葉面散布剤の「ストチュウ(酢と焼酎)」に、救世EM−1号と糖蜜を加えて醗酵させたものです。。あくまで病虫害の発生を予防することを目的にしています。大量発生した後にEM−5号を葉面散布しても効果は薄いものの、害虫の中には生理障害を起こして死ぬものもいます。また、アロエエキスや展着剤(アピオンC)を併用すると、効果を高めることが出来ます。

<培養する容器>
 色々な容器で培養が可能ですが、液肥の入っている容器(必要であれば、当方で斡旋します。)が一番最適だと思います。その他容器は何でも良いのですが醗酵して膨張しますのでガラス瓶は不可。

<材料>(20リットル作る場合)
糖蜜       1.5  水に溶けにくいので、お湯で溶かす
焼酎       1.5  乙類でアルコール度30以上のものがよい
果実酢     1.5  醸造酢(例:米酢、リンゴ酢)
救世EM     1.5  35℃以上の液に混ぜないように注意する
水       14.0
ストチューに木酢液、にんにくエキス、唐辛子エキスを加えると更に良い。
※焼酎のアルコール度数が35度の焼酎を使用して下さい。

<手順>
1.糖蜜(1.5)を40〜50℃のお湯に溶かした後、残り水を入れ糖蜜液をつくります(温度を下げるため)。
2.その液の中に果実酢(穀物酢などの醸造酢でよい)(1.5)と焼酎(1.5)を入れて良く混ぜ合わせる。
3.湯の温度が35℃以上でないことを確認し、最後に救世EM1(1.5)を入れる。混合液をポリ容器に入れ、栓を締めて常温の 部屋に置く。
4.容器に満タンになるまで水を加える。

A.気温との関係があるが、15〜30日前後でガスが発生し、ポリ容器がふくらむ。栓をゆるめてガス抜きをして、すぐ栓を締める。
※ポリ容器の中に外気が入らないようにして下さい。
B.仕上がりの目安はガスがほぼ発生しなくなること(時々容器をふると醗酵が促進される)。その善し悪しは、鼻にツンとくる甘酸っぱい芳香(エステル臭)の有無で確認できる。

【1.使用法】
1.水で、500倍以上に希釈して、作物に葉面散布する。
2.お湯約50℃・ 180t 糖蜜をお湯で溶かして、水で薄め、その糖蜜液にEM−5を入れて1,000倍希釈液が出来ます。希釈液を噴霧器に入れ、葉の表・裏面や枝に葉面散布します。
水・・・・・・ 820t
糖蜜・・・・・ ・・2t
EM−5号・・・ ・・1t
ストチューに木酢液、にんにくエキス、唐辛子エキスを加えると更に良い。

 使用期間は、約6ヶ月間が目安。(エステル臭がなくなれば効果はありません)保存場所は、納屋、台所の流しの下などの冷暗所で、1日の温度変化が少ない所が良く。冷蔵庫での長期保存はよくありません。※5℃以下の長期保存は不可。


「EM青草醗酵液」の作り方

 EM青草醗酵液は、雑草や作物の残渣等をEM・EMボカシ・糖蜜で短期間で醗酵させ、青草中の栄養分や各種有効成分を抽出した液です。さらには、醗酵過程で生成される乳酸や酢酸等の各種有機酸、EMが持つ生理活性効果により、土壌を肥沃にし作物の生育を促進します。また、青草から抽出された抗酸化物質、醗酵生成物により、病虫害の忌避効果・防除効果もあります。

<準備物>
20リットルバケツ(オイル缶など)   
底にコックをつけると便利。大量の場合は、200リットルのドラム缶などを利用するとよい。
黒のビニール袋 、落とし蓋、細断機、ブロック半割り1個(重石用)
<材料>
青草   13リットル  
その季節で生命力の強い雑草で、なるべく多くの種類を混合する。ヨモギ、ドクダミ、セリ、アケビ、アロエ、スギナ等、薬草や防虫効果のある草を入れるのもよい。作物のわき芽や摘果果実等も生長ホルモンやビタミン等を多く含むのでよい材料になる。
水    13リットル
井戸水等きれいな水。水道水はカルキ抜きをする。
ミネラル供給の目的で少量の海水を加えるのもよい。
糖蜜        260cc
EMボカシU型 650cc
嫌気状態で醗酵させたボカシを乾燥させずに使用。
EM1号      13cc

<作り方>
バケツを台の上にのせる。(底のコックから液が抜きやすいように)
バケツに1.3リットルの青草を入れる。(青草は細断機で2cm位に細かくする)
EMボカシを65cc振りかける。
2.と3.を繰り返し、青草とEMボカシがサンドイッチ状になるようにする。
水、糖蜜、EM1号をよく混ぜて溶液を作り、バケツに入れる。
※これで、溶液に青草がヒタヒタに漬かった状態になる。
バケツに黒ビニール袋をかぶせ、その上に落とし蓋をして、半割りブロックの重石をのせる。(この時空気が残らないように気を付ける)

<醗酵過程とでき上がりまで>
2〜3日(気温により差がある)で泡が出始め醗酵する。
泡(ガス)で青草が浮き上がるので、1日1回かき混ぜる。
出来上がりの目安は、泡が少なくなり甘酸っぱい醗酵臭がし、なめてすっぱいと出来上がり。(悪臭がすれば失敗)
この時のpH(ペーハー=酸・アルカリの度合い)が、4以下が望ましい。
出来上がった液は、コックから取り出す。
保存する場合は、劣化を防ぐため空気を抜いた状態で保存する。
保存可能な期間は長くないので、なるべく早く使いきる。

<青草醗酵液の使い方>
 〔土壌灌注〕50〜100倍に希釈して灌注する。
  〔葉面散布〕300倍に希釈して散布する。
※灌水チューブ・噴霧器を使用する場合は、目詰まりしないように液を布で濾す。


「光合成細菌の拡大液」の作り方

 ここで扱う光合成細菌は、紅色非硫黄細菌です。この拡大液は、水槽とヒーター(熱帯魚用のヒーター)を用意して下さい。
1.水槽にヒーターを取り付け、30℃にセットする。
2.水槽に水を半分入れ光合成細菌の餌(三河微生物 さとう研究所謹製)を入れる。
3.水槽が一杯になるまで光合成細菌の種菌を入れる。
4.光合成細菌は、嫌気性ですので水槽を一杯にしてその上をラップで密閉する。
  密閉が悪いと失敗します。
5.そのまま日の当たる所に放置すると次第に赤くなっていきPHが8.5-9.0で完成です。
  夏場は、直射日光が当たると水温が上がりすぎるので、日陰に置く。
6.完成したら、半分はまた次の培養拡大に使用して完成品は希釈して施用する。

 EM活性液も、ストチューも完成すると良い香りがします。もし、腐敗臭がした場合は絶対に使用しないで下さい。腐敗したものを散布するとひどいときには作物が枯死したり、病気が大量に発生する要因となります。

※腐敗菌が発生させる悪臭物質には、アンモニア、インドール、スカトー ル、硫化水素、揮発性アミン、メルカプタン、脂肪酸、酪酸、吉草酸、 ピュトレシン、カダベリン…等がある。


☆日本の堆肥の変遷について

 日本の堆肥作りは、私見であれば次のように変遷したと思っています。
 本来、日本の堆肥は、稲作作りの残渣である稲藁を使用することで醗酵堆肥でありました。稲藁は乳酸菌、酵母、納豆菌などの有益菌の住処で稲藁を堆肥作りの場所に投げ込むことにより自然と堆肥は醗酵して良質の醗酵堆肥が出来ていたのです。醗酵堆肥こそが、分解が途中で止まっている半生状態で、エネルギーの放出が少なく醗酵分解で有機物が可溶化したり、生理活性物質やビタミン、酵素が生成されたりする本当に良い堆肥です。
 しかし、昭和30年代以降、コンバインの積極的導入により(稲刈り機の時代は良かった)稲藁は刈り取りの際に田圃にすぐ撒かれてしまい堆肥置き場にいかなくなってしまいました。その結果、従来の堆肥作りに必要であった有益菌が投入されずに、堆肥は腐熟の方向に行くようになってしまった。腐熟するということは有害菌が活躍して腐って有害物質や植物の成長阻害物質を出す堆肥になってしまったということです。その堆肥を田畑に施用すれば病気が出て当然です。多分各地でそのようなことが起こったと思います。
 それと、戦後食生活の誤った指導により西洋化が始まり、パン食が勧められたり動物性蛋白質の摂取が求められた。その結果稲藁の減少と、動物の糞尿が堆肥の材料として出てきたことも生堆肥の有害化に加担したと思います。
 良い堆肥には、ミミズも住みますが、完熟堆肥ではどうでしょうか。一度実験してみると良いと思います。
 上述の流れの中で、農業指導者は生堆肥を田畑に投入する人達に、生の堆肥は絶対に有害だから必ず完熟化してから施用しなさいと言い続けたのであります。農家は、病気が出ては大変だと指導者の言うとおりに一生懸命切り返しをして完熟堆肥で無ければ駄目だと完熟堆肥と言われるカスの堆肥を作り使ってきた。
 完熟堆肥は、好気性微生物を活用させ酸化分解し無機化することであり、簡単に言えば沢山のエネルギー放出を伴い燃やしていくのであります。
 だから完熟堆肥は、病気が出ない代わりに沢山施用しても燃えカスの灰であり効かないのであります。
 今後は、完熟堆肥が良い堆肥という間違った考え方を捨てて、生堆肥でも、よい微生物が多く付着して善玉菌が支配していれば植物に対して全く有害でなく、逆にエネルギーを多く含んだ良い堆肥だという正しい考えを身に付け実践しましょう。


☆微生物活用農法のQ&A

質問 微生物活用農法は難しいのですか

答え 非常に簡単です。潅水の際に、善玉菌群を混入したり、善玉菌群を葉面散布するだけです。善玉菌群の代表として、水とEMと糖蜜を8:1:1の割合で混ぜ拡大培養して潅水の際に流し込むだけです。作る場合は、糖蜜の量を計りお湯で溶かしたものを培養タンクに入れ、40℃位に冷めた後、EMを入れ最後に水を足してタンクを満タンにして下さい。最初に水を入れると混合比を違えたり糖蜜を溶かしにくくなります。

質問 EMにも光合成細菌が入っているがなぜ別途に光合成細菌を拡大培養させるのですか

答え EMを培養すると乳酸菌や酵母群が先に増殖するので光合成細菌が増殖し難くなります。EMを培養するとPHが下がり、光合成細菌を培養するとPHが上がります。EMなんて効かないとかいてあり、EMを顕微鏡で見た場合に乳酸菌や酵母しかいないと書いてある本もあります。
EMは5群10属80種以上の有用微生物の混合物です。

質問 EMの拡大培養液と光合成細菌の拡大培養液を潅水や葉面散布の際に混ぜても良いのですか

答え 拡大培養する際に生育条件が異なるために個別に培養するのであって、混ぜることによって死滅したり、効果が滅失することはありません。

質問 潅水の度に注入したほうが良いでしょうか

答え 出来るだけそうして下さい。土中の菌相も常に善玉菌と悪玉菌が綱引きをしています。腐敗・崩壊型⇒浄菌型⇒発酵型⇒醗酵・合成型と菌相が安定して来ても常に善玉菌の応援団を送り続けて下さい。

質問 葉面散布はどれを使えばよいのですか

答え 各々の拡大培養液の希釈液を散布すれば良いのですが、出来ればストチューやEM青草醗酵液を作っていただき、それに光合成細菌を混入して散布して頂く事が一番です。

質問 微生物活用農法は止めることが出来るのですか

答え 微生物活用農法を実践して止める方はいませんが、いつでも止める事は出来ますし止めたからといって害が出るようなことは一切ありません。

質問 潅水や葉面散布の際に農薬を混ぜても大丈夫ですか

答え 問題は有りません。農薬を止める事は農家にとって大英断ですのでなかなか止めれないのが現実です。本当は農薬を止めたほうが良いのですが農薬の希釈度を高めて濃度を薄くして下さい。農薬が入っていても農薬が微生物総てを殺すわけではありません。

質問 緑肥や生堆肥をやったほうが良いということですがなぜですか

答え 緑肥や生堆肥は微生物の餌であり、土壌改良に必要です。緑肥や生堆肥を投入しないと有機物の餌が無く、それまで田畑に蓄えられていた有機物がどんどん分解していきます。有機物は、10aの畑で一年間に堆肥換算で平均と1t以上が分解し、消耗するというデータがあります。必ずたくさん緑肥や生堆肥を投入して下さい。
 もう一つ、それらは土の団粒化を助けます。それらは土の塊を作る糊の働きをします。土が団粒化する事で、通水性、保水性、通気性がが良くなります。また、土が団粒化することで、微生物の住みかとしても重要な役割をします。

質問 肥料はどのようにやればよいですか

答え 微生物の餌を与えてあげるということは大切ですが、その他のことは余り気にしなくても結構です。従来と同様に肥料を施したり、その他の農業資材を施用しても結構です。ただし、施肥の量は状況によって減らした方が良いです。微生物が肥料を作物に害のないように分解したり、合成したりして吸収しやすいようにしてくれます。特に、窒素ばかり吸っていたのが燐酸やその他のミネラルも吸収しやすくしてくれます。炭などは微生物の住みかとして良いですし、キチン、キトサンは有益な放線菌群が増殖するのに役立ちます。

質問 微生物活用農法では深耕しては駄目だということですがなぜですか

答え 土壌中の微生物相は上の方が酸素の好きな好気性微生物、その下が微好気性、その下が微嫌気性、その下が嫌気性と住み分けられています。微生物やその他の昆虫や小動物で耕さなくても土はふかふかになっていきます。良く言うのですが、耕すところには大木は育ちません。連作障害を克服している篤農家は往々にして不耕起です。
 きちんと行えば、一年もしないうちに土は耕さなくても微生物の力でふかふかになってきます。
 多くの施設園芸農家の施設内の土地がカチンカチンになっているのは土壌消毒をして善玉菌も悪玉菌も総ての微生物を皆殺しにして栽培しているからです。


参考文献

「EMで生ごみを活かす」比嘉 照夫著 サンマーク出版
「江戸の真実」別冊宝島126 宝島社
「家庭でつくる生ごみ堆肥」農文協編 農山漁村文化協会
「光合成細菌で環境保全」小林 達治著 農山漁村文化協会
「環境保全と持続的農業」嘉田 良平著 家の光協会
「拮抗微生物による病害防除」 木嶋 利男著 農山漁村文化協会
「救世自然農法による大規模経営をめざすEM活用技術
   (財)自然農法国際研究開発センター
「地球環境・読本」別冊宝島101 宝島社
「地球を救う大変革A」比嘉 照夫著 サンマーク出版
「地球を救う大変革B」比嘉 照夫著 サンマーク出版
「小さな農業」(山間地農村からの探求) 津野 幸人 農山漁村文化協会
「土と微生物と肥料のはたらき」山根 一郎著 農山漁村文化協会
「土のはなし」岩田 進午著 大月書店
「土の危機」小山 雄生著 読売新聞社
「土壌微生物の基礎知識」西尾 道徳著 農山漁村文化協会
「農家の土壌学」石川 昌男著 農山漁村文化協会
「醗酵肥料の作り方・使い方」 薄上 秀男 農山漁村文化協会
「ボカシ肥の作り方使い方」農文協編 農山漁村文化協会
「無肥料無農薬のMOA自然農業」
  (財)自然農法国際研究開発センター技術研究部編 農山漁村文化協会
「便覧 有機質肥料と微生物資材」伊達 昇著 農山漁村文化協会
「ヤマギシズム農法」ヤマギシズム生活実顕地本庁文化課編 農山漁村文化協会
「有機物を使いこなす」農文協編 農山漁村文化協会
「緑肥を使いこなす」橋爪 健著 農山漁村文化協会
「緑健農法」永田 照喜治著 農山漁村文化協会
微生物活用に関するホームページ多数

平成12年 3月 2日 改訂
平成12年 3月11日 改訂

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