ノミの駆除と予防 


ノミは人や動物を吸血する昆虫です。しかし、いつも動物の体に寄生しているわけではありません。通常は、動物がいる環境内で生活をしています。もし動物にノミがいたら、その環境には約100倍のノミがいます。ノミがたびたび皮膚を刺すと、皮膚病が発生します。しかし、動物のからだからノミが見つからないにもかかわらず、ノミによる激しいかゆみが発現するこもとあります。このような動物は、ノミの唾液に対してアレルギー状態になっています。そのため、動物はたった1回吸血されただけでも数日間激しくかゆがります。ノミアレルギーの動物では、ノミの寄生数が問題になるのではなく、1匹のノミが吸血したかどうかが問題になります。

●動物に対するノミの駆除と予防

(1)皮膚病の動物と同居動物すべてに対してノミの駆除を行います。使用する薬剤には、副作用の少ない順にピレスロイド系・カーバメイト系・有機リン系の3種類があります。それぞれの薬剤は、動物の調子・体質にあわせ使い分けをします。しかし、2系統以上の薬剤を併用することは大変危険で、予想のつかない副作用が発生することがありますので獣医師にご相談ください。

(2)ノミ取りシャンプーでノミの駆除を行います。

(3)ノミ取りパウダー・スプレーでノミの予防を行います。1週間に2回使用してください。被毛の流れと逆向きに薬剤を散布し、その後被毛をかき回してまんべんなく皮膚表面へ広げます。

(4)ノミ取り首輪の装着だけでは、あまり予防効果が得られません。

より効果的な方法として、スプレータイプ・スポットオンタイプ(滴下式)の成虫駆除剤が加わりました。これらの薬を用いることによって、副作用もなく安全確実にノミの駆除と予防を行うことができます。

●環境に対するノミの駆除(じつはこれが一番大切です)

(1)寝床を清潔にします。タオルなどはノミの巣になるので、使用を中止してください。

(2)毎日徹底的に掃除機をかけます。ナフタリンやノミ取り首輪の切れ端を、掃除機のゴミパックに入れておきます。

(3)ダニスプレーをタンスの隙間やその下に散布します。

(4)ダニパウダーを床の上に散布します。

(5)ノミの駆除が困難な場合、ノミトラップや薫蒸剤の使用、畳やじゅうたんの排除、あるいは専門業者の依頼など行います。

昆虫発育阻止剤(内服薬・注射薬)を使用することによってノミの発育を阻止し、上記のような環境に対するノミの駆除の負担(掃除)を軽減させることができます。

●ノミアレルギーの治療(皮膚病変がでてしまったら・・・・)

 ノミを1匹残らず駆除するのは非常に困難です。そのためノミアレルギー性皮膚炎を治療する場合、かゆみどめとして抗掻痒(こうそうよう)剤を使用することがあります。

(1)ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)
この薬は抜群によく効きますが、長期間に使用すると重大な副作用が出てきます。投薬時に食欲や飲水量が増すこともあります。

(2)非ステロイド性抗掻痒剤(抗ヒスタミン剤)
副作用が少ないため長期的に使用できますが、ステロイド剤のように劇的な効果は期待できません。

以上2系統の薬剤を併用もしくは使い分けて治療していきます。


BACK