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検証 学生運動(下巻)
―学生運動の再生は可能か?











 
れんだいこ/著
出版元: 社会批評社 
A5判 237頁 並製
本体2000円+税
ISBN4-916117-94-6 C0036

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目   次
まえがき  5
第19章 70年代前半期の諸闘争(9期その2 1971〜75)  13  
第20章 70年代後半期の諸闘争(9期その3 1976〜79)  38  
第21章 1980年代の諸闘争(10期その1 1980年代)  49   
第22章 1990年代の諸闘争(10期その2 1990年代)  74    
第23章 2000年代の諸闘争(10期その3 2000年代)  98    
考察1 連合赤軍事件考  100
考察2 党派間ゲバルト考  116
考察3 よど号赤軍派考概略   145
考察4 日本赤軍考概略  155
考察5 三里塚闘争概略   165
考察6 新日和見主義事件考   177
考察7 ロッキード事件考   195
考察8 学生運動の可能性と意義考  218
あとがき  229
参考文献   235
 
まえがき
 『検証 学生運動(上巻)』はそれなりの反響を呼んだ。下巻が待ち遠しいという声もいただいている。学生運動史上何の知名度もなく且つハンドル名だけで登場した試論に対して、かなりの読者が内容を評価してくださったのが何よりうれしい。特に、筆者の母校である早稲田の先輩諸氏からエールをいただき大きな喜びとなった。逆に、僅か2千冊の売れ行きが気になるほど学生運動に対する関心の低さにも気づかされた。早大4万学生の一割が手にすれば容易に完売になるというのに、全国中に広げてもそうはならないという現実になっている。学生運動ガイダンスとしての必読書であると自負しているが、今のところそういう評価まではいただいていない。書店における左派物図書の取り扱いの不遇も知った。筆者の学生時代の記憶では所狭しと並べられ一段や二段は占拠していたはずだが、大手書店でさえコーナーそのものがなく今や見る影もない。左派運動の凋落ぶりを改めて知らされた。この現実を如何せんか。我らが青春の意地を賭けて棚段復活に尽力したい。れんだいこ本で段を埋める快哉日を早く迎えたい。
 こうした折、産経新聞紙上で「さらば革命的世代」と題した懐旧物の連載が続いた。2008年5月1日より始まり、2009年6月20日の第4部6で完結した模様である。学生運動に比較的に好意的であった朝日新聞ではなく終始批判派であった産経新聞が企画しているところが面白い。外から眺めた視点と今日時点で評している感覚差で分析しているところが新鮮で好評である。(http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080513/plc0805131929017-n1.htm) 
 
 それはともかく、上巻の目次には下巻のそれも告知されており、第19章から23章まで1970年代以降の学生運動史を概括するようにしている。上巻末尾に記したように、筆者は、70年安保闘争以降の学生運動を経過的に記すことにさほど意味を感じていない。なぜなら、70年安保闘争までの闘いは曲がりなりにも上昇運動であったのに比して70年安保闘争以降の闘いは下降のそれで「新たな質」はないからである。とはいえやはり上巻に告知した以上は記しておくのが筋だとの出版社の小西さんからの指摘を受け筆をとることにした。「れんだいこ史観」の眼で捉えた学生運動史論の一貫物を市井に提供し遺しておくのも意味があると思い直した。これにより、その後の学生運動を70年代前半期の諸闘争、70年代後半期の諸闘争、80年代の諸闘争、90年代の諸闘争、2000年代の諸闘争という時期区分に従って追跡する。但し、紙数の関係で90年代の闘争まで記すことにする。なお、国政選挙、経済事象に関する事項は割愛した。
 70年安保闘争以降、学生運動が内向化し始め、個別的には三里塚闘争、狭山裁判闘争などのように粘り強い闘いが続けられていくものもあるが、時の政治課題に対する国会包囲デモのような直撃的闘争は沖縄闘争を以て終焉したように思われる。以降は、各派の全学連運動となり、それも次第に萎み今では見る影もない。かつて全学連各派が競合し運動を盛り上げていたのに比して分裂の負の影響が出始めたことによる。60年代後半の全共闘運動が潰れて以来、左派共同戦線式運動が組織されなくなっている。この時代の学生運動を記述するのは難しい。それまでは学生運動の記述が同時に時代を照らしていたが、時の政治課題に対する系統的闘争の流れが見当たらぬ為、学生運動を後付けしても時代が見えない。(以下略)
 
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