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打ったらハマる パチンコの罠(PART2
―メディアが報じない韓国のパチンコ禁止
 














 
若宮 健/著
出版元: 社会批評社 
四六判 198頁 並製
本体1500円+税
ISBN978-4-916117-78-6 C0036

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はじめに
 
 今の日本で国会議員、警察官僚、マスコミを自陣営に引き込めば怖いものは無い。その怖いものが無い状況になっているのが、パチンコ業界である。
 国会議員は、「パチンコチェーンストア協会」のアドバイザーとして名を連ねている。自民党六〇名。公明党六名。民主党二〇名。二〇〇八年二月現在、アドバイザーには元総理から、現役の閣僚の名前もある。
 日本の国会議員はパチプロか、と言いたい。何故ならば、パチプロ並みか、それ以上の知識が無ければ、業界のアドバイザーなど務まらないと思うからである。
 拉致問題に熱心な議員も、「自民党遊戯業振興議員連盟」に名を連ねている。北朝鮮の金正日は、「日本にパチンコがある限り、我が国は安泰だ」と発言したことがあった。拉致問題に熱心だと言われる議員が、北朝鮮に多額の送金をしているパチンコ業界を応援しているのはどういうことなのか、きわめて疑問である。
 小泉さんも、安倍さんも、拉致問題に熱心な議員も、拉致問題を自分の売名行為として、政治的に利用しただけではないのか? 利用価値がなくなれば、後は知らんふり。最近では利用価値がなくなったからなのか、拉致問題には、ほとんど見向きもしなくなっている。北朝鮮に経済制裁をしたいならば、日本も韓国と同様にパチンコを禁止すれば一番効果がある話なのである。それが与野党ともに、パチンコ業界のアドバイザーとして、業界の「用心棒」を務めている。
 筆者がパチンコ禁止を叫んでも、ドン・キホーテなのは分かっている。国会議員と警察とマスコミまで味方に付けている業界だから……。日本のマスコミは、はっきり言わせてもらうならば、「パチンコ業界依存症」に陥っている。一部週刊誌を除いては、三大紙と言われる大新聞も、パチンコ台の一面広告を掲載し、夕刊紙は言うに及ばず、テレビ局に至っては、「パチンコ業界依存症」が重症で、朝から晩までパチンコ台のCMを垂れ流している。本来は、批判され、取り締まりする怖い存在の相手を、味方に引き込んだら怖いものはなくなる。
 筆者は二〇〇七年六月、韓国を訪問し、韓国がパチンコを禁止したのをこの目で確認して、筆者のホームページ「若宮健リポート」で報告した。驚くほどの反響があった。韓国のパチンコ禁止を現地で取材し、日本の酷い現状を見るにつけ、この国はどうなってしまったのか、と虚しくなるばかりである。
 最近、ますますパチンコ絡みの犯罪が多発している。サラ金業界にサラ金規制が入り、業界では貸し出しを以前よりも厳しくしている。「パチンコ依存症」の人たちは、以前のように簡単に借り入れが出来ずに、犯罪に走るケースが増えているから、ますます、パチンコ依存症による事件が多発する。しかし、基本的にはサラ金規制は、悪いことではないのは間違いない。
 この国の問題の多くは、犯罪の多発にしても、自殺者の増加にしても、韓国のようにパチンコを禁止すれば済むことが少なくない。新車の販売は、三〇年前の水準まで落ち込んでいる。新車の販売低迷も、パチンコ禁止で回復が期待できる。それなのに、政治家も、警察官僚も、マスコミも、経団連までもが、パチンコの被害に対して無視し続け、何故かパチンコの問題には触れたがらない。
 パチンコの問題に、この国の政治、行政、マスメディアのデタラメぶりが凝縮されている。政治家は綺麗ごとを言いながら、パチンコ業界のアドバイザーを務め、警察官僚は業界に堂々と天下りしている。パチンコの被害者のことなど、眼中に無い。筆者は、パチンコの被害者が放置され、国が壊れていくのを見て見ぬふりを続けている人間が、国会議員にも、官僚にも、メデイアにも多く存在することが悲しいだけである。
 二〇〇八年三月現在、パチンコ禁止を叫ぶ国会議員は、与野党とも一人もいない。韓国では国会で決議し、法律でパチンコを禁止しているのに……。この国は、なんとも酷い国になったものである。緩んだゴムヒモのような状態で、国家として存続できるのか、きわめて疑問を感ずる。
 
 
目  次
 
はじめに 2
第1章 報道されない韓国のパチンコ禁止事情 13
     全国一万五〇〇〇店のパチンコを禁止した韓国の勇断
 
  衝撃の韓国パチンコ・リポート 14
  犯罪多発でパチンコ禁止に 17
  韓国パチンコ屋の残骸 20
  社説でパチンコを批判する『中央日報』 23
  パチンコ禁止を訴える『朝鮮日報』 25
  再度、韓国のパチンコ事情を取材 29
  韓国でも「新海物語」が人気だった! 32
  ソウルで二三〇〇店、プサンで一〇〇〇店 35
  呆れた日本の国会議員たち 36
  韓国の社会的事情 38
  パチンコ禁止を報道しない日本のマスコミ 41
  日本もパチンコの完全禁止を! 45
 
第2章 『打ったらハマる パチンコの罠』読者からの反響 47
     ハマって「依存症」になった人々からたくさんの相談メール
 
  真面目な人ほどハマるパチンコ 48
  何でこんな方が…… 49
  母親の助けもムダに 52
  メールの交歓でパチンコを止めた 54
 「顔認証システム」まで登場 59
  私のギャンブル経験では 60
  パチンコをやらないパチンコ経営者 64
  パチンコ以外の趣味が最大の治療 67
 「転んだら起き上がればいい」 71
  精神科医に診察を断られた! 72
  筆者のメールを五回も読んだ! 75
  詩の創作で断ちきる 80
  しかし……また依存、そして脱出 83
  大切なものを失ってはいけない 88
 
第3章 パチンコ出版社の「パチンコ依存症」 91
    パチンコマネーで儲ける企業と社員の人間崩壊
 
  パチンコ出版社が「依存症」とは! 92
  ともにパチンコ撲滅の努力を 96
  「パチンコ依存症」は「パチンコ台」への依存 99
 「汚部屋」のパチンコ依存出版社 105
  パチンコで人格崩壊する社員たち 108
  パチンコ以外の趣味がない 113
  パチンコマネーに群がる人々 116
  人間をダメにすると転職 120
  借金で保険金詐欺に走った兄 124
  しかし……パチンコをまた再開 129
  兄と「共依存」の母 131
 
第4章「パチンコ依存症」の現実と対策 139
    「パチンコ依存症」を放置する行政・業界を糺す
 
  放置されているパチンコ「依存症」 140
  ホンモノの「依存症」の精神科医 141
  再発する「依存症」患者 143
  奥さんをガンで亡くしても 145
  保険金がおりる「依存症」治療 147
  誰にも相談できない「依存症」 149
  真面目でおとなしい主婦ほど依存 152
  パチンコ屋で自殺をした人たち 156
 「貧困ビジネス」としてのパチンコ業 160
 「依存症」による犯罪の増加 165
  政治家と業界の癒着による規制緩和 167
 「依存症」対策自助グループの役割 172
 
■パチンコ業界関連資料  177
●資料1 韓国の「ゲーム産業振興に関する法律沿革」 177
●資料2「パチンコチェーンストア協会」 179
●資料3「自民党遊技業振興議員連盟」 184
おわりに 187
 
    表紙カバーの写真は、閉鎖され扉に鎖が巻かれた韓国のパチンコ屋
 
      社会批評社のホームページ