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キツネ目のスパイ宮崎学
―NGO・NPOまでも狙う公安調査庁















 
津村洋・富永さとる・米沢泉美/編著
出版元: 社会批評社 
A5判 225頁 並製
1800円+税
ISBN4-916117-51-4 C0036










 
 
 
 
  目   次 
 
■本書の編集にあたって 5
第1章 ドキュメント・宮崎学スパイ事件 7………………米沢泉美             
   ●いま公安庁スパイ事件を徹底的に追う
 
第2章 キツネ目の男・宮崎学の行動原理 48………………富永さとる           
   ●「ニンキョウドウ」とは無縁のウラギリ哲学                 
 
第3章 宮崎学そのスパイの論理と倫理 66……………………富永さとる          
   ●スパイ稼業はジンギかシノギか?
 
第4章 中核派、オウムは宮崎学に何を売られたのか?92……角田裕育             
    ●宮崎学スパイ事件を検証する                       
 
第5章 闇にうごめくスパイ・リンク 113………………………津村 洋                     ●戦後最大のスパイ事件の全貌を照射する                      
 
第6章 スパイ問題の本質と対策 131………………………………守門 岳                   ●スパイの「公開・追放」の原則を広げよう!                    
 
第7章 NPO・NGO、市民運動などを狙う公安調査庁 154…富永さとる                  ●公安庁はCIA型の情報機関への再編を進めている!                
 
■コラム
 ★スパイ宮崎学をかばう信者の面々 43(井上はるお)                         ★公安庁と公安警察のスパイの違いとは 153(小西 誠)
 ★宮崎学スパイ問題への各界の発言・コメント 87
 
■諸団体は宮崎スパイ事件にどう対応したか(関連資料) 178
 ★元公安調査庁職員野田敬生氏の証言 108
 ★宮崎学スパイ事件に対する中核派の声明 179
 ★宮崎学スパイ問題の革マル派機関紙『解放』の記事 189
 ★宮崎学スパイに関する『ピョンヤンかりの会』の声明 129
 ★宮崎学スパイ問題への『救援連絡センター』の声明 130
 ★九・二実行委に対する宮崎学についての公開質問状 192
 ★九・二実行委への在日外国人などからの公開質問状と日本消費者連盟の回答 204
 ★BUND(SENKI派)に対する公開質問状と回答 210
 ★『人民新聞』に対する公開質問状と回答 217
 
 
 本書の編集にあたって
 
 昨年二〇〇一年は、市民運動・社会運動にとって宮崎学スパイ事件で揺れ動いた年である。
 四月の『公安アンダーワールド』(宝島社)の発行にはじまり、インターネット上での論争、八月の『公安調査庁スパイ工作集』(社会批評社)の発行、そして九・二個人情報保護法案反対日比谷野音集会やロフトプラスワン(東京・新宿)での宮崎学弾劾の行動などだ。
 このおよそ一年間にわたって、公安調査庁スパイを擁護・隠蔽する人たちに対する大論争が火花をちらして続いた要因は、その中心人物である「キツネ目の公安スパイ」宮崎学が、作家として著名人であったことにもよるだろう。だがそればかりではない。これは宮崎学に連なるスパイの人脈が、戦後最大のスパイ事件というほど広がっていた事実への正当な危機感が多くの人々にあったからだ。
 元中核派政治局員小野田襄二、小野田猛史の兄弟を媒介に、弁護士三島浩司、宮崎学、そして旧赤軍派人脈などに至る、果てしなく深く広いスパイのリンクである。
 しかし重要なのは、国家権力の諜報機関・公安調査庁が膨大な時間を要して作り上げてきた、このような広範なスパイ網が見事に摘発されたということである。これは今日の市民運動・社会運動においては、画歴史的な出来事といえるだろう。
 だが、問題はここにとどまらない。スパイ事件は摘発されたとはいえ、これを陰に陽に擁護する多くの人々が存在しているからだ。
 一例を挙げよう。つい最近、あるブント系(共産主義者同盟)の代表が主催するパーティーが東京都内で開かれたが、この会場にはあの宮崎学が出席し、壇上であいさつまで行っている。驚くべきことに、ここには現役のブント関係者など多数が出席しているのだ。
 これだけではない。この三月に開かれたブント関係者の出版パーティーには、あの弁護士三島浩司や小野田襄二まで出席していることが伝えられている。なんとおぞましい光景であろうか。
 つまり、未だ公安庁スパイ問題は終わっていないどころか、これから重要な局面を迎えるのである。公安スパイ問題に、これからも私たちがどのように対処するのか、という問題だ。
 これは、学生運動、労働運動、反戦運動などの市民運動・社会運動だけではない。NGO・NPOなどの市民運動・住民運動も同様だ。公安調査庁などの国家権力機関は、これらの市民運動なども対象として情報収集活動、スパイ工作活動を行っているからである。
 本書は、こういう問題意識から宮崎学スパイ事件をはじめとする、公安調査庁のスパイ事件を徹底して検証する観点から執筆された。読者の広範な論議を期待したい。
 なお、この問題については、「宮崎学『スパイ』問題を糺察する会」がインターネット上にホームページを開いており、活発な議論を展開している。本書も同サイトの資料によるところが大きい。ここで著者一同、心からお礼を申し述べたいと思う。
宮崎学「スパイ」問題を糺察する会 http://miyazaki_kyusatsu.tripod.com/)
                                        二〇〇二年七月一日
     
                社会批評社のホームページ