書籍検索:紹介  
自衛隊の対テロ作戦
資料と解説








 
小西 誠/著
出版元: 社会批評社 
四六判 275頁 並製
1800円+税
ISBN4-916117-49-2 C0036



 

 
 はじめに
 
 私は、一九六九年一一月、自衛隊の治安出動訓練に反対し、訓練を拒否したとして逮捕され、懲戒免職処分を受けた。当時私は、航空自衛隊佐渡分屯基地に所属する三等空曹であった。
 自衛隊ではこの年、「七〇年安保対策」ということでマスコミに公開された治安出動訓練が全国で大々的に開始された。だが、「国民を守る」ために自衛隊に入隊していた私にとっては、この治安出動訓練という「銃口を国民に向ける」訓練は到底許容できるものではなかった。
 したがって私は、その直前から始まっていた同分屯基地での治安出動訓練に反対し、庁舎内外のいたる所に、「治安訓練反対」などのチラシを貼り、そして訓練の初日、全隊員の目前で訓練を拒否した。
 この私の行動は、「政府の活動能率を低下させる怠業および怠業的行為をせん動した」として自衛隊法第六四条違反で起訴されることになった。その後、新潟地裁の一審無罪判決、東京高裁の差し戻し判決、さらに差し戻し後の新潟地裁での再度の無罪判決により、一九八一年、判決は確定した。無罪確定の理由は、「小西の行為は表現の自由の枠内の行為である」というものであった。
 この私の行動を含めて、自衛隊の内外からの批判にあった治安出動訓練は、七〇年直後、一旦中止されることになった。だが今や、この治安出動訓練がおよそ三〇年ぶりに公然と復活し始めている。「対テロ・ゲリラ対策」を口実にである。
 とりわけ、昨年の九・一一事件後の現在、全国の自衛隊が治安出動態勢に突入していることは重大な事態である。が、問題はマスコミのこの状況への「無関心」もあってか、ほとんどの国民に知らされていないことである。
 こうして本書では、いま始まっている自衛隊の治安出動態勢の現段階を分析・解説することに主眼を置いた。資料として収録した自衛隊の治安出動関係(対テロ関係)の未公開文書の一部は、私の刑事裁判における裁判所の「提出命令」により出されたものだが、大半は情報公開法に基づいて請求し、提出されたものである。
 情報公開法に基づく提出文書は、特に「極秘」や「秘」の文書は、ところどころスミで黒く塗りつぶされている(資料には「スミ消し」としてゴシックで表記)。これ自体は非常に不当なものだが、概要をつかんでもらうために全文を掲載することにした。
                     二〇〇二年三月五日
                                  小西 誠
 
はじめに 2
第1章 始動する自衛隊の治安出動態勢 9
  外へ戦時派兵、内に治安出動態勢 9
  在日米軍などを警備する警護出動の新設 11
  「過激派ゲリラ」も対象 15
  治安出動下令前の情報収集活動の新設 20
  四六年ぶりの治安協定の改定 23
  治安の主導権を巡る自衛隊と警察の対立 27
  「不審船」事件と海上自衛隊の権限拡大 30
  領域警備という新任務 34
  政府の対テロ作戦 38
 
第2章 対テロ作戦に編成される自衛隊 41
  対テロ・ゲリラ戦演習 41
  新中期防衛力整備計画の対ゲリラ戦編成 44
  初めての特殊部隊編成 47
  対テロ作戦を担う旅団の編成 49
  治安出動応招義務をもつ即応予備自衛官 51
  学生の招集を予定する予備自衛官補 54
  予備自衛官制度について 56
 
第3章「テロ脅威論」下に主任務を転換する自衛隊 58
  新防衛計画の大綱下での対テロ戦略 58
  LICと地域紛争対処 62
  九・一一事件と「二一世紀型の新戦争」論 65
  今なぜ「有事立法」か? 67
  テロ対策特別措置法と防衛秘密 70
  テロを戦争で根絶できるのか 72
 
第4章「戦死」の時代を迎えた自衛隊員たち 76
  「戦死」を強制する小泉首相 76
  良心的兵役・軍務拒否の歴史的流れ 78
  小泉の靖国公式参拝と自衛隊員 80
  インターネット時代の「兵営」の熔解 84
 
●資料 自衛隊の対テロ作戦関係未公開文書 87
 第1節 政府・自衛隊のテロ対策関連文書 88
  第1 テロ対策特別措置法全文 88
  第2 テロ対策特措法に基づく対応措置の実施及び対応措置
                  に関する基本計画について 104
  第3 大規模テロ等のおそれがある場合の政府の対処について 115
  第4 国内テロ対策等における重点推進事項
        (法令整備・予算措置関連)の推進状況について 118
  第5 NBCテロ対策の推進について 124
  第6 NBCテロその他大量殺傷型テロへの対処について 127
 
 第2節 自衛隊の警護出動・海上警備行動 142
  第1 自衛隊法の一部を改正する法律全文 142
  第2 自衛隊の警護出動に関する訓令 153
  第3 自衛隊の警護出動に関する訓令の運用について(通達) 162
  第4 我が国周辺を航行する不審船への対処について 165
 
 第3節 治安出動に関する自衛隊と警察の各協定 167
  第1 治安出動の際における治安の維持に関する協定(新協定) 167
  第2 治安出動の際における治安の維持に関する協会(旧協定) 171
  第3 治安出動の際における治安の維持に関する細部協定 174
  第4 治安出動の際における自衛隊と警察との通信の協力に関する細部協定 178
  第5 治安出動の際における自衛隊と警察との通信の協力に関する実施細目協定 182
  第6 警察に対する物品等の支援要領 188
 
 第4節 治安出動に関する訓令・通達 194
  第1 「自衛隊の治安出動に関する訓令の一部を改正する訓令」について 194
  第2 自衛隊の治安出動に関する訓令の一部を改正する訓令 196
  第3 自衛隊の治安出動に関する訓令(旧訓令) 198
  第4 自衛隊の治安出動に関する訓令改正要綱(旧) 218
  第5 陸上自衛隊の治安出動準備に関する内訓 224
  第6 陸上自衛隊の治安出動の計画準備に関する内訓の一部を改正する内訓 227
  第7 西部方面隊の治安出動に関する達 229
  第8 治安出動準備支援計画に関する旭川駐屯地業務隊一般命令 242
  第9 「陸上自衛隊第七師団と航空自衛隊北部航空警戒管制団との
               治安出動に関する協定」の送付について(通知) 243
 
 第5節 治安出動態勢と即応予備自衛官 247
  第1 即応予備自衛官の任免、服務、服装等に関する訓令 247
  第2 即応予備自衛官招集手続に関する訓令 258
 
      社会批評社のホームページ